率直な感想をお願いします。
菊田早苗:色んな展開の中で、ちょっと想像と違うものがあって自分は自分のペースで進めて来たんですけど、想像を超える粘り強さがありました。予想外でした。

一番予想外だったところはどこですか。
菊田早苗:やっぱり相手も考えて来てるんですけど、テイクダウンで片脇ぐらいは差せると思ってたら、全然差せないので、しょうがいないから、もう両脇抱えたまま投げてました。それは力の差が無いと出来ないと思うんですけど、しょうがないから、両脇あげたまま投げてました。そこで無理だったら離れるとか、そういう事をしたいんですけど、離れるとまた組み付くしかないので、あげたまま対処しなければいけなかった。また差し返すと向こうもまた次のタイミングで離そうとするんで、そこでキックなり、蹴りなり、また入れられちゃうと思ったんで、あの不利な体勢のまま組みで勝負しなければならなかったところにスタミナのロスが激しかったのと、あとはやはりちょっと必要以上に汗で滑って良い感じでいけなかったです。パンチは特に一発ダーンと効いたというのは無いんですけど、細かく息する暇も無く来るんで、それでただ、見栄え、印象とか、気絶するとかそういうのではないんですけど、そこで焦りがまたちょっと出て、やっぱりこれしかないんで、連打というのがちょっと。ガードのまま勝負したかったんですけど、とても普通の僕のスイープじゃ汗でコントロール出来なくなってしまいました。もうあとはハーフにしてからスイープしたんですけど、それが最後やっとで。今日の一番の失敗点は最後にタックルを渾身の力で、最終ラウンドかな、これで倒して上取ったらもう完璧だという時に、根性と根性の対決で、あそこでちょっと踏ん張られたのが並みの選手ではない根性でしたね。倒せるかなと。普通、倒れないのがあそこで倒れて行くと思います。あれで最後ドバドバって来ちゃったんで。あ〜、あそこは悔しいですね!確実に倒さないと、あそこで。

やはり近藤有己という選手は凄かったですか。
菊田早苗:粘っこかったですね、予想以上に。

その近藤有己選手と闘って、そのベルトを再び腰に巻くというのは。
菊田早苗:正直言って、勝った気はしてないですけど。だからといって、3R目に攻め込まれましたけど、1〜2R目に打撃でバンバンバンってポイントを稼がれていたわけでもないので。やはり勝ちもないし、負けもないし、欲求不満な感じで終りました。

それがリング上での再戦要求だったんですか?
菊田早苗:そうですね。お互いどろどろした試合になっちゃったんで、実力付けて、という感じですかね。打撃は予想以上に上手く封じたんですけどね。スタミナも特に凄く切れたというわけでもなかったんですけど。まあ〜寝技の打撃が、あそこまでもらうとは思わなかったのが、ちょっと予想外と、それも最終ラウンドなので1R目にああいう展開になるのとは違うんですよね。こっちもスタミナが残ってるんだけど、あそこまで打たれると、残ってるのも無くなっちゃうんで。そういう事なんだ、というのがわかりました。

総括して近藤有己との一戦というのは菊田さんにとって、どんな事でしたか。
菊田早苗:今まで、パンクラスの中で鈴木さん、高橋さん、美濃輪さん、近藤さんと来たんですけど、ま〜正直言って、やっぱり強かった。四人の中では、ちょっと二枚ぐらい上だった、という率直な感想です。

次は完全燃焼で叩きのめすと。
菊田早苗:そうですね。ま〜確かに不思議な選手だったけれども、本当に不思議な感じがしましたね。寝技の技術的には、あそこで例えば返されそうに無いなと思うんですけど、返されたり、パンチも打てるかなと思って、打てなかったり、じゃ〜肩固めにいこうかと思ってもいけるタイミングじゃないし、亀でちゃんとひっくり返るかと思ったらひっくり返らないし。今回は極めるところで極めにいこうと思ってたんですけど、その隙は大分少なかったですね。自分なりには結構落ち着いていたんですけどね。3R目にちょっとね。攻め込まれちゃったんで、後味悪いでよね。

非常に悔いの残る闘い方だったと。
菊田早苗:最後のタックルだけですよ。あれで3R目の最後で何としてもと、僕も根性を最後に出したら、ちょっと届かなかった(笑)、そこで下になったのが運の尽きでした。

リング上で再戦を誓った菊田選手ですが、ファンの方へメッセージを。
菊田早苗:今日はちょっと、正直言って申し訳ない。あんまり良い試合じゃなかったです、とりあえず。今まで、ず〜っとちょっと一本取れる試合から遠ざかっていて、今日は気持ち的にも気分的にも充実してたんですけど、ある意味、さっきあそこでタックル取りきれなかったのが運の尽きだったと言いましたけど、やっぱりさせなかったというところが、彼の実力だと思いますね。だから必死で今日はもう、調子悪いとかではなくて、最後の最後のとこで強さを見せた3Rに、そこに強さを知りました。

3Rにタックルにいったのは、膝のボディーが効いてという事ですか。
菊田早苗:効いて、というのは無いんですけど、やっぱり、やらせておくと、どんどん向こうもリズムに乗ってくるんで、それで僕もちょっと作戦を変えたというか展開を変えたというのもあります。ま〜あの距離の(膝蹴り)がお腹に当たっても別にそれはどうって事はないんで、それぐらいは。一番恐いのは、やはりジャンピングの膝ですから。ま〜、良く考えて来てますね。不動心とか言ってるわりには、すごい戦略家で完全に戦略してきましたね。決めてここはこうだとか。正直言って、一番初めの展開としては、昔ですけど、見ている限りでは、テイクダウンされたまま負けちゃうという選手で、VS郷野戦の時に投げた後に立つという事を自分でちゃんと戦略を立てて来て闘って、今回は僕は倒してから立つ相手に割と自信があったというか、それも考えていたんですけど、それも、その前にテイクダウンすら簡単にさせなかったというのが、ちょっとそれが凄かったですね。

1R目に外掛けでスカされた時とかは気持ち的にはどうでしたか。
菊田早苗:やっぱり1R目はスタミナがあるんで、僕も下の技術が無いともらっちゃうんですけど、特に別に、ディフェンスはあるし、いつでも返せるという余裕はあるんで、だから、そんなに(焦ったとか)はなかったですね。逆に向こうもいつもより1〜2Rはパンチを打てなかったと思います。それは、やっぱりその、力量で何となく打てないというのが判ったと思います。ただ3Rだけは、こっちもスタミナが多少切れてるのと、向こうも3Rという最後に、ま〜それも戦略ですよね。1Rからああいう風には来ないと思うんですよ。恐ろしいですね、そう考えると。

近藤選手のコーナーワークとかは。
菊田早苗:上手かったですね。

具体的に言いますと。
菊田早苗:やっぱりね、わかってやってるのかわからないですけど、滑って滑って、差したいんですけど、差させないんですよ、こっちを。こっちは自分が差していて。こっちを差せればクラッチして投げているんですけど、これを差させないんで。で、結局、僕が差されてますよね。差してから投げるというのを考えていたんですけど、差せないもんだから、ここ浮いちゃうんですよ、こうやったまま、そうすると今度僕は外から巻かない限り、これを空いてるいる手で顎か何かを、ぼ〜んと押されて、バンと来たらしゃれにならないですよ。差せない、間が開く、そこで何かを、俺は狙うぞ、狙うぞというのを多分見せたのだと思います。その辺が、ちょっとこう、外掛けしなければいけなくて、かけてもかえされちゃったりして、それを誘ったというのもまた上手かったな〜。上手い!

引き分けの防衛では、防衛した事にはならないというのが正直な感想ですか?
菊田早苗:ん〜、まあ、だから、そうですね。あの〜、僕としては、やはり1〜2Rは、特に何が効いたというのはないし、優位なポジションでいるんだけれど、3R目で決定的に、やはり集中して何分ぐらいかわからないですけど、殴られちゃったんで。それも別に、その、なんだろう、立てないとか、効いてるという事ではないんですけど、総合すると集中的にやられたのと、1Rのペースをグラウンドコントロールで握っていたのと、なんと言うか、これといった攻撃が出来なかったのが、やっぱり納得いかないですね。

3R終った時点では判定はどうなると思いました?
菊田早苗:そうですね、どうなってもしょうがないなという気持ちでしたね。

正直、落としたかな、という実感は。
菊田早苗:ただ、やっぱり・・・・・、難しいですね。ま〜何だろうな、例えば確かに3Rに集中的に殴られちゃったというのはあるんですけど、だからといって、1〜2R押え込まれてるだけだから、引き分けだという風には、試合なんだからいかないだろうし。こっちもいつ、極めるか極めるかという気持ちでやってるんで、どうだろうな〜。難しいと思います、やっぱり、それは。勝ったとも言えないし、負けたとも言えないし。ま〜、運が悪ければそれこそ負けただろうし。勝ってたとしたら運が良かったいう感じだろうし。

もう一度やって決着をつけるという感じが強いですか。
菊田早苗:そうですね。それしかないんじゃないですかね。信じられない、出来過ぎの様な結果でしたね。

再戦というのはパンクラスの10周年大会で、という風に考えてますか。
菊田早苗:死にますね、多分(笑)。死んじゃうと思います、多分。疲れちゃう(笑)。やっぱり今日は、調子は正直言って悪くなかったですね、本当〜に。ただ、やっぱり、あの〜、独特の攻撃が、普通の選手とやってるんだったら、あそこまで疲れなかったと思います。あの体勢になっても(パンチを)もらわないと思います、あそこまで。やっぱり疲れさせるものを出されましたね。1秒に1本打ってきましたからね、本当に。

疲れというのは独特の読めなさですか。
菊田早苗:そうですね。あーいう風になると考える試合じゃなくなっちゃうんですよね、結局。1秒1発できちゃうと。だから例えば、それも落ち着いてれば、下から巻いて止めるという事は出来ると思うんですよ。でも僕とすると、止めるとすると、やっぱり劣勢で、守りと一緒なんで逃げるチャンスがなくなっちゃう、という事でやっぱり向き合いたいですよね。そうしたら蹴るチャンスが出て来るかもしれないし。スイープのチャンスも出て来るかもしれないし。だけどまたそれがね、逆効果で、そのまま、モロそれ(パンチ)をもらっちゃうと言うか、そういうのはわかってたんですけどね。抱えるというのは出来なかったですね、気分的に。抱えた方がパンチはもちろんもらわないと思うんですけど。だから、ちょっとね、ま〜正直言って、だから、ああいう展開で、今まで、強豪選手も、無名選手もやられてきたパターンだと思うんですけど。ちょっとその罠に自分もはまっちゃったなと。ただまだ1〜2R目に、そんなに優先権を(取らせず)、上手く上になっていたので凌げたけど。まぁ、次が楽しみだという感じですかね。

ずばり期間は置きたいですか次は。
菊田早苗:もちろん、そうですね。どうですかね、何とも。尾崎社長に聞いてみないと。

近藤選手は1年か、それ以上置いて、そこからビッグになって再戦したいという事ですが。
菊田早苗:ま〜、そういう感じありますね、僕も。もっと、きっぱり、きれいに決まるんじゃないですかね。

とりあえず、8月31日の両国が発表されまして、そのメインに菊田さんがラインアップされると思うんですけど。
菊田早苗:ま〜今日ドローだったんで、どっちでも良いんじゃないですか。

あまりやりたいという気はないですか。
菊田早苗:やっぱり近藤戦の事しか頭に無くて、終っちゃったんで、ちょっとモチベーションが難しいですね。本当に。モチベーションがちょっとなかなかやっぱり。そういう意味では向こうの方がモチベーションが高かったと思いますね、自分よりも。

10周年記念のメインを自分がはるという事はそんなに今は。
菊田早苗:ん〜〜、ま〜出来ればトップで10周年も15周年もメインはりたいというのはあるんですけど、どうですかね。期間もあるし、モチベーションの問題もあるし。モチベーションですよね。それこそ本当に難しいですよね、そういう意味では。僕の中では、やっぱり日本人選手との対決は、ちょっと、やっぱり一区切り付いたかなというのはありますね。

それはパンクラス内の日本人選手という事でよろしいですか。
菊田早苗:いや〜外を含めても、やれるチャンスとか考えると、もう思い浮かばないですね。

今とりあえず8月31日でシュルト選手やアルメイダ選手という名前がちらほらと、実際どうなるかわかりませんけれど。菊田さんとしては、そんなに時間が無いですよね。
菊田早苗:難しいですよね。ただ、やっぱり今日やった感じでは、近藤選手と、今日こういう結果だから、世界のヒカルド・アルメイダとか(と試合しても)、もっとこれじゃ勝てませんよ、という感じじゃないんですよね。今日がやりにくかったですね、本当に。あの人達(外国人選手)の方が手があうのかもしれないし。ちょっと、だから、ん〜・・・・・、今日も、そこそこ柔術のテクニックとか、投げられた後とか、投げられた時とか、そこそこのテクニックが、そこそこがね、バランスが良いんですよね。全てにおいて。戸惑っちゃったな、ちょっと。今日のは、ちょっとあれは、タックルだよな、全て。もうちょっとだったんですけどね。あそこで倒す技術とか、倒す事が出来なかったのが。は〜〜〜。あれで上になったのと下になったのでは。(近藤選手は)意外に柔術的な考え持ってますよね。何か、パウロ・フィリョとか、あの辺が何か一本取れなかったというのがちょっとわかりましたね。

尾崎社長:ちょっと待ってんだけど(笑)。長いから(笑)。

菊田早苗:あ〜〜〜〜、ちょっと何分続いてるんだ一体(笑)。

菊田早苗選手database