第7試合 ライトヘビー級戦/5分3ラウンド
×美濃輪育久(3R 5分00秒、判定(2-0-1))佐藤光芳○

序盤最初にはらはらしたのは美濃輪選手の入場シーンでした。客席の中段から登場して席の間の階段を全力疾走して来ました。彼の好きなパンクのライブを彷彿させるような入場シーンがみられました。その時に階段で足を挫かないかなとそれがはらはらしました(笑)。それ位勢いのある入場でした。逆に佐藤選手は相変わらずのポーカーフェイスと重厚な雰囲気の立上がりでした。試合は打撃の距離から組み付く佐藤、テークダウンの攻防後、佐藤のテークダウンがやや強くそこから美濃輪が切り返して行くという形でした。たいへん動きのある試合でした。その中でまず美濃輪選手がたいへん疲れているなという印象でした。息の上がりがめちゃめちゃ早かったです。1R終わった時点でそうとう疲れていました。2Rに入った時点で本当に息が上がってしまいした。その中で佐藤選手はこつこつとテークダウンをとり、組んで行くという自分のやる仕事をしました。そういう中で試合の主導権が判定になった形でした。疲労は美濃輪選手でしたがダメージは佐藤選手の方が多かったかなと思います。もう一回やっても同じ結果はでないと思います。それ位技が拮抗してます。美濃輪選手は休息をとって体調の建て直しを図ってもらいたいし、先の佐々木選手も同様です。5分2R、3R、集約すれば10分15分です。ですがそれが物凄いプレッシャーになってると思います。何故なら今パンクラスのリングは大変密度の濃いレベルの高いリングになっています。若者達が自分の存在を掲げる生き様が世の中でハードな毎日を過ごしていると思うので、そういう疲れは多分その現場なりにいないとわからないと思いますが、欠場などがあったとしても強くなって戻って来る為の休息なのでファンの皆さんにはその間を温かく見守ってもらいたいなと思います。

この試合の判定に関して、0-2-1分けという形で岡本、梅木の両サブレフェリーは29-30でいずれも佐藤につけ、それに対してメインの私は30-30で何故ドローなのかという質問がありましたが、これについてお答えします。それは僕が個人的に美濃輪君が大好きだからです、というのではありません(笑)。何故ドローにしたかというと、ここのところ多くの人がグラバカイズムに引っ張られてるなというところに危惧してました。というのは今回の試合はビデオで良く見てもらうと判りますが、確かにテークダウンは佐藤君が多いです。それで試合を動かすのかなというと美濃輪が動かなければ佐藤君は動いていません。逆に試合は下になった美濃輪が動かして再びスタンドで切り返す、もしくは技を決めに行く本数は実は美濃輪の方が圧倒的に多いです。一発一発のパンチもきちんと倒す為、ダメージを与える為に打っています。そのような形でみてもらうと 試合の主導権はどこにあるのかとうい事と、パンクラスのリングは勝ちに行く選手が優先されるという大前提があります。それが知らず知らずの内にポイントを積み重ねていけば勝てるという試合形式になってはいないかという一つの観点です。私はテークダウンを何個とったという事よりもプロなので、どちらかというと倒しに行こうとして攻めて行く、ダメージを与えて行く方に重きをおいています。そして闘いとは何かという本質だと思います。必ず勝負を判定しければいけないトーナメントであれば間違いなく佐藤です。この試合はドローもある絶対判定の試合ではありません。その中でプロらしく闘ってドローだったのか、やや優勢だったのかという事で判定をしています。多分両サブレフリーの29というマイナスポイントがついたのは2Rだと思います。ただ私は単に美濃輪選手が疲労しただけだと見ています。見てれば判るのですがダメ-ージが溜まって来たというよりは単に息が上がって、美濃輪君の動きが緩慢になっただけで、佐藤君のホールドのパッケージ、プレッシャーが強くなったのかというと佐藤君はいつものペースでやってます。そういう意味で私はこのラウンドもドローにしています。その差だと思います。基本的には勝つ為に動いた方がパンクラスのリングは活性化されて面白いんだよという事が一番求められる事だと思います。手堅く勝つ事も必要ですが、それだけでは引き分けになった場合はリスクを多くして攻め込んでいる選手がリスクのみで終わってしまう事になってしまいます。両選手が受けの試合では面白くありませんから、そういう見方もしていただけると判定基準がちょっと解っていただけるのではないかなと思います。私はそういう事でドローにしました。