稲垣克臣 vs 國奥麒樹真
パンクラシストを完遂

PANCRASE 2003 HYBRID TOUR 2003.6.22 大阪・梅田ステラホール
メインイベント ミドル級戦 5分2ラウンド 稲垣克臣 引退試合

プロフェッショナルレスリング藤原組に入門し、藤原組解散後、1993年5月のパンクラス設立に練習生として参加した両者。出会いから10年を越える歳月の中で、未だ拳を交えることのなかった2人が、稲垣現役最後のリングで初対戦。 1993年9月21日、鈴木みのるとの対戦でパンクラスの扉を開けた男、稲垣克臣。2003年6月22日、vs 國奥麒樹真戦をもってパンクラシストを完遂。

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×稲垣克臣(1R 4分10秒、ギブアップ/チョークスリーパー)國奥麒樹真○

PANCRASE 2003 HYBRID TOUR 2003.6.22 大阪・梅田ステラホール大会結果

稲垣克臣試合後インタビュー

: 今のお気持ちを聞かせてください。
■ 稲垣克臣:寂しさはすごくありますね。あとホントにこれからというか、今日第1試合で、ウチの武重選手がああいう結果が出て、オレはもっとだから、稲垣組のみんなを強くしていかなきゃいけないなっていうのをすごく感じてますね。オレの次の仕事、仕事じゃないですけど、やるべき事が見えてきたって感じがすごくしますね。

: 10年間いろいろあったと思いますが、一番印象に残ったことというと何ですか?
■ 稲垣克臣:藤原組のときの生活、道場での練習、すごい思い出しますね。自分はプロレスというのはホントにすごい世界だと思ってたんですけど、思ってた通りで、練習もホントにいっぱいやったし、ご飯もいっぱい食べたし、それをすごい思い出しますね

: 悔いはありますか?
■ 稲垣克臣:ないですね。次にやることがすごく(あるんで)。リングの上で國奥に「まだまだこれからですよ」って言われて、すごい実感しましたね。オレがやらなきゃいけないこと、もっとみんなを強くすることを、ですね。

: 引退を決意したのはどういう時でしたか?
■ 稲垣克臣:肘を何回か剥離骨折していて、手術をして、だんだん稼動範囲が狭くなってきて、普通にスパーリングする時とかでも、ちょっと曲がったり、伸ばされたりするだけで、かなり痛くて、力も入らなくなって、その時にすごく感じましたね。この状態で、今のすごいレベルの上がったリングで、定期的に試合を続けていくことができるのかって。痛みがあったりして練習もままならないのに、こういうレベルの上がったリングで試合をするのは難しいって感じましたね。そういうこともあって引退を決めました。

: 10年目を迎えての引退ということで、感慨深いものはありますか。
■ 稲垣克臣:10年、そうですね。ちょうど偶然なんですけど。でも10年やってきたっていうのはすごいことだなって感じますね、オレはこういう形で引退することになったんですけど、身体のほうがこの状態ではできないということになってしまったんで。でもまだ、一緒に旗揚げしたメンバーで頑張っている、鈴木さんも冨宅さんも、高橋さんも國奥もいるんで。ホントにこれからもパンクラスの力になっていきたいですね。

: もし身体が大丈夫だったら、やりたかった事ってありますか?
■ 稲垣克臣:やり残したことですか? 最近、何だろう? 最近思うのは、船木さんのかたきを取りたいっていうか。それはほんとに「もし」の話ですよ。あの時はそういうことは思わなかったですけど、今、そんなことをたまにポッと思いますね。あの時に船木さんが負けて、オレ、よっぽどの事がないと泣かないと思ってたんですけど、船木さんがヒクソンに負けて、みんなを控え室に集めて、「オレ引退する」って言われたときには、…泣きましたね。それをなんか、今、何でだろう?気になって。カタキ討ち、カタキ討ちっていうと変かもしれないけど、ありましたね。

: 10年間、ずっとルールの変遷を見てきたわけですが、その経過を見てきてどうですか?
■ 稲垣克臣:UFCとか修斗とかいろんなものが出てきて、パンクラスも遅れてきたところが、 はじめはパンクラスは格闘技界の中では、先頭切ってたと思うんですけど、途中でいろんなことで置いていかれたと思うんですよ。そこで止まっていたら先がないんで、真似していたかもしれないんですけど、こうやって進化することは、すごい生き残っていくためには必要なことですよね。

: その変化は楽しかったですか、苦しかったですか?
■ 稲垣克臣:楽しい、楽しい…楽しいっていうのはないですね。逆に苦しいかっていうとそうでもないんですけど。技術が発展していく中で、負けたくないっていうそういう気持ちですよね。

: 改めて、國奥選手と初めての試合だったんですが、いかがでしたか?
■ 稲垣克臣:強いですね。はじめからいろんな人に「國奥は強いよ」って言われて。で、今日 鈴木さんからも、「ホントに最近動きも速いし、力も強い。さすがに2冠王になっただけのことはある」って言われて。それでやってみて、強いですね(笑)。やられましたね。最後はタップしました。あそこで、あきらめないでなんとかしようっていのも大切だと思うんですよ。ただ、どうしようもない、極まったときに、負けを認める強さっていうのも、すごい大切なんじゃないかなって、思ってたことなんで。あのとき首を取られて、あのままほうっておいたら落ちるだけだったんで。そこで負けを認める強さですよね。ちゃんと「オレは取られた」って認めましたね。

: 今までで一番印象深い試合はなんでしょう?
■ 稲垣克臣:難しいですね。ひとつには絞れないですね。その時々によって、思い出に、印象 に残っている試合があるので。その場面場面というか。

: 稲垣選手といえば、旗揚げ戦の第1試合という印象が強いんですが、今でも思い出したりしませんか?
■ 稲垣克臣:結構思い浮かべますね。ちょこちょこと。

: 鈴木みのる選手がセコンドについてましたが、そのこととか意識しませんでしたか?
■ 稲垣克臣:その時は國奥との試合に集中してましたね。そのことしか考えてなかったですね。

: 今日の試合で燃え尽きることはできましたか?
■ 稲垣克臣:自分ができることは試合ではやりました。

: 石川選手(バトラーツ)が来られてましたが、特別なエピソードはあるんですか?
■ 稲垣克臣:藤原組の時の先輩で、合宿所の時、一緒の部屋だったんで。

: それ以来?
■ 稲垣克臣:たぶん、会ったことは、空中さんが亡くなった時にお会いしたんですけど、それ 以来ですね。

: 10年間応援してくれた、ファンの皆様にメッセージを。
■ 稲垣克臣:結構オレは何でもかんでも1人で、自分の力でやってきてると思っていた時期もあったんですけど、それは気付かないうちに、周りの人間が助けてくれたり、支えてくれたりしてくれてるんだな、っていうのをすごい思うようになって。今日もすごいこうやって応援に来てくれて。すごい、もちろん周りの人間もそうですし、ファンの皆さんにも応援してもらって、力をもらってきたんだなって思いますね。ありがとうございました。

國奥麒樹真試合後インタビュー

: 稲垣選手の最後の相手ということで、感想はいかがですか?
■ 國奥麒樹真:せつないです。

: 稲垣選手との思い出はありますか?
■ 國奥麒樹真:たくさんありますよ。ずっと一緒でしたからね。15歳で入った時から、今までずっと一緒ですからね。思い出はたくさんあります。一番接した時間が長かったんじゃないですかね。いっしょに住んでたこともありますし。合宿所で。年の差も、僕は15歳でしたから、稲垣さんが21とかそれくらいで、だから最初、クソガキが入ってきたと思ったと思いますし、その頃から、ずっと今までやってきましたけど。2人でね。お互い頑張り合いながらこれたというのがありますね。1人だとここまでできたのかなっていうのもありますし。

: 今日の稲垣選手について闘いながら感じたことってありますか?
■ 國奥麒樹真:やっぱり、大阪、自分の道場のある大阪ということで、道場生たちの声援に囲まれながら、ものすごい気合が入って、集中した稲垣選手だったなって思いますけれども。

: 先ほど「せつなさ」とおっしゃいましたが、それは試合中に感じたことですか?
■ 國奥麒樹真:いや、終わってからですかね。やっぱり。ああいう、いざああいう姿を見て、みんな胴上げしたりだとかを見てしまうと、引退で、試合はしないんだなっていうね。そう思いますよね。

: 今回、対戦相手にというのは國奥選手から言われたんですか?
■ 國奥麒樹真:いや、会社が決めたことですから。やらなければやらないままでも良かったと思うし。でも今、やって終わった後の感想としては、最後にやれて良かったなという思いでいっぱいですね。

: やってくれないか、と言われた時はいかがでしたか?
■ 國奥麒樹真:一瞬「えっ?」って思いましたけど、でもすぐ「いいですよ」という返事は出せたと思いますけど。

: 一瞬の「えっ?」には、どういう気持ちがあったんでしょう?
■ 國奥麒樹真:うーん…、やっぱり「えっ?」ですよね…。

: ある意味、介錯役じゃないですか?
■ 國奥麒樹真:そうですね。エキシビジョンマッチじゃなくて、今回はちゃんとしたミドル級の試合ということで、そういう場が成立したと思うんですけど。

: 稲垣選手は、最初「國奥選手を殴れるかな?」という気持ちがあったらしんですけど、そういうやりづらさというのはなかったですか?
■ 國奥麒樹真:お互い練習してきた仲ですから、練習でできて、試合でできないというのは、僕の中では違うのかな、という思いが少しはあるんですよね。同じ道場の人とやらないというのはまた違うのかな。単純に、その人とオレが、同じ道場にいるんですけど、どっちが強いのかなと思ったら、やっぱり試合をして答えを出さないと、それは出ないわけですし。試合の中ではですよ。練習の中では、いくらでもできますし。そういう結果ですよね。だから、そういうやりづらさも、お互いに練習してきてリングに上がれば、もう全然ふっとんでないですけどね。

: 稲垣さんに言葉を送るとしたら?
■ 國奥麒樹真:今日で引退ということで、もう試合はしないということになりますが、これからまた、道場の方ですよね。大変だと思うんですけれども、新しい人を、人材を育てて、パンクラスに送ってくるという役割が、今度はまた次あるんで、そっちのほうをやっぱり、より頑張ってもらいたいなと思います。

國奥との試合について思うこと
今回の試合は、おれが國奥との対戦をお願いして実現した試合です。
おれと國奥は藤原組に入門した同期で、プロレスラーになることを志し、一緒に頑張ってきた仲間です。
入門してから十年という月日の中で、練習、試合、そして生きていくことで、お互い様々なことを感じ、成長してきました。
おれと國奥はどんな人間になったのか?
どんな闘いをするのか?
試合を通して感じることが出来ると思ってます。そしてみんなに見て欲しいと強く思っています。快く試合を受けてくれた國奥麒樹真に感謝します。
稲垣克臣
vs稲垣克臣戦に向けて
稲垣選手との試合は、特に、どうこうありません。って言うか言うのはやめておきましょうか。そりぁ付き合いは長いからお互いに色々あると思うけど、闘う前だし、俺が言う事ではないような気がします。通常通りの気の張った状態、戦闘体制でオレは試合に挑むと言う事。
國奥麒樹真
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