第4試合 ライトヘビー級戦 先鋒戦(5分3R)
○菊田早苗(1R、2分14秒、肩固め)渡辺大介×

菊田選手はこの一年でグッと名前を上げた男としては、日本格闘界の中でも三本指に入るだろうと言うぐらい、良い試合をしてくれた選手でした。グラバカを率いてパンクラス全体の活性化にも大きく刺激剤としてがんばってくれてる選手ですし、今年の最後の試合をどう闘うのかなと、どんな感じで終わらせてくれるのだろうという事と、パンクラス横浜の渡辺大介選手、この夏くらいに、ある所で今年のパンクラスの一押しの選手は誰ですかという事を聞かれた項目で渡辺選手ですよと名前を挙げた事があるんですが、今年の夏でパンクラスの選手で本当に汗をかいたのはこの男ではないのかなと思うくらい心身ともに充実してきました。自分はどうやって何をしたいのかという事と、何の為にパンクラスにいるのかという事が単純に彼の中で火が点いたというか、確固たるものが出来たと言う事です。ですから今回の渡辺大介選手は本当に勝つ気持ちでリングに上がって来ました。勝てれば良いなとか、良い試合が出来れば等、その様な言い訳はしないで、本当に菊田選手から一本取るんだという事が試合前の状態からかなり自分の中で燃え上がっていて、それをきちんと持ってましたから、そういう意味では期待をしていたのですが、開始早々の飛び膝蹴りが菊田選手の顔面を襲って、打たれ強いと思う菊田選手がお尻からキャンパスに落ちましたので(あの膝蹴りは)相当効いていたと思います。目も虚ろになっていましたし、渡辺選手はそのまま一気にグラウンドのパンチに持ちこもうとしたのですが、その中でも足でコントロールしていくという中に、やはり流石世界の菊田だなと言う所が見え隠れしましたね。そこで一歩落ち着いて、ちょっと距離を取ってから脚で打撃に入って、パンチとか違った展開を一歩余裕のある形で渡辺選手が立ち振る舞って貰えると結果も違っていたんでしょうけども、膝蹴りのダメージを上手く凌いだ菊田選手が流石という形で肩固めに入って一気に持っていきました。

これもこの時間で一気に持っていったという事は、逆にいうと菊田選手に余裕がなかったということです。これは今回の美濃輪選手にも言えると思います。相手が鋭いものをもっている、恐いものを持っているからこそ極められる時にしゃにむに極めてくるという、その辺で秒殺の意味が拮抗した、混沌としたパンクラスのマットを表わしている様な試合が2つ続きました。来年は菊田旋風をもっと見せてもらいたいです。渡辺選手は自分のやった技で、パフォーマンスでお客さんがあれだけ沸いたというのは、パンクラスに入って初めてだと思います。それがどれだけ渡辺選手を育てるのか。これは来年楽しみな事が続いたと言う事で、渡辺選手には来年も注目していきたいなと思います。