第6試合 ライトヘビー級戦(5分2R)
○近藤有己(2R 5分00秒、判定)石川英司×

私はやはり注目は石川選手でした。練習熱心で大変良い選手だと思います。そして心がいわゆる修行する人間、物事を学んで行く彼の姿勢を見ていて凄く好感が持てます。そういう意味も含めて今回の國奥選手とのカードが先に決まっていましたから彼は並々ならぬものを秘めていたと思います。逆に彼のパンクラスGRABAKAのリーダー菊田選手が今回の國奥戦にかなり石川選手にプレッシャーをかけていたと思います。そういう中で自分の時間、ペースを守って闘うという中に石川選手の良いところ、悪いところがありました。チャンスでもそれが自分のペースでなければ切り捨てるし、チャンスではなくても、それが自分のペースで取りたいと思えば取りにいくというばらつきが若いがゆえにあったのですが、その点を今回は拭い去って臨もうというところが見えた様な気がしました。そういう中で國奥選手が練習中に指を骨折して対戦者が急遽近藤選手に変わりましたが、彼も大きな試合が続き近藤選手は相当疲れていたと思いますし、調整期間が10日位しか無い様な形での試合に臨みました。それを知った石川選手は、自分の先輩2人が大きな怪我を目の前で負わされてる自分の近藤戦という事で両選手とも違う形で心が揺れ動いたと思います。その中で守りから攻めに転じようとした石川選手は、先程窪田、渡辺両選手のところでいった様にこういう一戦が実は若手は化ける一戦になってきます。そういう意味で石川選手は次が大切な試合になってくると思います。

近藤選手は今回はKOは出来ませんでしたが、寸前の状態まで追い込み、やはり強いなというところでしょう。彼の怖さは勝負よりも相手が壊れていくというところにあります。そこが勝負ではない世界を他流派の試合に臨んで勝ったり負けたりして、そこで得てきた世界だと思います。

今回の梅田大会のテーマは男にはターニング・ポイントがあるんだという事です。その様な試合をいかに自分で作るか、作れるかという事。そしてそれに勇気を持って臨んで突き抜けられるかというのが若いパンクラスの世代を作って行く、逆に言うとパンクラシストしての自分の歴史を選手として自分で作って行くというところに、パンクラスが団体の垣根を取り払って360度、四方八方に飛んでいけるんだという団体になった喜ばしい事との接点があると思いますので、ターニング・ポイントの試合を楽しみにしてもらいたいと思います。