point of view/廣戸レフェリー全試合解説
：PANCRASE CHRONICLE | パンクラス年代記

PANCRASE 1998 ADVANCE TOUR 1998.11.29　梅田ステラホール

第5試合メインイベント稲垣克臣vs渡部謙吾。渡部謙吾選手についつい目がいきがちなこの試合、序盤渡部謙吾選手がいいスタ－トをきりました。マウントポジションからの上から攻撃をするという形も、ノ－ル－ルの練習というのがはっきり浮き出る様な試合だったんですが、顔面にもいいものが2、3発ヒットしました。気の弱い、本当に淡泊な選手だったらそれで流れておわったかも知れません。

渡部謙吾初勝利という図式がうかがえたかもしれませんが、ところがどっこいやっぱりベテラン稲垣克臣選手ですね、体調を半分崩していましたが、それでもタフネスでいえば、心身共のタフネスで言えばこの男と僕は太鼓判を押しているのですが、真骨頂が出ていたと思います。そこから自分のペ－スに少しずつ変えて行きながら足首、膝と終盤攻めきっていきました。試合は引き分けでしたが結局最終的には渡部選手はこの試合で足首と膝を壊してしまいましたから、そういう意味でいえば後5分あれば稲垣選手が完全な勝利、判定ではない勝利を奪っていただろうと思います。

序盤渡部選手の猛ラッシュを考えれば、稲垣選手は、やはり崖っぷちから持ちこたえての逆転勝利という形だったと思いますから、そうゆう意味の心の強さというものが世代と世代の闘いのものすごく大切な要素として勝利に左右するといったところも見えるメインイベントだったと思います。