第9試合 ウエルター級タイトルマッチ/5分3ラウンド
○國奥麒樹真(3R 4分36秒、ギブアップ/チョークスリーパー)長岡弘樹×

タイトルマッチの行われる前の26日に遡るのですが、國奥選手が横浜での練習中にちょっとアクシデントがあって、首が動かないような大きなダメージをおってしまいました。さすがの國奥選手もこれには焦ったようです。僕の携帯電話には何回も國奥選手の名前がきざまれていて、何なのかな?と思ったら、そういう事で、急遽応急処置をしました。幸い試合当日はある程度心配した状況では無かったので、國奥選手もほっとして試合に臨めたようです。それに対して長岡選手というのは、僕の印象ではめちゃくちゃタフな選手です。気持ちも強いし、といって技術もあります。王者にしたら嫌な挑戦者だったと思います。

その中で蓋を開けて見ると、立ち上がりのフック気味の左ストレートがもろに國奥選手の顔面をとらえて、國奥選手どうかと思ったのですが、その一発以降は3Rフルタイム國奥選手が常に止まる事無く動き回って、攻撃を仕掛けて行きました。それにつきます。それをみるだけで國奥選手は本当に練習を良くやっているな、という事だったと思います。打撃のタイミングもよくパンチを見切って、冷静に対処しているし、スタンドで組んでもいかにテークダウンをとっていくか、グラウンドでも一分一秒たりとも相手を休ませない、常に常に攻撃を仕掛けていく闘いの中で、さすがのタフな長岡選手もラウンドを重ねるごとに動きが落ちて行ってしまいました。最後の3R目は2分過ぎた辺りで長岡選手の顔面への鉄槌攻撃等で長岡選手もあまり反応しなくなってしまいました。僕はこの試合を 途中で止めようかというところまで考えさせられる位、執拗な國奥選手の攻撃というものが印象に残りました。

最後は細かい攻撃を嫌う長岡選手の体の反転に合わせてチョークをとって、きっちり一本をとり防衛をしました。僕の見る限り、チャンピオン國奥というものはこのリングにはいませんでした。いたのは常に挑戦者の心をもった國奥麒樹真が僕はリングにいたと思います。挑戦者・長岡に対して更なる挑戦者・國奥がいたとその心がやはり長岡選手を上回ったという試合だったと思います。何に挑戦するのか?それはUFCであり、その先にある何かとてつもなく大きな、國奥選手だけが腹の中でじっと温めている何か大きな目標が常に國奥選手を挑戦者たるものとして映しださせているような気がしました。この心をもっともっと若いデビューしたての選手、それからちょっと自分に迷いが出てる選手は今までのプライドなり、実績をかなぐり捨てて、この姿勢を、学ぶべきです。さすがパンクラス王者。さすがismの申子。さすが國奥、という横浜文化体育館でした。