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: 12月21日(火)後楽園ホール大会でその火蓋を切る、パンクラス史上初の女子選手による総合試合、【パンクラス アテナ】への出場が決定している渡邊久江選手(AJジム)ですが、その戦歴を拝見すると、先ずは2002年に総合のリングでプロ・デビューを果たしています。そこで一つ目のご質問ですが、総合格闘技を何故始めようと思ったのでしょうか? ■ 渡邊久江:総合で、女子の『Remix』っていう団体があるんですけど、それを目にして、「あぁ、女子もあるんだ」っていうのが、きっかけと言えばきっかけですね。でも、なかなか女子の総合のジムなんて私もわかんないし、それで近所のジムに通い始めてって感じですね。 : 総合のリングでプロ・デビューして、総合のリングで試合をこなしながらボクシングにも挑戦して、そして昨年からは女子選手による立ち技格闘技イベント、『Girls SHOCK』に闘いの場を移していましたけど、ボクシングやキックボクシングといった立ち技のみの競技と、その立ち技にグラウンドの攻防も加えた総合、その両方を経験してきた渡邊選手は、この2つの違いや難しさをどのように感じているのでしょうか? ■ 渡邊久江:総合の方が楽は楽なんですけど、でも「一本取られたらどうしよう?」っていう恐さがあって。キックやボクシングだったらダウンがあって、ダウンしてももう一回立ち上がればみたいなところがあるじゃないですか。だからホントに意識が飛ばない限りは、自分の根性でどうにかなるっていうのがあるけど、総合の方がちょっと屈辱的というか、関節技とかだと意識がある中で負けなきゃいけないじゃないですか。それが結構キツイ。 : では、逆に総合の面白さっていうのは何ですか? ■ 渡邊久江:自分の精神状態が結構良いとこまでイケるっていうか、緊迫感がある中でやってるから。大体私よりも寝技が得意な選手が多かったりとか、バックボーンに柔道やレスリングがある選手が多いので、そういう部分でのドキドキハラハラ感がたまらないみたいな。観てる人にもそういうのは伝わるみたいで、私の試合はキックよりも総合の方が面白いって。 : あの〜、今、GRABAKAジムの方で寝技の練習をしてるじゃないですか。それはどういった経緯で練習するようになったのですか? ■ 渡邊久江:(全日本キックボクシング連盟の)宮田さんの紹介で、パンクラス系列でってことで。TBSのトーナメント(TBS女子総合格闘技『最強女王決定トーナメント』)があった時に紹介してもらって。 : そのトーナメントの時には三崎(和雄)選手がセコンドに付いていましたけど、それはやっぱり一番多く一緒に練習しているのが三崎選手だからですか? ■ 渡邊久江:いや。プロの選手とかとは全然練習してないですね。一般の会員さんと練習してます。プロの選手の人たちは身体が大きいから一緒に練習って感じにもならないし、そこについていけるぐらいのレベルでもないし。だから、先ずは基本とかそういうのを一から教わってる感じで。 : 会員さんと一緒に練習しているとのことですが、GRABAKAジムの、プロの選手が行う指導っていうのはかがですか? ■ 渡邊久江:最近はそういう指導の多いクラスにはあまり行ってなくて、行くとしたらスパーリングの時間だけとかなんですけど、でも、わかりやすいですよね。ただ、女の子でプロを目指している子とか、プロの選手っていうのがいないので、そこがちょっと寂しいかなって。闘争心というか、そういう女の子がいた方が良いライバルとして、お互い良い刺激になるから。今はそういうのがないので、そこがちょっと寂しいかな。 : では、GRABAKAジムで寝技の練習を続けている中で、今回の【パンクラス アテナ】の話をお聞きになったと思いますが、一番最初に聞いた時の感想はいかがでした? ■ 渡邊久江:ん〜、ただすごい興味を持ったっていうだけで、感想とかっていうよりも、「やるやる! 出るしかないでしょう」みたいな。 : パンクラス11年の歴史の中で、初の女子選手の試合になりますが、これまで男子の総合の試合をずっとやってきた団体ですから、勿論ファンの皆さんも男子の試合を観るために会場にいらっしゃるわけですけど、そういう中で試合を行うということは気になりませんでした? ■ 渡邊久江:それがすごく嬉しいな〜って思って。勿論「お前なんか出てくんなよ」とか思ってる人もいるだろうし、観たくない人、全く興味がない人もいるだろうし。でも、そういう人たちにも観てもらえる機会って、普通に女子だけの中でやってたらないじゃないですか。そういう意味ではすごく嬉しいですよね。幅が広がるかなって思って。そういう逆境が好きみたいな。 : 【パンクラス アテナ】第1戦への出場が決まって、その後に対戦相手が渡邉浩財子選手(SOD女子格闘技道場)に決まりました。今回の試合が、渡邉浩財子選手にとっては総合のプロ・デビュー戦になりますけど、対戦相手が決まった時の心境っていかがでした? ■ 渡邊久江:誰だそれ?って。もうちょっと有名な選手っていうか、例えば以前に対戦したことのある選手とか、総合で今活躍している選手が出てくるかなって思ってたんですけど。まぁ、急な話っていうのもあったので。でも、今回がプロ・デビュー戦だから、今はまだ全く無名じゃないですか。例え新人さんでも、今出て来てる選手とか、売り出し中の選手かなって思ってたんですよ。それが全く知らない人だったので。で、「良く見つけてきたな。渡邉浩財子か」って。ひょっとして漢字まで一緒かなって思ったんだけど全く違ったので、まぁ、良いかなって。 : 対戦相手も決まり、先月末には大々的に記者会見もやって、それから既に3週間近くが経ち、いよいよ試合が目前に迫ってきましたが、現在の心境はいかがですか? ■ 渡邊久江:ん〜、1週間前とかだと、「早く試合終わんないかな」とか、「今日でも良いのにな」って思ってたんだけど、今はすごい普通なんですよね。勿論相手云々ってことではなくて・・・。まぁ、強い相手と対戦するだけが自分のスキルアップに繋がるもんじゃないなって。今回、大分そういう練習も出来たので。だから、すごい落ち着いてますよね。 : 今大会の対戦カードも出揃って、渡邊選手が出場する【パンクラス アテナ】は第4試合に決まりましたけど、今大会の全対戦カードをご覧になって、何か思うところはありますか? ■ 渡邊久江:あまり良くわからないんですよね。それはパンクラスだけじゃないんですけど。格闘技全般を本当に知らないから。だから、他の出場選手の名前を見てどうこうっていうのが先ずないし、軽いクラスから重いクラスまでバラエティーに富んでるなら、女子の試合が入って更にバラエティーに富んで良かったと思うし。ただ、控室とかで迷惑をかけないようにだけ気を付けようと。パンクラスの中では本当に新人選手だと思うので、立場的にあまり煩くないようにしようと。 : 今回の試合で、ご自分の何をPRしたいと考えていますか? ■ 渡邊久江:そうですね〜。やっぱり打撃かな〜。本当は何か、持ってるもの全部を見せられればとか思うんですけど。でも、持ってるもの全部を見せて勝ってもしょうがないので、バッチリ一発で仕留めるか、もしくは女子の総合でパウンドでKOした選手ってまだいないと思うから、そういうのをやっていきたいなって。 : パンクラスのリングで試合をすることに対しての、周りの方たちの反応っていかがですか? ■ 渡邊久江:みんな興味は持ってくれますよね。格闘技関係じゃない友達の方が私は多かったりするんですけど、パンクラスはみんな知ってるし。そういう意味ではみんな楽しみにしてくれてますね。それは自分も嬉しいし、周りの反応もすごく良いし。記者会見の時に、「女子だけのランキング、女子だけの大会を」って尾崎社長は言ってましたけど、まぁ、私的には、私の試合だけはずっと男子の中に入れていってくれないかなって思うくらい(笑)。 : では、今回の試合での、ご自分の中でのテーマといったものは何でしょうか? ■ 渡邊久江:特にはないですね。何か勝ち方に拘っちゃって、結局グタグタした試合というか、見栄えの悪い試合っていうんじゃないけど、そういうのをしちゃうよりかは、もうホント勝つ気でいけば自分らしさが出る試合になるんじゃないかなって思ってるので。まぁ、周りの声を気にせずに、ホントに勝ちにいこうってだけですね。 : わかりました。では、2005年からの【パンクラス アテナ】に関して。パンクラスとしては、今後定期的に女子の試合、【パンクラス アテナ】を行っていく予定で、先ほどお話の中で出ましたけど、「将来的には女子だけの大会も開きたい」と尾崎社長が記者会見の中で発言しました。そういう展望が主催者側にはありますけど、その中で、渡邊選手はどのようなポジションを築いていきたいと思いますか? ■ 渡邊久江:格闘技の団体だったり興行って、ドラマ性がないと人気も出ないし、つまらないと思うんですよ。で、女子に関しても、今すごいいっぱい団体が出来ちゃって、そのせいかドラマが全然ないですよね。選手もいろんなところに行ったり来たりしちゃってるから。だからどこか落ち着いて、しっかりその中でみんなが鬩ぎ合っていく場所というか、そういう場所に【パンクラス アテナ】がなって欲しいなって。私はそのドラマの中で常にヒロインみたいな存在で。尾崎社長に言われたように、ホントかき回していきたいし。まぁ、試合で負けることも勿論あるとは思うんですけど、でもそれでも絶対に面白い負け方というか、常に何か思いっきり動き回って、一番目立っていたいなって。 : わかりました。それでは、あと2つのうちの1つで、今回初めて渡邊選手の試合をご覧になる、パンクラスファンの皆さんへメッセージをお願いします。 ■ 渡邊久江:そうですね。食わず嫌いしないで、一度ちょっと観てみて、それで気に入らなかったら、それはすいませんと。一度味見をしてみて下さいと。ホント生理的にダメっていう、そういう人は別にして、今回の試合ではちょっとピンとこなかったなっていう人も、もうちょっと、あと何試合かぐらいは追ってもらって。まぁ、よろしくお願いしますって感じですかね。お邪魔しますみたいな。 : では、これで最後です。今回の渡邊選手の試合を楽しみにしていらっしゃる皆さん、そして渡邊選手をずっと応援して下さってるファンの皆さんにメッセージをお願いします。 ■ 渡邊久江:ん〜、そういう人たちがいるのかどうかも私はわからないぐらいなので、そういう人たちには是非パンクラスの会場とかでもアピールしてくれればと思います。試合を盛り上げる意味でも是非応援して下さい。 |