第8試合 ライトヘビー級戦/5分3ラウンド
×百瀬善規(2R 3分51秒、ギブアップ)近藤有己○

前回、他団体のリングで近藤選手に判定で勝ちをおさめている百瀬選手。リベンジしたい近藤選手。試合前の近藤選手としては、そういう意味のプレッシャーが未だかつてない中で臨んだ試合だったと思います。顔つきも何も今までとちょっと違っていました。百瀬選手においても決して油断することなく、今度は完全決着をしようというような真摯な態度がしっかり見られて、さすが禅道会の武道家、武術家であるというたたずまいももって、たいへん立派な試合だったと思います。

リベンジか?リマッチか?というところで注目はして来ました。百瀬選手はバックボーンが柔道で、柔道から相手を征して行きます。まず立って組んで相手を投げて、そこから勝機を見ていこうという百瀬選手。どこからでも攻撃は出来るけれども、出来たら得意の打撃でKOを奪ってみたいというような近藤選手。一昔であれば、絡み合うことのなかった立ち技 対 寝技が融合出来ているところに、今回僕は見ていて総合の世界の実力の底上げを強く感じました。逆に昔であれば、自分のバックグラウンドで闘いたい外の戦いには何とか相手のバックグラウンドでは臨まない、というところに噛み合わなかった原因がありました。それを平気で相手の領土まで入って行けるバックグラウンドの強さ、引出しの多さというのが近頃の選手の練習量、知識量というのも増えて来たんだな、というところで本当に頭の下がる思いでこの試合をみました。

一つ懸念されていたのは近藤選手は試合3日前に練習で右の拳を腫らしてしまい、それがどう影響するのか?試合後、近藤君に聞いてみたら、とりあえず前日、前前日で彼の拳をケアしていたので、そういう意味では痛みの心配はなかったけど、試合後は新たなところが痛くなりましたと言ってましが、そういう意味も含めて相変わらずの近藤節、近藤ワールドがあるんだなと思いました。ここのところ近藤選手の試合で心配なところがあったのですが、ここではいいませんが、ある部分が正しく機能していないというのを僕は気づいていたんですが、ちょっとその部分を試合前に、拳を壊したときにちょっと指摘をして、その部分はリセットした方が良いよという指示をさせてもらいました。そういう部分がこの大一番にリセットして、試合の中に出して来る事が出来るというところに、天才・近藤という言葉はあまり聞かれなくなってきたんですが、やはり天才的な選手だなというのを僕は強く感じた、そんなこの日の近藤でした。