|
: 8/31(日)両国国技館大会で、アカデミーア・ブドーカンのエバンゲリスタ・サイボーグ選手との対戦が決まりました。そのVSサイボーグ戦のお話をお聞きする前に、佐々木選手にはどうしてもうかがわなければと思っていた一戦、前回(6月・梅田ステラホール)の試合のVS渡辺大介戦に関して、先ずはお話ししていただきたいと思います。試合後日にその映像もご覧になってらっしゃると思いますが、あの敗戦をご自分ではどう捉えていらっしゃいますか? ■ 佐々木有生:そうですね〜・・・ん〜まぁ、まず1つはちょっと考え過ぎてたっていうか・・・難しい問題になっちゃいますけど・・・ん〜まず自分の中にあるのは、まぁ言い訳の1つとしてやっぱり(試合を)止めるのが早かったんじゃないかって。まぁ、それはしょうがないですけど。で、2つ目はやっぱり自分の気持ちがノラなかったっていうのがスゴイあったのと、精神的なコンディションが最悪だったんですね。でもやらなきゃいけない。そこでどう自分をつくっていくかっていうことでスゴイ悩みながら当日を迎えて。それで「何か変だな、何かおかしいな〜」って思って試合をして。いつもは冷静に冷静に展開を読めるんですけど・・・まぁ、極端なことを言えばミドルキックだけをポンポンポンポン蹴ってれば、多分判定で勝てた試合だと思うんですよ。でも自分は一本勝ちしなきゃいけないっていう、その考え方にスゴイ囚われてて、自分自身を見失ってたっていう。あの時に悪い事が全部重なりましたよね。そういう状況だと、自ずとやっぱりああいう結果になるんじゃないかなと。 : 前回の敗戦をご覧になった、またその結果をもちろん知っている佐々木選手のファンの皆さんは心配していらっしゃると思うんですけど、そういう中で決まったVSサイボーグ戦。初参戦の5月(横浜文化体育館)には、渋谷(修身)選手を相手にかなりインパクトのある勝ち方をした選手ですが、サイボーグ選手に対しての印象はいかがですか? ■ 佐々木有生:ん〜・・・確かにスゴイ凶暴で、でもちゃんとしたワン・ツーとか左右のフックとかいう強力なパンチがあって、尚且つアグレッシブという。そういうテクニックも気持ちあるから、やっぱり強豪だと思いますね。「あっ! スゴイ選手だな」っていうのが第一印象ですよね。 : 前回の試合が短い試合だったのでなかなかわかり辛いことかも知れませんが、サイボーグ選手の技術的なことに関してはどうご覧になってますか? ■ 佐々木有生:そうですね〜、まぁ、スタンドでは投げられた瞬間によく立ってましたし、そういうのを見ると、人が油断しそうなところでちゃんとパンチが出てましたね。コーナー際の離れる瞬間とか、人が一番集中力がパッと切れる時の場所でよく攻撃ができるっていうのはあるんじゃないですかね。 : 打撃に関して言えばパンチしか観れなかった試合だったんですけど、そのフォームとかをご覧になっていかがですか? ■ 佐々木有生:ん〜・・・綺麗ではないですよね。パンチを出す形が綺麗な選手はもっといっぱいいると思いますけど。まぁ、それを補うに十分なスタミナとアグレッシブさがありますよね。 : 怒涛のラッシュですね。 ■ 佐々木有生:そうですね。ガンガンきますね。 : 以前、郷野(聡寛)選手に佐々木選手とサイボーグ選手の試合についてお聞きした時に、「相手というより自分自身の問題で、それを乗り越えられれば勝つ」とおっしゃってたんですけど、この発言に関してはいかがですか? ■ 佐々木有生:ん〜そうですね・・・今まで負けが続いてきたっていうのを踏まえて、多分、それがスゴイ響いていますね。自分自身の問題っていうか。自分が何か新しいことに取り組もうと思った時に、それが噛み合わなかったり、ちょっとそれは違うんじゃないかってだんだん矛盾を感じてきて、これじゃいけないんじゃないかっていうのが自分の中で拡がってきて。考えながら考えながら試合をしてきた、考えながらじゃなくて悩みながら試合をしてきて・・・去年からですか? まぁ、ほとんど(良い)結果が出てないですよね。あとやっぱり、覚悟の量っていうんですかね。今日もスパーリングをやってて思ったんですけど、やっぱりやられないためには自分も動かなければいけないし。止まってるヤツはダメですよね。ボクシングでジャブを出さないヤツはダメですよね。それと同じで、やっぱり辛い時に如何に動くかっていうのが今日わかって。そういう、自分自身がやるって決めたら、今まではこう、「あ〜面倒くせ〜な〜、やんなきゃいけないかな〜」とかって思ってたんですけど、今は全くそういうのはないですね。自分がやるって決めて、あとはグチャグチャ考えてもしょうがないんでやろうと。それだけで良いんだなっていうのがわかったっていうのが、最近のスゴイ収穫ですね。 : では、そういう収穫を持って臨むVSサイボーグ戦なんですけど、今回、佐々木選手の中にある試合のテーマ、課題っていうのはどんなことでしょうか? ■ 佐々木有生:そうですね・・・今回は全部が、例えば(相手の)顔が怖いとか、すごいアグレッシブで暴力的だとか、前回渋谷選手の頭を蹴ったのを見てモラルのないヤツだな、容赦ないなって思ったんですけど、それを「怖い」とか思うのは、それは自分自身が作り出してしまうものじゃないですか。結局それをどこまで自分で理解できるのかっていうことと、そういう状況の中で、試合中の攻守のバランスっていうんですか? そこで如何に相手の隙を突いたり、我慢できるかっていう。辛抱強くやれるか? 自分の時間じゃなくても、例えば1ラウンド2ラウンドが自分の時間じゃなく相手の時間だとしても、最後の3ラウンドで自分の時間がきたら、そこで如何に自分がキッチリできるか? そういう試合ができるのかっていうのが今回のテーマというか。先へ行くための。去年の後半から負け続けてきたんですけど・・・ん〜・・・(VSサイボーグ戦を)やめたいって言えばそれもできたと思うんですよ。でも自分として、ここでやめたらまた自分がダメになっちゃうんじゃないかなと。負け続けてきてるから、じゃぁ今度はこの(楽な)相手でっていうのは・・・。ん〜何だろう? 損得勘定で言えば今回の試合は損の方になるかも知れない。でも自分ではそれを損だと思ってないですね。得だと思ってる。まぁ、辛いこととか困難は買ってでもっていう感じで、それで格闘家として成長していくのであれば、それで良いと思ってます。やりたくてもやれないヤツがいっぱいいるわけじゃないですか。でも僕はケガをしてても何にしても何とかやれる。だったらそのやれるものを何とか100%出せば良い。それで良いんじゃないかなって。そういう気持ちになれましたね、最近。まぁ、それで結果が付いてくるかどうかは別問題ですけど。そういう中で自分をしっかり出せれば良いなって思ってます。 : わかりました。今、佐々木選手から「先へ行くため」という発言がありましたが、今回のVSサイボーグ戦に勝利したあと、その先に見据えているものって何でしょうか? ■ 佐々木有生:ん〜・・・そうですね・・・格闘家としてのこの先は、今自分にないものをしっかり見据えて、それを自分に備えて、そこから更に先へ行きたいですね。 : その「先」っていうのは、何か具体的にあります? それともその「先」っていうのは、ご自身の内なるものなのか? 逆に外にあって形になるものなのか? ■ 佐々木有生:ん〜・・・僕、自分的にはランキング4位っていう位置がすごい好きなんですね。だから取り敢えず先ずはランキング4位に戻りたい。これが形になるものですよね。あとはもっと自分に(足りないものを)蓄えて、またPRIDEのリングに上がりたい。それがありますね。損得関係ナシに、PRIDEのトップの選手と対戦してみたい。内なるものとしては・・・自分自身の心に対して、決めたことに対して強固でいたいなっていうのがありますね。自分を律していきたいっていうのがすごいあります。まぁ、それぐらいかな。 : では、佐々木選手ご自身の試合からちょっとだけ話題を変えて。今回の両国大会で『VS世界のトップ・バァーリ・トゥーダー』に出場するGRABAKAの三崎選手、郷野選手、菊田選手の3選手に対して、佐々木選手がそれぞれに期待することをお聞きしたいと思います。まずはVSヒカルド・アルメイダ戦に臨む三崎選手から。 ■ 佐々木有生:そうですね〜・・・別に臆することは何もないと思います。勝ってもおかしくないですし。僕があそこまでできるなら、三崎君はもっとできるはずだし。潜在的なものを含めて、できておかしくないと思います。だから「(相手が)寝技強いからな」とか、そんな風に臆する必要はないと思います。この先自分が見据える所に行くために、ここでVSアルメイダという、トップの選手とやる機会があるんだから、それを味わって自信を付ければ良いし。今、ないものがあったらそれを蓄えれば良い。だから本当に堂々と試合してほしいと思います。堂々と闘ってほしいですね。 : では、ニルソン・デ・カストロ選手と対戦する郷野選手に対して。 ■ 佐々木有生:まぁ、本当にあまり心配してないですね。勝つと思います。 : 佐々木選手がそう思う根拠は? ■ 佐々木有生:ん〜・・・そんなにね・・・VS山宮戦(6月・ディファ有明)を観たんですけど、山宮選手もやりようによっては勝てたと思うんですよ。だから郷野さんもやりようによっては全然勝てると思います。拘る部分は拘って良いけど、固執しちゃいけない。そのバランスだけじゃないですか。自分はこうして来たからこれを通すんだっていって、例えば殴り合っても相手がパンチ強かったら、それは五分五分になるわけじゃないですか。そういうんじゃなくて、自分をよく知って自分の闘いができれば、十分勝てると思います。 : では、エルヴィス・シノシック選手との対戦が決まったボス、菊田選手へ。 ■ 佐々木有生:菊田さんに関しては・・・いや、大変だと思いますね。シノシック選手自体、あんまりみんなわかんないと思いますけど、強いと思いますし。U.F.C.でティト(・オーティズ)に挑戦できるってことはスゴイ強いからだし。ん〜・・・まぁ、普段通りに、別に焦らないでいつも通り自分のペースでしっかり寝技とかをやっていけば、別に大丈夫なんじゃないかなと。菊田さんの良いところは、相手の懐に入らないことじゃないですか。で、自分を通せば。菊田さんは自分を通せるだけのものがあるから、それを通せば良いんじゃないかなと。そこで別に慌てる必要もないし。それで十分、そうしたら十分勝利が菊田さんのものになるんじゃないですかね。 : わかりました。ありがとうございます。では、これで最後です。8/31(日)両国大会で佐々木選手の勝利する姿を本当に期待しているファンの皆さんへのメッセージをお願いします。 ■ 佐々木有生:まぁ、自分の覚悟がどこまでのものなのか。また自分自身を知る試合になるんじゃないかなと思います。ただ、相手は自分とは真逆の選手です。今の状況を考えたら、最悪の時かも知れないですけど、でもきっとそれは最高の状況になり得るんじゃないかなと。ここで勝てば最高になり得るのなら、この状況で勝ちたいなと思ってるので、そのために自分が何をするべきなのか。それは自分のテクニックとか、全てを駆使して倒したいなと思います。パンチだけは喰らわないように。喰らわないように自分のテクニックを駆使したいと思います。で、一本勝ちしたいですね。 ■ 佐々木有生選手database |