第6試合 スーパーヘビー級戦 5分2ラウンド
▲謙吾(2R 5分00秒、判定/1-1)保坂忠広▲

謙吾(パンクラスism)VS 保坂 忠広(パンクラスMEGATON) 保坂選手は、前回大阪大会で北岡選手と対戦し、今度は全然イメージの違う、100kgを越える謙吾選手との対戦です。謙吾選手はアメリカでの武者修業中に外国人のパワー、怪力無比というものに対しての免疫が出来ている事だし、どういう展開で試合を進めていくのか。バス・ルッテンとのデビュー戦で見せた、後ろに引かない試合というものがどう出るのだろうというところに武者修業の成果を見たいなと思いましたし、保坂選手としては、相手が大きいとは言え、自分よりも20kgも下の人間ですから、但しリーチ等で闘いがガラッと変りますので、色々なタイプの相手にどういう対応力を見せるかという、注目の一戦戦だったと思います。

試合は開始早々、お互いに大振りの重いパンチを打ちながら、保坂選手がコーナーに謙吾選手を押し込んで行くという事を繰り返して、保坂選手のパンチ、膝蹴りの中で謙吾選手が眉をカットするという展開になりました。そしてグラウンドもしっかり取り、そこから立ち上がっての仕切り直しという形で1ラウンドが終了。2ラウンド目は、後半スタミナが無くなり動きが落ちて来た保坂選手へ、逆に謙吾選手がラッシュをかけていくという展開でした。

両者に言える事は、重量のあるスーパーヘビー級の選手のパンチですから、そんなにフルパンチで打たなくても基本的に人間は倒れるし、ダメージも与えられます。であるならば、強く打つパンチと速く打つパンチの打ち分けぐらいは出来なくてはなりません。お互い先程話した、最大距離で打っています。そうではなくて、きちんと組み合ったり何かする所で、バランスを崩さないできちんと打てるという事。それに対して、ディフェンスというものも学ばなくてはいけません。両選手とも無防備で打ち合いをするという形に頼り過ぎていますし、これは大変リスキーです。要するに早く勝てるかも知れないけれど、早くやられるかも知れない、という風になってしまいます。そういう意味では勝敗に関わらず、先ず技術という世界をもう一つ学んでおく事です。練習ではそういう課題を持って貰いたいと思います。謙吾選手はその中で、先ず自分から動いてみせるという事が必要です。折角凱旋して来て注目されているのですから、先ずちゃんと足で動く事です。先程の大石選手、星野選手のパンチは足で打ちましたと言いましたが、謙吾選手のパンチは足が止まって、手だけで打っているパンチです。だから倒れないし、当たらないんです。それでバランスを崩してテークダウンを取られているなら、これはアメリカに行く前と変りません。ですから、そういう意味では足をちゃんと使って動く事です。逆に粗削りではあったけれども、ラグビーからパンクラスに上がって来たあの頃は、やはり走り込み何なりの量が良かったのだと思います。だからこそ足が付いて来ていましたし、技が無くても、ルッテンは打ちながら後ろに下がってしまったのです。しかし今は技があり、練習もして来て経験も積んだのにそれが出来ないのは、やはりそういう練習を怠っているのではないかなと私は思います。

保坂選手に関しては、やはりディフェンスの力です。確かにロー1発で倒れるという事は総合の試合ではなかなかないです、それは立ち技の試合でもディフェンスの技術が発達しましたからなかなかありません。ですが、きちんとディフェンスさえすれば、2発目、3発目の蹴りは来ない可能性がありますが、打たせて我慢したら、2発、3発は必ず飛んで来ます。ですからローキックに限らず、ディフェンスをきちんとしていくという、一つの課題が出てくると思います。何故なら、保坂選手は体重こそ123kgで十分過ぎるぐらいあります。ただ、そのクラスの選手と今後闘っていくとなると、外国人選手にしても、日本人選手にしても、今回の謙吾選手の様に体重はあるけれども、あんこ型では無い選手もいるわけです。手足の長い選手、そういう選手の時に組んでもそこで動きが止められてしまう可能性もあります。良く動けるという事も含めて、ディフェンシブな動きというものを学んでおいた方が、今後保坂選手は楽に試合を展開出来ると思いますので、そういう点ではお互い課題の残る試合でした。

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