UFCミドル級タイトルマッチ
○ティト・オーティズ(1R、1分52秒、ネックロック)近藤有己×

良い部分でも悪い部分でも仕掛けの早い近藤選手ですが、一つキーポイントがあるとすれば、お互い崩れて尻餅を付いた中間距離で何気なく組みにいってしまった近藤選手は近藤選手らしくないなと思いました。昨年のコロシアム2000の時は、あそこから殴りに、もしくは蹴りにいきました。それを何故か安全に組みみにいってしまった。そこでオーティズ選手が立ち上がって来た所にキーがあったと思います。

後は、やはりオーティズ選手は試合馴れしてるなという事です。相手を掴んでコントロールして打撃を加えていく。中間距離で安全に確実に打っていく。要するに離れて手を振り回してボカボカ打つのではなく、頭を固めて動けなくして、金網を利用しコントロールしながら一発一発をきちんと当てていき、崩していった相手に対して技を仕掛けていくという所で、きちんとしたオーティズ選手のセオリーがそこに見られました。ですからその様な意味では組む組まないという様なところ、あそこでお互い倒れ掛かったところ、オーティズ選手が尻餅を付いたところで、ダイビングパンチか何かしても面白かったかなと思います。思い切りの良い近藤選手ならばそれが出来るのではないかという事を、試合後、近藤選手に話しをしました。そこまでしなくても要するに自分のやりたい事をやれてしまっただろうという話をしたら、「その通りですね」という答えが返って来ました。本当は自分が押さえつけて殴りたかったのに、押さえつけられて殴られてしまい、そこに我慢出来ない形のネックロックに入られた所で勝負がついてしまったという試合でした。

あのネックロックは相当強い力で絞められたと思います。顎もずれましたし首もかなり大きいダメージを受けましたので、試合後、治すのに相当苦労しました。

その様な中で彼は良い経験をしたと思います。この経験を2月4日の試合でしっかり対処して闘っているところに私は近藤選手の非凡さを感じました。一個の課題をちゃんとクリアして、本能の闘いをしている様に見えて実は練習では緻密に積み上げている、というところに、若き帝王の片鱗が見えるし、だからこそもっともっと大舞台に出て行ってもらいたいなと思います。