2月6日(金)の後楽園ホール大会で、チーム・クエストのヒース・シムズ選手との対戦が決定している大石選手ですが、そのVSヒース・シムズ戦についてお話しいただく前に、まずは前回の試合、昨年12月・ディファ有明大会でのVS飯田崇人(A-3)戦についてうかがいたいと思います。試合自体は判定3-0で文句のつけようのない勝利を飾って、試合後のコメントでも「満足してる」とおしゃってました。VS飯田戦に関しては、試合後のあのコメントが全てですか?
大石幸史:そうですね、ハイ。まぁ、やってきたことと言うか、イメージしている感じにはちょっと近づけたぐらいの感じで。まぁ、ぐらいですけど、それは大きな一歩であると。そういう感じですね。

試合前にお話を聞いた時に、大石選手も元々はWKネットワークのRJW/CENTRALに所属していて、飯田選手も同じくWKネットワークのA-3ということで、もう随分昔のことなんですけど、同門だったということに対して、「関係ない」とおっしゃってましたけど、実際試合前に向かい合った時もそれは関係なかったですか?
大石幸史:はい。って言っても、飯田選手とは同門って言ってもそんなに練習したことはないですね。僕はRJWで、飯田選手はA-3ということで。ホントに時々何回かやったぐらいで。今はわかんないですけど、あの頃はRJWはRJWで、東京本部は東京本部で、A-3はA-3っていうのがあったんじゃないですかね。RJWだけだったかも知れないですけど。A-3だとか、東京本部の人たちには負けられないみたいな感じでいましたけどね。

では、昨年、2003年を振り返っていただきたいのですが、昨年1年間は大石選手にとってどのような年でした?
大石幸史:まぁ、結構代打が多かったので、疲れましたね。いろんな意味で。

昨年1年間にご自分で点数を付けるとすれば、100点満点で何点ですか?
大石幸史:点数ですか? その〜、100点の部分が正直まだ見えてないので、何点っていうのはちょっと難しい ですね。

では、満足度で言うと、最高を10満足とした場合、何満足ですか?
大石幸史:ん〜、最後の12月の試合が上手くいったので・・・。この試合で出せるであろうイメージだけには近づけたので、5満足ぐらいはいってますね。半分ぐらいは満足してますよ。もちろん。でも、自分自身がこの試合で出せるであろうというのが10ですから。もっと先を見れば、10満足というのが、今の1000満足ぐらいの場所にあるかも知れないですけど。自分が今イメージできる、この調整のままだったらこれぐらいの動きにはまずしたいっていうのが上手くいっただけですね。

では、昨年の大晦日には3つの格闘技興行がありましたが、『PRIDE男祭り』には近藤選手が出場して、『猪木ボンバイエ』ではジョシュ・バーネット選手とセーム・シュルト選手の無差別級のタイトルマッチが行われました。この2試合以外で、大石選手の心に残った試合というのは何かありました?
大石幸史:ん〜、難しいですね。そういうふうな気持ちを除いてと言われると、まぁ、中邑(真輔選手/新日本プロレス)も僕にとってはそれと一緒みたいなものなんで。知り合いって言うか。なので、パンクラス以外あれば、中邑の試合は見てましたね。ちょっと気にはなってましたね。

では、パンクラス無差別級のタイトルマッチ、ジョシュ・バーネットVSセーム・シュルト戦に関して。あの試合はご覧になりました?
大石幸史:はい。まぁ、チャンネルをかなり回して見てましたね。基本的には『PRIDE』を見てたんですけど、何か良い試合がある度に回してました。それでタイトルマッチはもちろん見ました。ジョシュ・バーネットはすごいなと思いましたね。パンクラスのチャンピオンですけど、他団体の選手にあんな試合をされちゃぁね・・・。参ったなって感じですね。

大石選手からご覧になって、ジョシュ選手のどんなところがすごいですか?
大石幸史:とにかく諦めないって言うか、勝ちにいくって言うか、そういう姿勢ですよね。だからもう、もちろんみんなあると思うんですけど、それが伝わりますよね。伝わってくる。素晴らしいですね〜。

では、普段一緒に練習している近藤選手に関して。
大石幸史:あの試合はですね、正直ビックリしましたね(笑)。

渋谷選手、山宮選手とも話しをしたんですけど、普段通りの近藤選手だったと。道場での普段通りの近藤選手だったと。
大石幸史:そうですよ。逆に言うとそれが僕はすごいと思いますね。普段通りの自分を出せるということが、どれだけすごいかってことなんですよ、やっぱり。それでまぁ、普段通りに見えて、リングの上でああいうふうに出せるってことは、やっぱり普段通りじゃないんでしょうね。普段より集中してるってことだと思うんですよ。

戦前にはあの試合をどう予想してました?
大石幸史:まぁ、結果がもう出ちゃったんで、ああいうふうになるんだろうなって言うのも今だから言えることだとは思うんですけど・・・。でもまさか1ラウンドであんなに圧倒するとは思わなかったですね。近藤さんと菊田選手の試合っぽい感じで、切って切って切れれば近藤さんのペースでいくんであろうとは思ってたんですけどね。

フィニッシュになったヒザ(蹴り)は練習してなかったっておっしゃってました。
大石幸史:してなかったですね。

パンクラスのルールにはありませんし(※グラウンド状態での顔面へのヒザによる攻撃)。
大石幸史:そうですね。それで、今年の初めにみんなと練習した時に、「じゃぁ、練習でもヒザ有りでやりますか」って言ってたぐらいですからね(笑)。ホントにあの時は練習してなかったですね。まぁ、正直びっくりですね。北岡さんがセコンドに付いてて、TVでも見えたので、すぐメールで「ちょっとあれは強過ぎです」って送りましたから。

では、大晦日にそういう大きな試合があって、翌日が2004年の元旦。昔の人は良いことを言って、「一年の計は元旦にあり」なんて言葉もあるくらいなんですが、大石選手の今年の一年の計は何なのでしょう?
大石幸史:何にも考えてなかったですね(笑)、元旦には。正直。まぁ、実家じゃないんですけど、親と一緒にいて。それでいろいろあって、何にも考えられない状態でした(笑)。ちょっと身体が・・・(笑)みたいな、そういうことを常に考えてました(笑)。こんなにゆっくりしてて良いのか俺は?みたいな。まぁ、仕方ないけど、みたいな。そんな感じでしたね、ずっと。

元旦以降でも良いんですけど、今年はこういうことを目標にしようと決めたことは何かりますか?
大石幸史:目標自体はないですね。いつもそうですけど、試合とか練習とかで出てきたことを材料にして、自分の中でイメージをつくって、今よりかはこのレベルに達せられるなとか。そういうことしか考えてないですね。一年の何か目標を立てるとかっていうのはないですね。

わかりました。では、2/6(金)後楽園ホール大会でのVSヒース・シムズ戦に関して。シムズ選手はアマチュアレスリングで抜群の実績を残している選手ですが、対戦が決まった時の心境はいかがでした?
大石幸史:まぁ、嬉しかったですね。嬉しかったと言うか・・・。

シムズ選手は昨年8月の両国大会で佐々木(有生)選手と対戦しています。その後に大石選手にお話を聞いた時に、対戦したいみたいなことをおっしゃってて。
大石幸史:そうですね。まぁ、あきらかにこのウェルター級の階級であろうという感じでしたし、身体の力が強いと言うか、身体能力だとかは、ここまで(レスリングのオリンピック選抜メンバー)いく選手ですから強いわけなんで。ん〜、あきらかにレスリングの実績がすごい人とはこれまで対戦したことがなくて。まぁ、僕が考える中で、僕が負けるであろう選手の中の、そういう実績を持った選手ですね。シムズ選手がどうとかではなくて。僕が今までやってきたことが、もしかしたら出せないんじゃないかってことで。難しいんじゃないかなと思ってるんですけど。

でも、対戦が決まって嬉しかったということは、楽しみな部分もあるわけですよね。
大石幸史:もちろんそうですね。

楽しみな部分ってどういうところでしょう?
大石幸史:まぁ、単純に強そうだから。僕の力が完全に通用しないんじゃないかなっていう。レスリングで。その辺ですね。

通用しないんじゃないか?っていう部分が楽しみ?
大石幸史:はい。そうですね。

ちょっとMっ気が入ってますね(笑)。
大石幸史:いや、いや(笑)。逆に今の僕ぐらいにボコボコにされるようなら、何か拍子抜けするような感じがあると思うので。試合してて。強いと思わせてほしいですね。

今まであまり感じたことはないですか? “うわぁ、コイツは強い”って。
大石幸史:何かが強いっていうのはもちろんありますけど。

圧倒的に強いっていうのはこれまでないですか?
大石幸史:そうですね。もちろんその1つがズバ抜けてて、嫌だとか何だとかっていうのはありますけど、結局最後は僕が粘り勝っちゃうような試合が多かったんで。それを今回はさせてくれないと思うんですよね。佐々木選手との試合を観てて。

そういう状況に追い込まれてみたいっていうところがあります?
大石幸史:追い込まれたくはないですけど。追い込まれたくはないですけど(笑)、それぐらい強いのかなって。

では、今回の試合で大石選手が最も重要だと考えることは何でしょう?
大石幸史:今回に限らず、前の試合でやったことの継続で・・・。特に相手がこの人だからっていう感じではないので、VS飯田戦で試した時の自分の身体のバランスを重視しながら、相手を倒せる技で仕留められれば良いと思ってますけど。

わかりました。では、少し話題を変えます。先月26日に行われた『プロアマ・キャッチ・トーナメント』に関してですが、アマチュアレスリングをずっとやってらっしゃった大石選手はあの大会をどうご覧になりました?
大石幸史:北岡さんのセコンドで頑張ってたんで・・・。人がいっぱいだったんで、そんなに出たいとは思わなかったですね。人がいっぱいいっぱいだったじゃないですか。観客を含めて。すごいとこだな〜みたいな。

おそらく来年になると思いますけど、第2回の際に、梅木・大会プロデューサー兼統括本部長(笑)の方から出場の要請があったらどうしましょう?
大石幸史:まぁ、そうですね・・・。正直、去年同じようなルールの試合を2回やって、タッグの時(12月・GCM『The CONTENDERS DOUBLES TOURNAMENT』)に「来年はもういいかな」って思ったりもしたので、その気持ちを考慮して、丁寧にお断りさせていただきます(笑)。

試合をご覧になっててどうでした?
大石幸史:面白かったと思いますね。

わかりました。では、これで最後なのでメッセージをいただきたいのは山々なんですが、大石選手にはメッセージもなかなか難しいので・・・。
大石幸史:そう言われて今考えたんですけど、なかなか出てこないですね。難しいですね・・・。

では、今度の試合に関係なくてもいいです。今、この大石選手のインタビューをここまでご覧いただいた、パソコンの前に座っていらっしゃる皆さんへ何か訴えたいことがあれば。
大石幸史:ん〜、何でしょうかね・・・。まぁ、僕も今年で27歳になるんですけど、こっちに出て来てかれこれ7、8年ぐらいになりますよ。それで、年賀状だとか、連絡とかもあまりとらない間にですね、いつの間にか僕も・・・まぁ、実家に帰っても年賀状とかは届いてないんですけどね・・・。今年年賀状が届いたのが僅か3通。まぁ、一人は友達。一人は僕の先輩。で、最後の一人は梅木(良則)さんだったんですけど、3枚とも子どもの写真でしたね・・・(笑)。僕もそういう歳になったんだな〜って。僕もそうなっててもおかしくないんだなと。そう思いました。ホントにアレは。びっくりしましたね〜。その中でも、梅木さんの年賀状の子どもの写真はデカかったですね〜。愛を感じましたね〜、アレは。

では、そういうことが周りで起こり始めている大石選手と同じ年生まれ(昭和52年)の人たちで、大石選手と同じような境遇にいる方たちに一言(笑)。
大石幸史:やっぱりね、そういう人たちに言いたいのは、やりたいことをやりゃ良いんだってことなんですよ(笑)。

寂しかないぞと(笑)。
大石幸史:寂しかないって言うか、周りの環境がどうであれ、やっぱり自分らしくいった方が良いんじゃないかなってことなんですよね。まぁ、家庭を築くっていう1つの幸せがあるじゃないですか。そういうのも見ながら、自分の幸せを探せば良いんじゃないですかね。やっぱり。自分とは何だと。そういうことですよね。

では、大石選手と同じ歳で、逆に家庭を持ってらっしゃる方たちへ一言。
大石幸史:ん〜、家庭はどうですかと(笑)。逆に問いたいって感じですね。どうなんですかと(笑)。

大石幸史選手database