10月4日(土)のグランキューブ大阪大会では、キャッチレスリングで花井岳文選手(Twist)との対戦が決定した大石選手ですが、間近に迫ったそのVS花井戦のお話をうかがう前に、先ずは前回の試合、7/21『DEMOLITION』でのVS平山貴一(和術慧舟會 千葉支部)戦についてお聞きしたいと思います。2001年12月の『DEEP2001』(ディファ有明)でのVS村濱天晴戦以来、約1年半ぶりという、久々のパンクラス以外での試合でしたが、いつもと違う緊張感はありましたか?
大石幸史:別にそれはないですね。いつもと同じです。ただ、ちょっといつものパンクラスより、まぁパンクラスのリングでも愛想は良くないんですけど(笑)、他のリング、対戦相手も慧舟會の選手ということで、どちらかと言えば僕は完全にヒールな感じだったので、やり易かったですね。

平山選手は慧舟會さんに所属する選手ですので、『DEMOLITION』はホームリングになり、逆に大石選手的には敵地に乗り込むという感じになりましたけど、そちらの方がやり易かったですか?
大石幸史:やり易いですね。

それはどういう点で?
大石幸史:相手を殴ったら女の人とかの悲鳴が聞こえるから(笑)やり易かったですね。「ザマァ〜ミロ」って感じて(笑)。

今の発言で大石選手のファンが減るかも知れないですけど(笑)、どうします?
大石幸史:いや、けど、僕は基本的には何となくそっちの方がやり易いですね。

ベビーフェイス志向ではないんですね?
大石幸史:僕は常々言ってますけど、「パンクラスismのヒールになる」って言ってますからね。「ismのヒールになる」って僕はずっと言ってますから。

それは初耳でした。知りませんでした。では、思い描くヒール像っていうのはどういうものですか?
大石幸史:何て言うんだろう・・・試合の中で名前のコール、例えば「オ・オ・イ・シ!」とかってあるじゃないですか。アレがない感じですね。逆に相手の方のコールが起こる感じですね。そのコールが起こること自体、結局試合の流れが自分の方にあるってことじゃないですか。だから相手のコールが起こる訳じゃないですか。もうそれはナシで、(自分が)圧倒的に勝ってて、そのまま圧倒的に倒す。なので、逆に相手のコールが起きた方が嬉しいですね。それは僕の方が強いっていうことを観客が認めてる訳ですから。それでそのまま僕が勝つと。そういうのが良いですね。

なるほど。『DEMOLITION』での試合では、もう少しでアームロックが極まるかな?っていうところまで大石選手が攻め込んだんですが、残念ながら極めきれず、でも3-0という文句なしの判定勝ちにも関わらず、試合後の勝利者インタビューでは非常に反省の弁ばかりが飛び出して。言葉数も少なかったんですけど、あの時はどういう心境でした?
大石幸史:まぁ、とにかく自分の中で極める技が少ないなっていうのがあるので、それがまずどうしようもないなと。多分、そういう気持ちのままの言葉だったと思います。

もちろん満足はしてらっしゃらない?
大石幸史:そうですね。

では、その不満の残ったVS平山戦から、約2ヶ月半を空けての10/4グランキューブ大阪大会なんですけど、この2ヶ月半という期間をどのようにお過ごしになってました?
大石幸史:あれからは・・・相変わらず普通に練習して(笑)、毎日を過ごしてましたね。特に変わったことはないですね。

VS平山戦での反省点というのも出てきたと思うんですけど、その反省点を埋められたという実感はこの2ヵ月半の中でどうでしょう?
大石幸史:まぁ、最近打撃の面では良いようにきてるとは思うんですよね。それは確実に。それが今後の試合で出るかどうかはまだわかんないですけど。今やってる練習の中では、前とは違う、全然レベルの高い練習ができてるとは思ってますけど。

ただ今回、その打撃がない、キャッチレスリングでの試合なんですけど、何故か大石選手は前回の大阪大会(昨年8月・梅田ステラホール)でも佐々木有生選手(パンクラスGRABAKA)とのキャッチレスリングだったんですが、キャッチレスリングでの試合というものに関して、大石選手はどんな感想をお持ちですか?
大石幸史:ん〜まぁ、やっぱり僕が一番大事にしてる部分なので。レスリングなしでは、僕は総合の中では生きていけないので、だから一番大切なところで。それをずっと練習してるし。まぁ、大事なところだと思いますけどね。総合の中でも。

では、キャッチレスリングの試合に出場することは、大石選手ご自身の中では有意義なことであると。
大石幸史:そうですね。キャッチだからどうこうっていうのはないですけど。普通に試合をやるだけですね。

今回の対戦相手の花井選手はパンクラス初参戦で、今年5月の『RED ZONE』という大会では修斗のランカーの選手に打撃なしのルールで一本勝ちをおさめた、“新・足関10段”というコピーも付いている選手なんですが、試合をご覧になったことはありますか?
大石幸史:いや、ないですね。まぁ、雑誌で見たぐらいです。名前ではなくて、その“新・足関10段”という言葉は知ってました。

そういう資料の少ない選手と、おそらく相手が得意とするルールでの対戦ということに関してはいかがでしょうか?
大石幸史:まぁ、資料が少ないのはず〜っとですからね(笑)。僕、大体データは少ないですね(笑)。基本的には。ほとんど何もないところから試合をするのが多いので。だから別にその点は何も気にしてないんですけど。

おそらく相手が実力を発揮しやすいルールということに関してはいかがですか?
大石幸史:いや、発揮してもらわないことにはダメですからね(笑)。良いんじゃないですかね。まぁ、相手が実力を発揮するしないは別ですからね。自分の力が出せるか出せないか。そっちの方が重要ですから。

せっかく打撃の面で良い感じが掴めてる今の大石選手にとっては、今回、それが生かせないルールでの試合になるんですけど、そういう中で大石選手が今回課題としていること、またはご自分の中で掲げているテーマというのはどういうことなんでしょうか?
大石幸史:キャッチでの試合も含めて、まだまだ自分のレスリングを試合の中で出し切れてない部分っていうのがいっぱいあると思ってるので、今回の試合はそれを、その部分を開放して出せればいいなとは思ってます。出し切れてないものを今回は出すって感じですかね。

わかりました。では、話題を変えて。今回も大石選手の“落ち話”っていうのを考えたんですけど、そういうのも大石選手は続いてるので、今回はちょっと知的な部分を見せていただこうと(笑)。
大石幸史:知的(笑)ですか。ないんですよね、実は(笑)。あっさ〜いですからね、僕。知識は(笑)。

いやいや(笑)・・・。え〜、お聞きしたいのは8/31両国大会、10周年記念興行に関してなんですけど、もちろん会場で生でご覧になってたと思いますが、大石選手の一番印象に残った試合とその理由を聞かせていただけますか?
大石幸史:一番印象に残った試合ですか?・・・。セコンドやら何やらでモニターでしかあんまり観れなかったんですけど・・・。何ですかね? やっぱり近藤さんとジョシュじゃないですかね。ん〜、近くで観れたし。その試合は。

どういうところが印象に残りました?
大石幸史:ん・・・何ですかね・・・。途中、ジョシュの方が慌ててるところが見えたので、「これ、いけんじゃないかな〜」っていうところが・・・。ん〜わかんないな(笑)。

試合自体はミドル級戦でしたけど、大石選手と同じウェルター級の現チャンピオン、國奥選手の試合とか、ミドル級の三崎選手の試合とかはいかがでした?
大石幸史:三崎選手の試合はモニターとかでチラチラしか観れなかったのであんまりわかんなかったですけど、國奥さんの試合はしっかり観ましたね。ん〜、何だろう? 別に國奥さんの良いパンチも向こうに当たってたし、國奥さんも相手のパンチをもらって、それでたまたま切れたっていうのが・・・。ん〜、どうなんですかね?難しいですね。

では、外国人選手、新日本プロレスさんの選手の中で、特に印象に残った選手っていうのはいらっしゃいますか?
大石幸史:ん・・・結局知ってる選手ばっかりでしたからね。パッと出の選手って少なかったじゃないですか。それこそみんな活躍してたから。まぁ、パッと出って言ったら、佐々木選手の相手(ヒース・シムズ)とかは、自分の階級でやればすごい粘り強くていやな選手だろうなって思いましたけどね。

レスリングで全米チャンピオンの実績を持っている選手ですね。
大石幸史:そうです、そうです。そのレスリングは、同じ階級だったら結構使えるんじゃないかなっていうぐらい、かなりしぶとかったですからね。ああいう選手はいやだなとは思いましたけど。あとはカストロですかね。反省の色ナシでしたからね。それぐらいですね。

わかりました。では、10/4グランキューブ大阪大会の後、同じく10月の31日に後楽園ホールでの興行があって、その後にはまた11/30両国大会が控えている訳ですが、両国大会への出場意欲っていうのはどうですか?大きな会場での興行で、自然と注目度も高くなりますが。
大石幸史:基本的にデカい会場だからそこで試合をしたいっていうのは僕の中にはないですけど。ただ、大きな会場でやるってことは、より強い選手を呼んできてくれるってことですよね。それだったら興味もあります。同じ強い対戦相手がいたとして、両国でやるか、後楽園でやるかっていったら、別にどっちでも良いですね。別に両国だからとかっていう感じではないですね。

注目度っていうことに関してはさほど気にならない?
大石幸史:まぁ、周りが、広さが変わるだけで、やってる部分は何も変わらないので。別にそれはどっちでも良いことだと思いますけど。これはプロとしての発言としてはダメかも知れないですけど、闘うこと自体が大切だと僕は思います。有名になりたいとか、そういう理由だと僕は多分強くなれないと思うので。本当に強さを求めてやっていきたいって、ここに入って思ったので。まぁ、基本的な考えはそうですね。

わかりました。では、良いお話も聞けたところで、最後に恒例の「ファンの皆さんへ」と思ったのですが、非常にそれを不得意にしている大石選手ですので、今回は大石選手個人の試合ではなく、グランキューブ大阪大会全体のPRをしていただこうかなと思います。
大石幸史:あ〜っ、全体ね(笑)。まぁ、僕の前の試合で言うと、(前田)吉朗君とか。最近1週間大阪に行ってきて、吉朗君とか、みんなと練習してきたんですけど、みんなすごい良い動きをするから。地元だし。何か(対戦相手の渡辺選手に)因縁つけちゃったから組まれましたけど。このカード(前田吉朗VS渡辺智史)。まぁ、面白いと思いますね。あと、デビューする藤原(大地)君。藤原君もすごい元気があって。ちょうど藤原君が出場する試合があったのでそれも観たんですけど、試合でもすごい元気があって。稲垣組はやっぱり注目ですよね。武重(賢司)も出るんですよね。武重の相手は矢野(卓見)選手ですから、これも面白いな。後の試合でいうと、山宮さんの相手(キース・ジャーディン)の写真を見たんですけど、すごいデカいんですよね。この試合、何て言っても山宮さんが本名に戻したっていう。これ、ホントびっくりですよね。良いスタートを切ってほしいですよね。ネイサン(・マーコート)には相変わらず強いところを見せてほしいですよね。それとやっぱりメインイベント(伊藤崇文VS花澤大介13)は注目ですよね。伊藤さんの場合は、何てったってこの試合の後が大事ですから。まぁ、それをあまり意識せずに、先ずはこの試合にって感じでやってもらいたいですけど。最後はやっぱり大石幸史のハイブリッドレスリングじゃないですかね(笑)。って言うしかないのかな(笑)。最後まで空けてたし。これは(笑)。やっぱりパンクラスはハイブリッド・レスリングですから。それを一番観ることができるようにしたいですね。僕は。今、力弱かったけど(笑)。

大石幸史選手database