第8試合 無差別級戦/5分3ラウンド
○鈴木みのる(1R 1分48秒、ギブアップ/チョークスリーパー)獣神サンダー・ライガー×

私個人的に、獣神サンダー・ライガー選手、実は過去に打撃等の教育係でした。で、彼の打撃に取り組む姿勢も知っていて、いわゆるプロレスではない闘いをしても、たいへん才能のある、閃きのある闘い方をする選手です。それに対して同じ閃きではあるのですが、ストーリーを自分の闘いの中に作って行きながら、勝負どころで一気に決めてこようという鈴木選手。私にとっては、闘いは厳しいのですが、微笑ましい試合でした。

どちらの味方とも無く見れた試合でした。まあ〜、実質は鈴木みのる選手の味方をしました(笑)。合宿に付き合ったというのもそうなのですが、今回は試合約3週間前に右膝の靭帯損傷というかたちで鈴木選手の試合存在自体が危ぶまれるような怪我をしてしまいました。合宿から良い感じの仕上がりを見せていたのですが、試合自体が無くなっちゃうんじゃないかなという状態での最終的な調整だったので鈴木選手としては今回は意外に余裕の無い試合でしたね。テーピングとか嫌う鈴木選手が、その中で、右膝にテーピングを施させろ、という私の命令を素直に聞いてくれました。後でテレビ等で試合を見てもらうと分かるのですが、そういう状況を取り敢えず対処するテーピングでした。ですから腕ひしぎのタイミングも鈴木選手にしては一回失敗してますから、やはり相当焦ったと思います。ライガー選手はその中で仕掛けて来るなというのが分かるだろうし、何をどう流れるということも練習してきてれば分かったと思うのですが、その中で自分が練習しきた中の体験よりも、もっと強いプレッシャーを試合の中で体験していったというところだったと思います。経験の差もあるので、一概にこの試合の事も選手のクオリティーとか、そういう事には触れられないのですが、にしても自分の未体験の大舞台に出てくるライガー選手の強い心。そして試合に出場出来るかどうか危ぶまれて、自分でもちょっとどうだろうと思っているものを試合一週間前に鈴木選手は道場に泊まり込みで調整をしています。弱くなりそうな心を自分で濃くして消去、クリアにしていくプロの強い心。今回の横浜文化体育館は色んな強い心に支えられた名勝負、名カードだったと思います。そんな意味でもう一度、鈴木vsライガー戦を見てもらうと、なんかちょっとノスタルジックな気分になるかもしれない、そんな横浜文化体育館でした。