メインイベント『ネオブラッド・トーナメント2003〜ミドル級〜』決勝/5分2ラウンド
×奥田正勝(2R 4分35秒、ギブアップ/腕ひしぎ十字固め) 中西裕一○

この試合、やはり1回戦目の疲れもあったのか、奥田選手はちょっと元気が無かったです。それに対して中西選手、1回戦の勢いをそのままリングの中で表現してくれて、私はすがすがしくて、面白くて、気持ち良かったです。前に前に、ある時は思い切り良く、ある時はきっちりと堅く、緩急をちゃんと使いながら闘い続けて、奥田選手を翻弄しました。その翻弄した結果が、最終的に十字固めで1本勝ちできたいうところで、長い、この27日の「N.B.T.」のDAY、NIGHTの最後を1本勝ちしてくれたというところに私は何か中西選手の才能、天分、そういうものが見て取れた、そんな形でこの試合を見ました。

そして最後この決勝トーナメントで表彰された後に、ネオブラッドのMVPという事で前田選手が表彰されました。これは総括も含めて、私は今回ほどハートのある選手、頑張って頑張って、苦しんで苦しんでいる選手が、ちょっとづつ自分を変えてきたという、丁度上半期の間の試合ですが、ネオブラッドという事で今迄の自分からまた生まれ変ろうとする、今回優勝した選手達と、そしてず〜っとプレッシャーを受け続けてきている、もしくは自分で課題を持ちながら、頑張ってきている山宮選手、石川選手、渋谷選手。大きな岐路に立たされながらも、しっかり自分を変えて来た高橋選手。後半に向けて、パンクラスのリングはいよいよまた変っていくと、そんな予感のする、この27日だったと思います。それを代表するMVPの前田選手。デビューから6連勝という形で、本当に物凄い勢いを持ってきてます。でも、その勢いというのは、彼の才能もありますが、試合中終始コーナーから先々を読んで、無駄の無い適確な指示を出している、先だって引退した稲垣 克臣の存在というのを見逃せません。要するに良い指導者の上に良い選手、良い素材が乗っかる事で、やはり人間というのは、いかようにも変化できるんだという例だったと思います。そういう意味で基本に忠実で、やる事を、やるべき時に素早くやって、勇気を持って自分の技を思い切り良く出していく。これがMVPに繋がったし、そして、その栄冠、タイトルに繋がったんだなと思います。ですから、パンクラスにも、迷えるismの選手達や、パンクラスのリングにチャレンジして勝ち星に恵まれない選手達や、日々練習をしている成果が試合の結果に出難い選手達がいっぱいいると思います。そんな中で一皮剥けるのは実は自分自身の強い気持ちというものが日常の中に無ければ、今のプロのリングは栄冠としてその努力に報いてくれる事はありません。そのぐらい、今、日本のプロのリングは、格闘技のリングは大変ハードルの高いリングになってきてます、という事です。そういう意味で、頑張って、頑張っていれば、心していれば、必ず報いられる時がくると思います。それまでスタミナのある努力を、スタミナのいる努力を繰り返して、頑張ってもらいたいと思います。