第7試合 15分1本勝負 特別ルール
×菊田早苗(15分00秒、判定)ムリーロ・ブスタマンチ○

この試合は特別ルールでしたが、コロシアム2000に近いルールでした。打撃の制限というのがいくつかあって、それは逆にいうとブスタマンチ選手が色々なルールの中で闘って来て、これは危険ではなかろうか、こういう場面でこういう事をされるのが一番自分らしさを消されてしまうのではないか、というのを含めての提言だったと思います。難しい部分が一つあり、どちらか、または両選手共にグラウンドポジションの時の打撃に関してですが、その制限を解り易く言うと、相手を寝かせておいて自分が上になっている状態で膝による頭部、顔面への攻撃は反則ということです。足での攻撃、つまりその状態でのキックはOKです。反則例として、上になっている選手が押え込みの横四方から腕を取りにいく前に体を少し引いて、腰を少し引いた後に、頭に近い方の足で膝蹴りを顔面、頭部に入れるという攻撃です。それを膝ではなく、足や脚の脛等での攻撃は認められます。たいへんおかしな感じはしますが、その体勢では足や脚の脛等での攻撃はまず不可能だという事です(笑)。私がこの試合のレフリーを務めましたが、ちょっと面白いルールだなと思った試合でした。

さて内容ですが、これはお互いパンチで間合いを取りながら差し合って組み合う様な、一口に言うとテークダウンの取り合いの試合でした。見所だったのはタックルを仕掛けて倒すというより、どちらかというと柔術に長けてる両選手ですから、投げて上になるんだという意識が凄く強い試合だったと思います。差し合いから相手を崩して、そこから腰投げまたは脚を掛けてとにかく倒そう、投げ倒そうという意識の強い試合でした。なんでも良いから相手を崩してしまえとう感じではない、かなり力強い投げ合いの拮抗がありました。お互い崩れたところから同時に投げ合ったりというところでは、レベルが高いというのを終始感じました。後はブスタマンチ選手が菊田選手をコーナーに押し込む、もしくは逆の展開、その中で脇の挿し合い、腕の挿し合いから優位に試合を運んでいくという形でした。残念ながらそこからマウントポジションになって攻めていく様な大きな動きをあまり見る事の出来ない試合でしたが、逆に言うと骨太な試合で本当に互角でした。

この特別ルールは、判定になった場合は10点方式で必ず10ー9、もしくはそれ以上の評価をしていくという採点方式で、引き分けがありません。私、梅木、小菅の我々レフリーの判断としてはコーナーに押し込んだ数がブスタマンチ選手が多かったという事での判定です。ですからこれは技術点でも何でもなく、無理矢理捻り出した感じです。柔術の世界チャンピオンと言っていいブスタマンチ選手に、どうどうと正面から渡り合って、ドローだったと考えていただいて結構だと思います。試合後ブスタマンチ選手も菊田選手にそのように話しかけていた程です。これがドローになって延長戦という形になったらこの後どうなるんだろう、というところに興味が引かれると思います。ですからもしチャンスがあるのであれば、もう一度見たいカードです。菊田選手ファンの皆さんは、劣勢ではありませんでしたので、今後ますます応援していただきたいと思います。その様な一戦でした。