メインイベント ライトヘビー級戦 5分3ラウンド
○近藤有己(1R 1分01秒、ギブアップ/ヒザ十字固め)シャノン“ザ・キャノン”リッチ×

リッチ選手は身長こそそれ程高くはありませんが、胸板も厚く、体の厚み、肩幅、腕の太さ、身体能力の良さ、気持ちの強さ、全て兼ね備えている、流石約130試合近くこなしている選手ですから、経験値も高くハートも強いでしょうし、そういう部分では、大一番を控えた最後の刺客といっても過言ではなかったと思います。実際オープニングは物凄いラッシュをかけました。この辺が大一番に対しての実験といえば実験かも知れないし、課題と言えば課題なのかも知れません。これを意図的にしていたとしたら凄い事です。猛烈なラッシュを相手にさせてから、どうやってそれを切り返していくのかと言う事をわざと近藤選手がしていたなら凄い事だと思います。試合が始まって、自分のペースでいこうかなと思ったら、相手にラッシュをかけられて、20秒もかからないうちに一気にテークダウンを取られた訳ですから、その辺が課題なのか、それとも自分で自分に課した、先の課題なのか、という所が大きな分かれ目になると思います。そこから相変わらず何の力みも無く、隙間風がす〜す〜流れるが如く自分で自分のポジションを選んで、あっさりと膝十字で勝利という、近藤選手の試合でした。近藤選手らしい試合でした。

全8試合中6試合が1本勝ちできっちり決まり、それに準じて大きな波乱のあった今大会でしたが、最後にあっけなく、そっけなく締めてしまった所、この辺を見ると、やはり郷野と近藤、この2人は、22日のこの2人はやはり突出していたなという感じです。相手がどうであろうと、強敵だろうと何だろうと、自分の持ち手で、自分のやりたい形でさっと試合を決める。やはり一太刀がきちっと切れる選手です。そういう選手が団体を代表する良い選手だったという事です。やはり格闘技の選手ですから、相手を倒すという事で、そこでいかないから判定という形になるのですが、負けない試合をしないというのがこの2人にはあるような気がします。一太刀、要するに必殺技をきちんと身に付けているという事です。グラウンドになって、近藤選手のパウンドというものが頭から離れなかったリッチ選手が、アッという間に膝を取られたという事。これをスポーツ界では“ホットハンドの法則”と言います。自分の必殺技を相手に意識させてさせて、そこで違う角度で仕留める、という事が出来るようになるほど1流の証明です。
さぁ、郷野、近藤の後に続くパンクラスの達人は? それが次の大会で、また楽しみな展開になるだろうと思います。