無差別級KING OF PANCRASE タイトルマッチ/5分3ラウンド
×近藤有己(3R 3分26秒、ギブアップ/チョークスリーパー)ジョシュ・バーネット○

久々に会場が凛とする様な、戦慄が走る試合であったという事と、無差別級のチャンピオンベルトがかかってたというところで、また一つ新しい形になってきました。それ故にさっきから無差別級の闘い方を思い出せ、という話をしてきましたが、それにしても、さすがUFCチャンピオン。やはり体の大きいだけの選手ではありませんでした。膝蹴りにしても投げにしても組み合ってのガードにしても、それはそれで、やはり理に適ったきちんとした選手でした。隙が無かった、といえば、隙が無かったと思います。パンチも重いし、かと言ってバランスが悪く打ち込んでくるわけでは無いし、そして組んでも強い。組んだところから投げも打てる。そこからまた体勢を整えてグラウンドも仕掛ける事が出来る。そういう意味では本当に凄く高い水準の中で平均点が出せている選手です。オールラウンドプレーヤーと言って良いと思います。それに対して近藤選手も1R、2Rと近藤選手らしさを十分出しながら、あんなに詰まった間合いから、よくショートアッパー、ショートフックを打てるな、膝蹴りが出せるな、といった細かいところで上手く闘っていたと思います。

そんな中で、試合の方は2R後半に入ってきて、徐々にテークダウンを、力技でサバ折りの形で、力技でテークダウンをとってくる、そこからの展開、マウントからの展開という形でバーネット選手が優位に試合を進めっていっての結果、試合の流れを掴んでいったという事です。ただ、そういう中で、グラウンドのパンチなんかは近藤選手は良く見ていました。まともに食らったパンチは少ないです。そういう中で、相手を掴んで、自分から転ぶのではなく転がす、投げることができるというのは、格闘の部分では物凄く大切な事です。投げるというのは、柔道、レスリングのイメージでいうと、それで1本になってしまうので、格闘性が少ないと思われてしまうのですが、実は相手の弱い部分を地面に叩きつける訳なので、ですから桜庭選手の試合の様に肩が外れたり、頭を打って失神してしまったりというケースが何試合かに1回は起きるようになっています。柔道、レスリングの試合でも国際試合なんかだと、1本取られるのが嫌で、手を付いて腕が折れる試合とかを良く目にすると思います。そういう事が投げという中には含まれているし、効率よく相手に対して良い位置につけるのも、良い投げ方をしてれば、必ず横につけます。そういう意味ではセオリーにハマって、小さくなってしまっているパンクラシストの現状が、私は出てきた様な気がします。何してるんだろう?という事です。要するに、よそから来た外国の選手の方が、「良くわからないから俺はこれで闘うんだ」と、腹を決めて闘っている人が多いです。それに対して負けたくない、何とか勝ちたい、普段の練習通りにやろうとすると、セオリーに自分が流せれてしまう。そんな試合を私は見たくありません。格闘家なんだから、枠を外れて良いんです!強くなるなら。そういう意味できちんとした練習をしながら大きな枠を外すには、良い教訓であったり、良い一つの流れであったり、相手から学ぶ事が今回い〜っぱい!あったと思います。さすがに良い選手を選んでマッチメークを8試合やっただけあると思います。そういう中で、相手から学んでいく事!勝った人も学べるし、負けた人も学べます。引き分けの人も学べます。相手は何をやってきたか、と言う事です。自分は何なんだろう?と考えた時に学べると思います。

ただ、負けたとはいえ、近藤選手はこの体重差で、いわゆるチャンピオンを相手に私は良くやったと思います。ただ、近藤 有己はこんな事を言われても嬉しくないというのも知っているので、敢えて私はこれ以上言いません。もっともっと自分の可能性を求めるとするならば、「近藤君、そろそろ腕を太くしようぜ」と言いたいです。体を太くしよう、と。内側からの力は使える様になったし、体の使い方も学んだ。そしたら彼に勝つ為には、今度は腕力、本当のパワーというもの。一般的なパワーというものも実は必要です。格闘家には体のエッセンスで不必要なものはありません!手に入れられるものならば、どんな能力でも身に付ける事!それが最終的に総合格闘家に求められた道です。これは今回、赤コーナーで名前を連ねたパンクラシスト全員が心して新しい自分を創っていってもらいたいです。新しい自分がいつ出来るのか?それは11周年なのか、12周年なのか、15周年なのか判らないけど、新しいスタートを切る為の10周年興行という事でパンクラシトに大きな期待をして、そして最後、引退した船木 誠勝が「パンクラスを丸ごと堪能してくれ」と、悪いところは悪い、良いところは良いと、それで声援して欲しいと言ったのと全く同じ内容をこういう形で伝えたいと思います。