旗揚げプレイベント「PANCRASE PRE DEBUT AT TFM」

1993年8月15日、東京「TOKYO FMホール」にてプレ旗揚げイベントが行われた。このイベントはハガキでの応募に当選した370名のみが参加出来るというプレミアムイベントで、選手達が公にファンの前に姿を現したのはトーワ杯以来、約7ヶ月ぶりとなり、選手の登場を待ちわびたファンで多いに盛り上がった。選手達による公開スパーリングではそのスピードに圧倒されたファンが、どよめきと共に目をクギ付けにされた。ルール説明では、今では当たり前となった「チョークスリーパーの有効」が、当時のプロレス界としては斬新で厳しいルールとして話題となり、ロストポイントの違い(UWF、藤原組ではロープエスケープ3回でダウン1回が、パンクラスではエスケープ1回でダウン1回)も注目された。そしてイベントは、選手のトークショー、プレゼント抽選会、サイン会と続き、終始ファンを楽しませ、パンクラスの旗揚げに期待する熱気で溢れるイベントとなった。

日時:1993年8月15日(日)開始15:00
会場:TOKYO FMホール
観衆:370名(はがきによる当選者のみ)
入場料:\3,312

イベント内容
宮田リングアナによる開始宣言

選手挨拶
■ 國奥麒樹真:ご来場ありがとうございます。今日このリングで起こることを目に焼き付けて帰って下さい。
■ 稲垣克臣:今日は本当にありがとうございます。これから自分のやれることを精一杯やって皆さんにいいものを見せたいと思います。自分は9月21日にデビューしますのでよろしくお願いします。
■ 柳澤龍志:本日はご来場どうもありがとうございます。今、旗揚げ戦に向けてバリバリ練習中です。よろしくお願いします。
■ 高橋義生:頑張って強くなります。一生懸命練習して、他の格闘技の選手に負けないように強くなりたいと思います。よろしくお願いします。
■ 冨宅祐輔:今日はどうもありがとうございます。一生懸命練習して次の試合頑張って、これからずっと勝つ試合をしたいと思います。よろしくお願いします。
■ ウェイン・シャムロック:この度パンクラスのみんなと試合が出来ることをとても嬉しく思います。このハードスタイルのプロレスをぜひ皆さんに知ってもらいたいと思います。よろしくお願いします。どうもありがとうございます。
■ 鈴木みのる:いろんなことがあって、・・・やっと、ホントにやっとここにたどり着くことが出来ました。これからもいろんなことがあると思うんですけど、今までのことは全部忘れます。これから新しい伝説を僕たちの手で創っていきたいと思います。皆さんもぜひ参加して下さい。どうもありがとうございました。
■ 船木誠勝:ファンの皆さん、ホントに久しぶりです。今まで待って下さいまして、ホントありがとうございました。この何ヶ月間ホントいろんなことがありました。でもまたこの様な形で皆さんの前に出ることが出来て良かったです。今日は思う存分楽しんでいって下さい。よろしくお願いします。

■ 廣戸聡一レフェリー:選手たちは肉体的にも精神的にも大きくなりました。従来のプロレスとは120%違うと思います。そして、選手が150%の力を出せるようにレフェリングをします。それを200%にするのは皆さんの声援です。
■ 上笹功リングドクター:船木、鈴木両選手とはかれこれ4年の付き合いです。責任持って健康管理にあたりたいです。

パンクラス公式ルール説明(説明:廣戸、シュミレーション:稲垣、國奥)

公開スパーリング
高橋vs稲垣 スタンドレスリング
船木vs冨宅 パンチのみ
船木vs柳澤 キックのみ
鈴木vs國奥 グランドレスリング
シャムロック、スパーリング(相手ダニー・セネガー)
ミット打ち、レスリング

船木、鈴木、前田憲作(当時・全日本キックボクシング)スペシャル対談
司会:宮田リングアナ
「パンクラスに蹴りとかパンチとかレスリングの素晴らしさを見せてほしい。旗揚げ戦は行きます。」と前田憲作が船木、鈴木に花束を贈り激励した。

ファンの質問コーナー(船木、鈴木、シャムロックがファンからの質問に答える)
司会:伊津野亮、宮田リングアナ

今まで闘った中で一番強かった選手は誰ですか?
■ 船木誠勝:強いとか言うよりも、一番痛い目にあったのは、俺の隣の隣にいる腕の太い外国人(シャムロック)ですね(笑)
■ 鈴木みのる:ありきたりなんですけど船木さんとシャムロックです。
■ ウェイン・シャムロック:ここにいる鈴木さんと船木さん。スタイルが違うので強さの比較は難しいが、どちらも強いプロレスラーだと思います。

鈴木選手はさきほどの挨拶で「過去のことは忘れました」って言いましたけどモーリス・スミスと闘う気はないんですか?
■ 鈴木みのる:ちょっと言葉のあやで、記憶喪失になったわけじゃないんで(笑)。そりゃあ負けっぱなしで平々凡々と暮らしていけるような自分じゃないんで、スミスが引退する前に、引退してオヤジになってでもいいから、年寄りになってもいいからリングに上げて試合やりたいぐらいす。いつでもやる気持ちは持ってます。

正道会館とか大道塾とか他流試合はやらないんですか?
■ 船木誠勝:世間で強い強いって言われている人たちとは、一通り交えてみたいですね。
■ 鈴木みのる:ナントカ王とかナントカチャンピオンとか、すごく多過ぎるんで、そういう人たちと試合してみたい。お互いのルール譲らなきゃいけないから、ルールは金網デスマッチなんかで逃げられないようにして(笑)。
■ 船木誠勝:人が恐れてやらないようなこと、それにあえて挑戦するのも名前を残す手段だと思うので、(他流試合は)避けて通れないでしょうね。

喉への攻撃とか、かなりルールが危険ですが?
■ 鈴木みのる:チョークと呼ばれてる攻撃に関してなんですけど、スパーリングでもチョークはOKだし、どんなレフェリーが見てもわからないと思うんですよね。それと、やっぱり首に手をいれられること自体は、相手の技術に負けているってことなんで、全員の承諾を得てやりました。

シャムロック選手がストリートファイトをしてた時の裏技を教えて下さい。
■ ウェイン・シャムロック:特にありません。パンチ一発で仕留めるだけですから。“ワンパンチ”シャムロックが私のニックネームです。

某横綱とか技術がなくて身体だけで勝っちゃう選手をどう思いますか?
■ 船木誠勝:ある程度、体重が増えちゃうとノーマルな動きが出来なくなるんですよ。自分たちはちゃんとした人間の中で技術がどこまで素晴らしくなれるかっていう追求と、相手に勝つやり方、それをちゃんと見せられるのは115キロぐらいが限度なんじゃないかなと思います。でも、そういう某横綱とか、デカい太ったのとか強いのであれば、リングに上げて試合をやっても面白いんじゃないかなと思いますけどね。ただウチのリングでは簡単には勝てないです。それだけは言えます。
■ 鈴木みのる:アマチュア・レスリングの世界の話なんですけど、130キロ級の世界チャンピオンより100キロ級の世界チャンピオンの方が練習でも試合でも強いって話しを聞いたことがあるんです。ただぶつかり合う醍醐味はプロレスの持っている面白い部分かもしれないけど、それに技術が伴う最高の限度の体重っていうのがあるんじゃないかって気がします。今出ている案では、ヘビー級は92キロ以上130キロ以下って設定しようと思うんですけど。それ以内じゃないと、例えばタイトルとかトーナメントの出場権を得られないってことも考えてますんで。

選手の愛用品プレゼント(各選手とジャンケンやクイズで勝ち残ったファンにプレゼント)
 柳澤:船木が新生UWF時代、高田選手に勝った試合で着用したシューズとレガース
 高橋:船木と試合した時に着用したタイツとシューズ
 冨宅:ラウィとの格闘技戦で着用したトランクス
 シャムロック:ホワイトソックスの帽子
 鈴木:アントニオ猪木の付き人をしていた頃に着ていた新日本プロレスのジャージ
 船木:東京ドーム大会で着用した藤原組のジャージと新生UWFのジャージ

選手サイン会