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■ 寝かされた瞬間「もう終わったな」みたいな。 : 5月28日(金)後楽園ホール大会の第6試合で、パンクラス初参戦の瓜田幸造選手(掣圏会館)との対戦が決まっている山宮選手ですが、今回の試合は、昨年12月のVSブレッド・ブレグマーク(シーザー・グレイシー・アカデミー)戦以来、5ヶ月ぶりの試合で、ケガからの復帰戦になります。長期欠場後の復帰戦ということで言えば、山宮選手は今回が二度目で、一度目は2001年1月の『DEEP』旗揚げ戦(名古屋)でケガをして、半年後の7月(後楽園ホール)に復帰戦を行ったということがありました。もうそれも3年前のことになりますが、一度目の長期欠場期間と、今回の長期欠場期間とでは、どういったところで違ってました? ■ 山宮恵一郎:まぁ、ケガをしたってところでは一緒ですけど・・・。今回は環境が変わったし、あとは・・・修行期間みたいなところがありますよね。前回の時はとにかく治すことに努めて、それで治ったので出てきましたって感じでしたけど・・・。今回は・・・毎日もう本当に、一生懸命マラソンする中で何とか先頭集団に追い付こうってしているような状態なので。とにかく余裕がないですね。本音を言えば、もっともっと練習したかった、時間がほしかったっていう、それぐらいの気持ちでしたね。どこかでまだ早いって思うところもありますから。 : 昨年12月の試合前にケガをして、そのケガをおして試合に出場しましたけど、試合後、ご自分で満足できるような練習ができるようになったのは、実際いつ頃からですか? ■ 山宮恵一郎:2月の終わり頃ぐらいですね。2月の半ば頃にようやく練習の中でスパーリングができるようになって。それまでは体力的なトレーニングとか、あとはスパーリング以外の練習ですよね。 : 本格的にスパーリングができるようになって、GRABAKAでのスパーリングはいかがでした? ■ 山宮恵一郎:そうですね〜単純に・・・知らないことばかりされてるので・・・。ホント単純にみんな強いですね。強過ぎますね。ハッキリ言って。ホントにもう、付いて行くので精一杯ですね。 : 移籍するまで、GRBAKAの選手と練習する機会はもちろんなかったでしょうし、そうなると、試合、総合のルールで行われる試合でしか手を合わせる機会もなかったと思います。でも、練習の中でのスパーリングだと、例えば打撃だけでとか、組技・寝技だけでといった感じでのスパーリングもあると思いますが・・・。 ■ 山宮恵一郎:単純に差が出ますよね。持ってるスキルの差が出ます。正直、今まで良くやってたなって思いました。試合って、長くても5分3ラウンドだから何とかボロが出なかったけどみたいな感じで。でもスパーリングって、1時間とか2時間とかやるじゃないですか。もう、モロに出ますね。 : “GRABAKA”の由来が「グラップリング・バカ」、「グラウンド・バカ」ということもあって、やっぱりGRABAKAの売りはその組み技・寝技の強さですけど、組み技・寝技だけのスパーリングの中で衝撃的な部分ってありました? ■ 山宮恵一郎:何て言うか・・・寝かされた瞬間「もう終わったな」みたいな。自分がテイクダウンして上になっても、テイクダウンしなきゃ良かったなみたいな(苦笑)。下からやられるから。下から極められ、下からひっくり返され、何か変な格好をさせられて(笑)。で、いつの間にか首やら腕やら足やらを極められて、相手を叩いてる(タップしてる)っていう。そんな感じですかね。 : 立ち技、打撃のスパーリングに関しては、山宮選手もパンチで倒すことを磨いてきた選手ですから、そうそうは・・・ ■ 山宮恵一郎:いや、そこもまた違うんですよ。立ち技も、正直通用しなかったですね。全く。もう・・・勢いじゃ通用しないんですよね。ちゃんとした技術の攻防というか、テクニックなんですよね。やっぱり。それまでは、結構勢い任せに先に当ててみたいな感じがあったと思いますけど、その辺もやっぱり違いますね。正直、(打撃のスパーリングを)やるまでは、寝技のスパーリングよりかはいけるんじゃないかって思ってましたけど・・・。結局僕の場合は直線的なものだったので、特に郷野選手とか三崎選手にしてみたら、最もやりやすいタイプだったんですよね。きっと。とにかく翻弄されるんですよ。ホントに。それが一番当てはまりますね。 ■ 一日でも休むと、また距離が離されそうな気がして。 : では、ちょっと話を戻して、GRABAKAメンバーの組み技・寝技に関してもう少しお話をうかがいます。2月の終わり頃から本格的なスパーリングをはじめて、3月・4月・5月と約3ヶ月きっちり練習する期間がありましたが、GRABAKAメンバーそれぞれの組み技・寝技に関して山宮選手が感じたこと、印象などを選手ごとに教えて下さい。先ず一人目は、やはりGRABAKAのボス、菊田早苗選手から。 ■ 山宮恵一郎:もう、これは前回のインタビュー(昨年12月の試合前インタビュー)でも言ったと思いますけど、巨大なタコなんですよ(笑)。完全に。絡み付かれて海に引きづり込まれたら、もう逃げられないみたいな(笑)。ホントにホントにもう、体中が吸盤って表現がぴったり当てはまるんですけどね。 : 今までになかった感覚ですか? ■ 山宮恵一郎:そうですね。とにかく苦しいですよね。寝技に持ち込まれたら。ホントに苦しい。息苦しい。別に今お世話になってるからってよいしょするわけじゃないですけど、ホントに凄いです。 : では、二人目。最近はそのボクシングテクニックが注目されている郷野聡寛選手。 ■ 山宮恵一郎:何て言うか・・・また菊田選手とは違うんですよね。針の穴を通すようなところを狙ってるっていうか。要するに、隙があるところに瞬時に入り込むような感じですかね。イメージとしては。 : では、次は佐々木有生選手。 ■ 山宮恵一郎:ん〜、何て言うか・・・ちょっと細身のタコ。菊田選手が巨大なタコだとしたら、ちょっとスマートなタコって感じですかね。やっぱり寝技の上手い人っていうのは、体中が吸盤っぽいイメージなんですよ。あくまで勝手なイメージですけど。菊田選手にやっぱり似てますよね。特に下からの攻めとか。とにかく菊田選手や佐々木選手と(組み技・寝技のスパーリングを)やる時は、もう、ディフェンスの練習になっちゃいますね。自分は。 : そういうのってすごい新鮮だったんじゃないですか? ■ 山宮恵一郎:ホントにこんなにやられることってないですからね。なかったですからね。みんな身体が大きいし、組んでるだけで疲れますから。 : では、山宮選手と同じく、ベースがレスリングの佐藤光芳選手。 ■ 山宮恵一郎:ホントにもう、典型的なレスリングベースのファイターであって。佐藤選手とのスパーリングは、面白いですよね。スタンドレスリングが。思いっきりふっ飛ばされるし、組み負けたりもするので。でも、やっぱりこっちもレスリングをやってたから、そういうところで組み負けたりするのは嫌だなって思って頑張ってみたり。そういうところが楽しいですよ。すごく。で、そうこうしている時にスパーンって投げられたり、ふっ飛ばされたりすると悔しいし。そういう、良いスパーリングができてますね。 : では、対戦したことのある選手からということで、次は石川英司選手。 ■ 山宮恵一郎:あの〜石川選手は、GRABAKAであんなイジられキャラになってるのが不思議なぐらいですね。やっぱりイメージなんでしょうね。これで石川選手がGRABAKAでなければ、普通の道場にいれば、多分トップだと思うんですよ。でもGRABAKAの中だとイジられキャラっぽいところがあるから下の方に見えるかも知れないですけど。いや、強いですよね。やっぱり。しつこいし。とにかくしつこいです。こっちが根負けするぐらいのしつこさがあるので、あれが今の連勝の理由じゃないですか。あれだけしつこかったら相手も嫌になりますよ。ホント(笑)。 : では最後に三崎和雄選手。階級が違ったのでこれまで対戦はありませんでしたが、実際スパーリングをしてみての印象はいかがですか? ■ 山宮恵一郎:一言。パワーが半端じゃないです。ん〜、ミドル級って言うけど、パワーが半端じゃないです。組んでも打撃も。寝技ももちろんそうですけど。 : 体格的には細いイメージがあるじゃないですか。 ■ 山宮恵一郎:僕もそう思ってましたけど、とにかくびっくりしたのはパワーですね。このパワーはミドル級のパワーじゃないなって。投げ飛ばされるし、振り回されるし。何て言うか・・・持って生まれたものが強いってタイプですね。ホントに。 : ウェイトトレーニングとかで付けた、後付けの力ではない? ■ 山宮恵一郎:そうじゃないですかね。何か本能の強さみたいなところがありますよね。それで一つ言えることは、GRABAKAの選手はみんな、まぁ私生活までは正直わかりませんけど、ホント格闘技に対してすごい真面目なんですよね。みんなその日の練習をメモったりとか、佐々木選手なんか瞑想するかのようにじ〜っとその日の練習を振り返ってたりとか。郷野選手も練習をビデオで撮って、それで帰ってから研究して、それをまた翌日に試したりとか。とにかくすごい貪欲で勤勉ってイメージですよね。 : 移籍してこれまでの約半年間で、何が山宮選手にとって一番良かったと思いますか? ■ 山宮恵一郎:やっぱりメチャメチャにされるっていうのが一番良かったんじゃないですか。悔しいとか、くそ〜って思うことがたくさんあることが一番良いんじゃないですかね。そういう気持ちになれることが。変に落ち着いてるんじゃなくて。ホントに今は追いかけてるような状況なので。とにかくみんなが今先を走ってるから、それに追い付きたいっていう感覚なので、それがすごい良いですよね。毎日余裕がないですよ。もちろん良い意味でですけど。ん〜、練習を休むのが嫌なんですよね。みんな休まないから。一日でも休むと、また距離が離されそうな気がして。まぁ、でも、さすがにその分、日曜日は思いっきり休みますけど(笑)。みんなが日曜日に何をしてるかはわからないですけど(笑)。僕の場合は、日曜日に、次の日からの練習に影響が出るようなことはしたくないですね。 : 前回は、GRABAKAに移籍してから3週間後の試合でしたが、その試合前にお話を聞いた時に、「たった3週間で変わるわけがないだろ!」って(笑)、本音の発言もありましたけど、今回は約半年経ったということで、ご自分の中の変化をどう捉えてますか? ■ 山宮恵一郎:まぁ、半年で変わるわけがないだろって(笑)。いや、わかんないですね。ホントわかんないですね。ん〜、今回試合が決まったのは何週間か前なんですけど、それまでは試合自体にもう慣れちゃってたので、何月何日に試合があるから、その試合に向けてカレンダーを見ながらあと何週間、あと何日ってやってた部分があったんです。でも今はそういう感じじゃないんですよね。とりあえず5月28日に試合がありますけど、とにかく毎日の練習に付いていくってことが先なので。自分の意識の中で。そうやってるうちに試合が近づいてくるって感じなので。だから試合も練習の場みたいな、そんな感覚ですね。今は。多分、当日は違うと思いますけど。もちろんお客さんとしては、移籍してどうこうっていう僕の変化を見ると思いますけど、正直何が変わったかっていうのは自分ではわかんないですね。ただまぁ、極められる回数と、ノックアウトされる回数が減ったかなぁ〜ぐらいで。必死に闘って、その中でちょっと、もしかしたら変化があるのか、それともないのか。まぁ、まだわかんないです。 ■ やっぱり“勝つ”ってことですね。 : わかりました。では、ご自分の中での変化をまだ掴み切れてない状態で迎える今回のVS瓜田戦に関してお話を聞いていきます。山宮選手は、初代タイガーマスクが活躍する姿をテレビで見たのがきっかけでプロレスを見はじめたとのことですが、その初代タイガーマスク、佐山 聡さんが創設者の掣圏道で師範代を務めているのが瓜田選手です。そういう瓜田選手との対戦が決まったというお話を聞いた時、まずは何を思いました。 ■ 山宮恵一郎:正直、瓜田選手という人を知らなかったので、先ずはどんな選手だろうっていうことと、所属が掣圏会館、掣圏道ですよね。それで思ったのは、掣圏道のイメージって殴り潰すって感じじゃないですか。だからそういう闘い方の選手なんだろうなって。 : 佐山 聡さんのお弟子さんということに関してはいかがですか? ■ 山宮恵一郎:ん〜、僕がまだ小学生か中学生ぐらいの時に、テレビで修斗の特番を夜中に放送してて、その中で佐山さんが弟子を竹刀でボコボコにしているシーンがあったんですよね。あの初代タイガーマスクが。自分が大好きだった初代タイガーマスクが竹刀で弟子をボコボコにしてるんですよ。その時に「あぁ、この人はこんな人だったんだ。こんな恐い人だったんだ。」って思って。で、そんな佐山さんが育てた選手ですから、気持ちが座っている選手なんだろうなって。だから今回は気持ちを折り合うような試合になるんじゃないですか。 : 瓜田選手の試合映像とかはご覧になりました? ■ 山宮恵一郎:見ました。オープンフィンガーグローブをつけての試合で、対戦相手をスタンドの打撃で思いっきりノックアウトしてましたね。相手が本当に失神するようなKOでした。だからスタンドに関しては相当自信があるんじゃないですか。技術的に。まぁ、師範代ですからね。お弟子さんを抱えてるわけですから。弱くて弟子を抱えるわけないですから。 : では、印象としてはそのスタンドでの打撃の印象が強い? ■ 山宮恵一郎:そうですね。『コンバットレスリング』で優勝してますけど、その映像は見てないので、その辺は正直わかんないですね。まぁ、でもプロフィールを見たら柔道経験もありますし・・・。今の総合のリングって、何でもできる人が上がってくる舞台だから、そういうふうには見てますけどね。 : 先ほど山宮選手の発言でもありましたが、やっぱりファンの皆さんってGRABAKAに移籍して半年経った山宮選手がどう変わったのだろうっていう見方で、今回の山宮選手の闘い方をご覧になると思いますけど、そういう状況の中、山宮選手ご本人としては、どういうお気持ちで、またどのようなテーマを持って今回の試合に臨むことになります? ■ 山宮恵一郎:ん〜、やっぱり“勝つ”ってことですね。もう、この世界は勝たなきゃ意味がないので。勝たないと何も自分に跳ね返ってくるものがないので。やっぱり自分がGRABAKAに移籍した最大の理由は、GRABAKAのみんなと仲良くなることじゃなくて、自分が強くなることですから。強くなって、自分に跳ね返ってくる大きなものを得るための移籍ですから。だから今回の試合のテーマは“勝つ”ことですね。 : 勝ち方への拘りってあります? ■ 山宮恵一郎:ないです。ないけどあります(微笑)。でも秘密です(微笑)。 : わかりました。それはここでは聞かないことにします。では、今回のVS瓜田戦の先のお話になりますが、この先に描いているもの、目標、野望、展望といったところで何かありますか? ■ 山宮恵一郎:展望はすごいありますよね。何を求めてGRABAKAに移籍したかってことで、やっぱりこの先を勝手にイメージしているところがあるから・・・。そのために身に付けなきゃいけなかったのが強さであり技術だったので。だから展望はホントありますよ。 : それをお話ししていただくことはできます? ■ 山宮恵一郎:今はとても恥ずかしくて言えないですね。まだ。 ■ 何分、自分は今、修行僧なんで(笑)。 : わかりました。では、ちょっと話題を変えて、4/23『PRIDE 武士道〜其の参〜』への出場が決定しているチームメイトの三崎選手に関して。山宮選手からご覧になって、現在の三崎選手の様子はいかがですか? ■ 山宮恵一郎:いや、メチャメチャ調子良いんじゃないですかね。僕、本当にびっくりしたのは、「三崎和雄、強ぇっ!」って思ったんですよ。ホントに。マジで。だからこれ、國奥選手的には気分の悪い言い方かも知れないですけど、この前(2月・後楽園ホール)國奥選手に勝ったのは、ある種当然の結果だったんじゃないかと思いますし、三崎選手はそういう選手ですから。今回の対戦相手はシュート・ボクセの選手ですけど、普通に技術で翻弄して勝つんじゃないですかね。そう思いますね。話を聞いてると、相手も相当めちゃくちゃバキバキの身体で、力のありそうな選手らしいんですけど、僕は三崎選手の勝ちは動かないんじゃないかと思ってますね。 : わかりました。では、もう一人、チームメイトのお話を。山宮選手と同じく5/28後楽園ホール大会で5ヶ月ぶりの試合に臨む佐々木選手に関して。佐々木選手の現在の様子はいかがですか? ■ 山宮恵一郎:佐々木選手は、格闘技に対して、練習に対して、本当に貪欲って言葉が当てはまるんですよね。とにかく試合に勝つことを、強くなることを考えてる人なので。だから今回の対戦相手が、前回(3/29後楽園ホール)佐藤選手に勝ってるとか、そういうことは全く考えてないんじゃないですかね。今度の対戦相手に、自分の最高の動きで勝つことを考えてると思うので。ただ勝つっていうだけじゃなくて、その勝ち方にもビジョンがあると思うし。だから自分が良い形で繋げたいですよね。そっちの方が佐々木選手も気持ちがノルと思うし。GRABAKAの良い男ナンバー2ですから頑張ってもらいたいですよね。 : ??? ■ 山宮恵一郎:GRABAKAの良い男ナンバー2なんで。佐々木選手は(笑)。 : ナンバー1は?(笑)。 ■ 山宮恵一郎:そんなこと言わなくてもわかるじゃないですか(笑)。 : ・・・(笑)。では、最後のメッセージの前にもう一つだけ。GRABAKAには馴染みました? ■ 山宮恵一郎:ん・・・わかんないですね。 : 何か噂によると、夜の会話に関しては馴染んだって(笑)。 ■ 山宮恵一郎:いや、馴染んだんじゃないですね。いろいろと楽しい話は聞かせてもらってますけど(笑)。何分、自分は今、修行僧なんで(笑)。 : わかりました(笑)。では、これで最後です。山宮選手の試合を楽しみにしていらっしゃる皆さん、山宮選手を応援していらっしゃるファンの皆さんへメッセージをお願いします。 ■ 山宮恵一郎:半年ぶりなので、露骨には変わってないかも知れないけど、微妙に変わってるかも知れないので、それを、「変わったのはここじゃねぇか?」みたいな感じで観て下さい。それで、テーマは“勝つ”ってことで。 : でも、きっと山宮選手の本心としは、半年ぐらいじゃ・・・ ■ 山宮恵一郎:変わるわけねぇだろ!!(笑)。 ■ 山宮恵一郎選手database |