●去年は、美濃輪選手の闘い方がすごくハッキリ見えてきた印象があるんですが、それは自分ではどう思います?
美濃輪:そうですね、それは分かりましたね。おととしの終わりくらいですかね、そういうの(闘い方)を決めて。

●その決めたことというのは、具体的にはどういうことですか。
美濃輪:最終的に「極める」ってことです。関節技を極める。絞めるでもいいですけど。その目的に向かって何をどうしなきゃいけないかを考えて。まず相手をつかまえなきゃいけない。倒さなきゃいけない。寝かせて、上乗って。そういう感じで、最終的に極めるための内容、順序を考えました。考えたというか、何を中心にしなければいけないのかを。

●それはあくまで自分一人で?誰かに相談するとか、例えば鈴木さんにとか。
美濃輪:それはもう自分一人。もちろんアドバイスはもらいましたけど「何をしたいのか」は自分で決めなきゃいけないですから。他の過程も自分で考えました。

●闘い方を決めるということは、その時に捨てるものも出てくると思うんですけど。何を捨てたんですか。
美濃輪:僕はまず、打撃を捨てましたね。いや…最初の最初は、打撃を「捨てさせられ」ましたね、鈴木さんに。「使うな」って。それで、5月6月の試合を(打撃)ナシでって言われて。僕、レスリングの基本っていうのが全然なってなかったんですよね。パンクラス入ってからもずっと。横浜道場来てからそれが少し分かってきて。で、それを(鈴木選手が)もっと分からせるためだと思うんですけど「使うな」って。最初「何でだろう」って思ったんですよ。全然分からなかったんですけど、おかげでタックルに入るタイミングとかバリエーションも増えましたし。グラウンド・レスリング自体も大切っていうか、基本がすごい分かりましたね。レスリングの基本が。

●最近見てると、アマレス出身みたいですね(美濃輪選手は高校柔道出身)。
美濃輪:でもレスリングだけだったら全然ダメですね。鈴木さんにも言われたし、僕自身も思うんですけど、僕のレスリング、中学生レベルなんですよ。

●でも中学生レベルのレスリングじゃ、プロのリングで勝てないでしょ。
美濃輪:勝てないんですけど、中学生のやってんのは、やっぱ「基本」なんですよ。やっぱ基本が大切っていうのを鈴木さんに教わって。ただ、レスリング強くても、この世界勝てないと思うんで。まずレスリングの基本できるようになってきてから、それから自分の持ってた技が生きてくるようになったっていうのがありますね。

●それから「手」のほうの打撃は、使うようになりましたね。
美濃輪:8月に「解禁」って言われたんで。全部(手も足も)使おうかと思ったんですけど、でももう少しレスリングをしっかり…半年とかそういうのじゃ絶対身に付かないから、もう少しやってみようというのと、あとその分タックル重視したいんで「蹴りを捨てよう」と。で、パンチとタックル。

●今後はどうしようと思います
美濃輪:まだ少し今の形で。それからパンチを多く使いたいですね。もっとバリエーションを増やして。

●ファイトスタイルのことで、もうひとつ聞きたいことがあるんですけど。パンクラチオンマッチって、いわゆるバーリトゥードだと思うんですが、そういう形式の試合って、足関節を狙うのは定石から外れるように思うんですが。でも美濃輪選手は、足関節を狙いにいきますよね。それはどういう意図があるんですか。
美濃輪:最近になって、足関節に自信がついたっていうか。足の取合いになっても負けない自信ができたんで。

●でもポジションを入れ替えられる危険性も高いわけですよね。だからバーリトゥードの試合で、あまり足関節が見られないんだと思うんですが。
美濃輪:そうですね。でも取りにいったときに上になられても、また取り返す自信もついたし。もし最悪上に乗られても、前までは下から攻めてたんですけど、今は立ち上がることができて、リセットできるようになったんで。

●うん、それだったら、得意な足関節。
美濃輪:そうですね。だから、そんなに僕としては、ヤバイとは思わないですね。

●ああ、だから見てておもしろいんですね。足の取り合い、ポジションの取り合いになって、膠着が少ない。スリリングだし。勝率だけじゃなくて、最近の美濃輪選手に対する評価は、そういうところからも来てるんじゃないでしょうか。

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