皆さんこんにちわ。お久しぶりです。『格闘徒然草』、復活です!はじまってすぐ半年間休載してしまいました…。ネタはたくさんありました。『JTC』、『アマチュアパンクラス』etc・・・。しかしながら忙しさに追われ、執筆意欲にかられなかったのが本音です。言い訳はしません! 復活第一弾は12月14日、P'sLAB東京にて行われた『第1回パンクラスゲート×2・ワンマッチ大会』。さてこの大会は呼んで字の如く、パンクラス本戦を目指した選手が戦うパンクラスゲート、さらにそのゲートを目指した選手が戦うのがこのゲート×2になるわけです。この大会、今後も2ヵ月に1度定期開催していく予定になっています。この大会での試合内容、勝率を考慮してゲートへの出場者を選考していくわけです。アマチュアパンクラスはスタンドでの顔面パンチなし、グラウンドでの打撃一切禁止であるのに対し、ゲート×2はスタンドでの顔面パンチあり(ヘッドギア着用)、グラウンドは頭部以外への打撃ありのルールになっています。ゲートルールとの違いはヘッドギアの着用有無のみであり、アマチュア大会としては非常に過酷なルールと言えるかも知れません。

 第1回の今大会は全14試合が行われました。第1試合はP'sLAB東京の“若き口だけ番長”堀内祐平選手vsジークンドーの経験のある大山信一選手(フリー)の試合となりました。堀内選手はこの試合に向け過酷な減量(本人談)を敢行。その甲斐あってか、試合はテイクダウンに成功した堀内選手がバックからスリーパーを極め快勝。勝利とともに謎の雄叫び(奇声?)を発した堀内選手。その姿に関係者は目を細めていました…。第2試合にもP'sLAB東京から古関孝選手が出場。対するはパレストラ池袋から日高健志選手。パレストラと言えば、自分・北岡の出身でもある修斗&柔術のジムですが、古関選手もP'sLAB東京入門前から既にブラジリアン柔術の青帯を所持していた柔術ベースのテクニシャン。自ずと寝技合戦が予想されました。試合はそのままずばり寝技合戦に。日高選手が下から仕掛け古関選手がパスガードを狙い、展開のある試合に。1R終盤にパスガードを決めた古関選手が腕十字を極めかけたものの、日高選手の粘りの前にそのままラウンド終了。2Rも1R同様の展開で再び古関選手が腕十字に捕らえます。今度は日高選手がタップアウト。古関選手顔面パンチあり初挑戦にして嬉しい勝利でした。

第3試合は“高洲ドラゴン”桂正選手(P'sLAB横浜)vs畑大樹選手(松風軍団)。高洲選手は背中にドラゴンが入った刺青戦士。P'sLAB横浜の選手全般のスタイルは佐藤光留さん・富山浩宇選手の新旧インストラクターの色がよく出ています。レスリングに軸があり、ポジショニングにこだわらず極めを狙い動いていく。打撃をかい潜ってタックルにいく様は秀逸です。高洲選手もその例外にあらず持ち前の気の強さとあいまって非常に攻撃的なスタイルで、ストライカーの畑選手と相対しました。1Rからスタンドで打ち合い、グラウンドでもお互い極め合う好勝負に。しかし2R開始早々の畑選手のストレートが高洲選手にクリーンヒット。これにより高洲選手が失速、その後寝技で攻められ続け、そのまま判定となり、3-0で畑選手勝利。畑選手、打撃組技ともに力強く、次回以降の継続した出場が望まれます。第5試合、宮川武明選手(P'sLAB横浜)vs井上学選手(子へびクラブ)。宮川選手は11月のパンクラス入門テストと併せて初めて行われたP'sLAB特待生テストに合格したP'sLAB特待生第一号です。テストではその身体能力の高さで試験官や関係者を唸らせました。そこで今回、2003年『アマチュアパンクラスオープントーナメント』60kg未満級BEST4の井上選手の対戦相手に抜擢されました。試合は宮川選手が先制の打撃からテイクダウンを奪いそのまま金星かと思いきや、井上選手がスイープからバック、そのままスリーパーとフルコースで一本勝ちと圧勝。壁の高さを見せつけました。敗れた宮川選手はもう少し試合馴れが必要かと思われます。入門テストメニューを軽くクリアーしたその非凡なセンスが試合で花開く事を願います。勝った井上選手は第3試合の畑選手と並び、この日行われたフェザー級(64kg未満)の試合では最も強さを見せました。ゲート出場も有り得るのではないでしょうか。

プロレスVS空手と銘打たれた第6試合はともに無所属の高木康行選手vsFLAVIO TANAKA選手でした。TANAKA選手は空手3年の経歴に対し、高木選手はプロレス団体KAIENTAI-DOJOに在籍していた事もあり、プロレスベース。見所はそれぞれの打たれ強さ(?)でした。しかし試合は一方的なものに。TANAKA選手の空手仕込みのするどい突きと蹴りの前に高木選手は持ち味を出す前に打たれ続け、スタンディングダウンでレフェリーストップ。TANAKA選手のTKO勝ちとなりました。個人的には高木選手のもう一丁が見たいです。TANAKA選手に関してはその打撃力がどこまでのものか、次はストライカーとの絡みが見てみたいです。第12試合のミドル級(82kg未満)唯一の試合、月岡俊英選手(GRABAKAジム)vs砂山裕(和術慧舟會東京本部)も打撃のみの展開でした。月岡選手が郷野聡寛選手ばりの上体のフェイントからのするどいミドル。渇いた音が場内に響きます。砂山選手は全日本サンボエスポワール優勝の成績で、グラップラーと推測されましたが組み付く事すらできません。最後はパンチを一方的にもらい出したのを見兼ねたレフェリーがスタンディングながら試合をストップ。月岡選手のTKO勝ちとなりました。セコンド陣もGRABAKAメンバーが勢揃いとその期待の高さがうかがえる月岡選手。試合ぶりもセンスを感じさせ、花もあり、今後が非常に楽しみです。そして大会も佳境に入ります。

セミファイナルはすでにパンクラスゲートに2度出場経験のある(2戦1敗1分)荒牧拓選手と、P'sLAB東京のプロ選手・大場裕司選手にアマチュア修斗で1度、志田幹選手にコンバットレスリングで2度勝利しているアマチュアの強豪・柳澤雅樹選手(パレストラ東京)の激突でした。互いに柔道、柔術というベースの違いがありながらも、関節技での一本を狙いにいくスタイルという部分では相通じる二人。噛み合った一戦になりました。パンチの交換で二人が距離を詰め合います。そのまま組技へ。ところが一旦ストップ。パンチの交換の際に柳澤選手の眼の上の皮膚が少し切れて出血した為でした。再開後はめまぐるしい攻防が繰り広げられます。上から足関節技を狙う荒牧選手に対して足関節で応戦しつつスイープも狙う柳澤選手。柳澤選手のスイープが決まります。しかし気に止めない荒牧選手、そのまま下から腕に狙いを定めます。先ほどの眼の上の出血が気になるのか、動きに集中力が欠けた柳澤選手の隙を逃さず荒牧選手がしつこい下からの腕十字。これが極まり柳澤選手タップアウト。荒牧選手は先日のアマチュアパンクラスオープントーナメントでは優勝を期待されながらも準決勝敗退で3位とふるわなかったので、今回は強豪相手に会心の勝利ではないでしょうか。3度目のゲートに大きく一歩近づいた一勝だったと思います。

ダブルメインイベント第1試合はファイトスタイルが佐藤光留さんに酷似、佐藤光留スタイルを体現する男、光留塾一号生筆頭の橋本コンチータ選手(P'sLAB横浜光留塾)と、先日の『2003アマチュアパンクラスオープントーナメント』においてアマチュアパンクラス史上最高のギャラリーを集め、盛り上がりを起こした男「超人」ドミニク・アーニー選手(超人クラブ)の贅沢な一戦(笑)。ボクシングをベースに持つアーニー選手を橋本選手がどうグラウンドに持ち込むのかが戦前の焦点だったと思います。1R開始早々、跳び膝蹴りの様なもの(笑)でアーニー選手の懐に飛び込む橋本選手。そのまま橋本選手得意の袈裟固めの形までもっていく事に成功します。これで勝負あったかと思われました。ところがここから試合はもつれだします。橋本選手の袈裟固めの押さえが不安定なのか、そこから関節技や別の押さえ込みに移行できません。逆にアーニー選手に鉄砲(押さえ込みから押さえ込みに返す事)を決められてしまいます。アーニー選手の大応援団も大騒ぎです。橋本選手のセコンドの光留さんは声にならない悲鳴をあげます(笑)。しかしさらにここから橋本選手が鉄砲で再び返します。ギャラリーはまた大騒ぎ。そしてさらにまたアーニー選手が返します。この繰り返しが幾度か続いているうちに1R終了。試合はもつれてはいますが、押さえ込んでる時間自体は長い橋本選手がやや優勢か? インターバルに橋本選手のセコンドの光留さんも必死のアドバイス。しかし橋本選手の頭にそれが届いているかは疑問です(笑)。そうこう言ってるまに2R開始。アーニー選手のフックを橋本選手がダッキングしつつへなちょこキックを打ち、そこからタックル。これがズバリ決まります。不格好ながら鋭い、これぞ光留スタイル(失礼)。今度こそ極めてくれるか!?と思わせたのはその時だけ。あとは1Rと同じ展開が…。まぁギャラリーはわいているのですが…。とは言ってもこのまま判定にいけば橋本選手の勝利かと思われました。そのときアーニー選手がバックポジションをGET。そのままスリーパーがかっちり極まってしまいました。これで橋本選手がタップアウト。アーニー選手の逆転勝利です。大応援団も歓喜の大騒ぎ。そしてこの試合が終わるとさぁーっと去っていきました(笑)。

そんな余波を受けつつこの日の最終試合ダブルメインイベント第2試合がはじまりました。本田朝樹選手(P'sLAB横浜)vs山崎昭博選手(和術慧舟會駿河道場)。2001、2002と『アマチュアパンクラスオープントーナメント』80kg未満級2連覇の本田選手。今年はまさかの初戦敗退でした。顔面パンチ無しのアマチュアパンクラスルールからの卒業を宣言し、今回の試合で再起をはかります。しかし相手の山崎選手はGCM主催『デモリッション』において3戦3勝、その全てが一本勝ちです。勝者にはほぼ間違いなくパンクラスゲートへの切符が渡される一戦です。場内も最高潮の緊張感で包まれます。試合は本田選手の猛攻からはじまりました。前に出てロープ際でパンチのラッシュ。有効打はないものの少し面食らった山崎選手。本田選手、押し込んでテイクダウンを狙うものの攻め切れません。ブレイクを受け、再開後に本田選手がタックル。しかし少しこれは遠く、切られてそのままバックマウントを奪われてしまいます。スリーパーも入り万事休す。本田選手の苦しい呼吸音が聞こえます。ところがここで本田選手あきらめず驚異的な粘りを見せます。スリーパーを絞める側じゃない上の手をはずし、正面に向かい合う事に成功。トップポジションに立ちます。本田選手はお返しとばかりにグラウンド状態の相手にボディパンチを叩き込みます。そこに山崎選手が下からすくう様にアンクルホールド。後手気味になりながらも足関節の取り合いに挑む本田選手。やや山崎選手が嫌がるそぶりを見せます。しかし極めきれず1R終了。2Rも1R同様本田選手が前に出て、テイクダウンに成功、トップを奪取。ところが少しガス欠気味の本田選手、1Rの様な攻撃ができません。逆に山崎選手は非常に冷静に本田選手をガードから崩しにかかります。息も絶え絶えの本田選手、頭も下がり反応できず対処できません。すかさず三角絞め。これで勝負あり。本田選手、健闘むなしく山崎選手の鮮やかな勝利。『デモリッション』3戦3勝オール一本勝ちの実力を見せてくれました。山崎選手は間違いなくゲートに登場する事になると思います。先日、ウェルター級タイトルマッチに挑戦した芹澤健市選手(和術慧舟會駿河道場)の愛弟子でもあり、本戦に上がるのもそう遠くない実力のある選手です。本田選手は敗れたもののポテンシャルの高さを見せてくれました。試合後の悔しがり様は一番で、その悔しさが今後の力になるのではないかと思います。

 さて、このように第一回のゲート×2は無事盛況に終わりました。これからパンクラスのアマチュア部門としてアマチュアパンクラスともう一本の柱となる大会になります。パンクラスのリングを目指したいけどアマチュアパンクラスルールだと顔面殴れないから嫌だというそこの君、ゲートに出場経験があるけど本戦には上がれずもう一度チャンスがもらいたいというそこの君、オファーが来ないと嘆いている一度二度プロのリング上がっただけのそこの君、是非ゲート×2に出てあなたの強さを、すごさを、見せてください。そうすればパンクラスのリングに上がれるチャンスがやってきます。また、この大会はアマチュアなので観戦無料です。“ただ”。なんて素敵な響きでしょう(笑)。未来のパンクラスプロ選手を見て唾かけてください。青田買いってヤツですね。また、次回からある試みが行われる予定です…。楽しいアマチュア大会にしていきます。そんな第2回は2月29日(日)を予定してます。是非参戦&観戦を。ではまた追って〜。12月は黄昏れモード。北岡悟でした。

第1回パンクラスゲート×2・ワンマッチ大会結果