今年8月梅田ステラホール大会以来4ヶ月ぶりの試合となります。まず8月のフレジソン・パイシャオン戦についてお聞きしたいのですが、改めて振り返っていかがでしたか。
前田吉朗:なんて言うんですかね。試合後のインタビューでは、「全然ダメだった」って言いましたけど、後で試合の映像をみたんですけど、自分が思ってたよりダメダメではなかったですね。結構攻めてましたし。でも、メインの仕事はできてないですね。メインに出る以上は、最後はどんな形であれきっちりと決めんとあかんでしょ。やっぱ、いくら一方的に攻めてたとしても、判定で勝つより最後は一本で決めるとすっきりするじゃないですか。お客さんもそれまでの試合が盛り上がってなかったとしても、最後の試合がきっちり決まれば納得して帰れると思うんですよね。やっぱ面白い試合をした上で、最後もきっちり締めると。(アレッシャンドリ)ソッカ戦の時(※2004年2月に対戦しKO勝利)が理想的な展開だったんで、その時に比べるとダメでしたね。最後をきっちりと締めるのがメインイベンターだと思うんで、そのイメージとのギャップがあったというか、自分が思い描いたとおりにはいかなかったですね。

試合後のインタビューでは、パイシャオン選手の「もう一度闘いたい」という言葉を受けて、「もう一回やります」とコメントされてましたが。
前田吉朗:まあ試合後は、売り言葉に買い言葉じゃないですけど、「もう一回闘いたい」って言われたんで、「おう、いつでもやったるわ」って言ったんですけど、別にそんなには思わないですね(笑)今は「俺ともう一回対戦したいなら、パンクラスで実績つんで上がってこい」って感じです。でも、あいつが実績つんで上がってきたら、そうとうヤバイと思いますけど(苦笑)

8月は試合前に指を負傷してましたが、その後ケガの状態はいかがですか。
前田吉朗:もう大丈夫です。若いんで治りが早いんですよ(笑)もう今はバンバン練習してますから。試合の後は、少し休んでて、徐々に体を動かしてって感じやったんですけど、今は全く(ケガのことは)気にならないですから。

最近は打撃を強化するために、稲垣(克臣)さんと懇意にされている『T.K.D』舘和男師範が指導されているテコンドーの道場に通われていると聞きましたが。
前田吉朗:そうですね。他の道場生の人と交じって、同じ練習をさせてもらってます。そこでテコンドーの打撃を教えてもらってますね。ただそのまま総合で使えるわけじゃないんで、自分なりにアレンジせんとダメだと思うんですけど。今、総合の傾向でみんなパンチに走るじゃないですか?パンチももちろん大事なんすけど、それと同じくらいの蹴りの精度も上げたいですね。もちろん打撃だけじゃなくて、寝技の精度も上げたいですし。そういう意味では、打撃を『T.K.D』さんで習って、寝技をタクミさん(『修斗』環太平洋ウェルター級ランカー)の所(パレストラ大阪)で練習して、大阪道場でそれらを自分なりに消化してと、結構いい練習ができてると思いますね。

では、12月21日後楽園ホール大会での対戦する築城実選手に関してお聞きしたいのですが、どのような印象お持ちですか。
前田吉朗:試合をネオブラ予選(2004年5月ゴールドジムサウス東京アネックス大会)しかみたことがないんですよ。山本篤に負けた選手っていう印象しかないですね。

今回の対戦は、前田選手が築城選手の挑戦を受けるという図式の一戦となりますが。
前田吉朗:モチベーションが上がるか上がらへんかって言うたら 、上がらないですね。今までの試合に比べたら「こいつをぶったおしたる」っていう気持ちはないです。でも無理にモチベーションを上げる必要もないかなと。(モチベーションが)上がろうと上がるまいと、リングの上で相手を倒すってことに変わりはないですから。リングの上でモチベーションが上がったとこで、何も変わらんと思うんですよ。だからって、練習に対するモチベーションは落ちてないですよ。誰が相手でもなめてかかるようなことはしないですから。

では、今年5月以来7ヶ月ぶりとなる後楽園ホールでの試合は、どのような闘いをみせたいですか。
前田吉朗:後楽園ホールに来たお客さんが、何を観に来たにせよ、「前田を観に来てよかった」って思わせるような試合をしますよ。ちゅうか、絶対そうなりますよ!で、最終的に「また前田を観たい」って思わせるような試合をします。

先程「メインイベンターは、一本で最後を締める責任がある」という発言がありましたが、今回前田選手は第3試合になります。今回はそんなに一本勝ちを意識することはないですか。
前田吉朗:いや、KOする気マンマンです(笑)一本勝ちしますよ。まあお客さんはKOが観たいのかもしれんすけど、打撃だけにこだわらずに、寝技も狙いますよ。みんな俺が寝技できないみたいに思ってますけど、寝技も強いっすから(笑)打撃だけならボクシングとかでいいわけじゃないですか。総合格闘技なんすから、寝技もあるわけですからね。これぞ総合格闘技っていう試合をお見せしますよ。

当日は、フェザー級で前田選手の首を狙っている志田幹選手と山本篤選手の対戦もあります。この試合はどうご覧になりますか。
前田吉朗:その試合は何試合目っすか?えっ、第1試合なんすか。あいつらより先に試合したかったんですけどね。それでゆっくり二人の試合を観て、勝った方に、リングに乱入して殴りこみをかけたかったんですけど(笑)まあ二人とも敵なんで、どっちに勝ってもらいたいっていうのもないですけど、山本選手とは対戦することが決まってるんで、負けない状態で俺のとこまで来いって感じですね。その山本選手をボコボコにして、力の差をみせてあげますよ。まあ志田選手が勝って、俺と対戦することになったら、またボコボコにします。“また”って書いてて下さいね。(笑)

もう言われ飽きたと思いますが、現在11連勝中です。連勝っていうことに関して、どれだけ意識されてますか。
前田吉朗:何もないですね・・・連勝に関しては、本当に何もないですね。騒がれだした頃は、ちょっと嬉しかったですけど(笑)最近は本当に意識してないっていうか、「今何連勝やったっけ?」ってたまに考えますから(笑)

では話が少しそれますが、前田選手が前から対戦したい選手の一人と名前を上げている山本“KID”徳郁選手が大晦日『K-1 2004 PREMIUM Dynamite!!』で魔裟斗選手と対戦しますが、その試合はやはり気になりますか。
前田吉朗:本当はケガもあって年内は試合できへんかなって思ってたんですけど、何で試合する気になったかって言ったら、その試合のせいもあるんですよ。KID選手も試合をしてる、志田選手と山本選手の試合もある。なんか俺だけボケ〜と年末を過ごすのが嫌やったっていうのがありましたね。だから、今回試合を組んでもらったっていうのもあるんですよね。

改めてお聞きしますが、KID選手にはどういう印象をお持ちですか。
前田吉朗:凄いって思いますよ。違う畑のとこにいってトップを引っ張り出すわけですから。(KID選手と)対戦したいっていうのは、ありますけど、現状だとできないですね。やっぱ誰がみても(前田は)強いって思われるような、KIDと対戦させたいって思わせるような状態にせんとダメですね。試合はやっぱり魔裟斗選手が有利かなと思いますけど、出来ればKID選手に勝ってほしいですね・・・KID選手にはバケモンであってほしいんですよ。そのバケモンを倒したいっていうのがありますね。

では、この12月大会がパンクラス年内最終戦となります。今年はこれまで4戦4勝という結果でしたが、今年を振り返ってみてどのような年でしたか。
前田吉朗:去年に比べると頑張った感は、あんまりないですね(笑)去年は7試合してますし。今年は、社会のルールを学んだ気がします。社会のルールっていうか、格闘家としてのルールを。メインを任されて、取材とかも受けるようになって、プロ格闘家っていうのは、こういうもんだっていうのを学んだ気がします。あと去年と比べて、試合に対するトキメキがないですね。ドキドキしなくなったっていうか、まあその分落ち着いて試合に臨めるようになって、自分のすべきことが的確にわかるようになったっていう感じがします。そう意味じゃ、成長してるって感じますね。あと地元の友達に「プロなん?」って聞かれるのが恥ずかしくなくなりましたね(笑)今は、「プロや」って胸をはって言えますね。

デビュー2年目の今年は、注目度も大きくアップした躍進の年だったと思うのですが、来年はどんな年にしたいですか。
前田吉朗:そろそろ大きな舞台で試合をしたいって思いますね。来年の大晦日には、どこかから声がかかるような選手になりたいです。来年は、さらにステップアップしていきますよ。まだまだ俺はこんなもんじゃないですから(笑)あと(フェザー級の)ベルトうんぬんってよく言われますけど、ベルトは必要ないですね。「今、ベルトがあったら前田がベルトを巻いてやろ」とみんなが思ってるこの状態がいいですね。責任感もないし(笑)でも、強さの象徴がベルトなわけですから、今のパンクラスのフェザー級では前田が一番強いって、みんなわかってるでしょ。だからベルトは必要ないですね。

では、最後に試合への意気ごみをお願いします。
前田吉朗:格の差をみせつけるとかじゃないですけど、きっちりと勝ちます。相手は必死になってくると思うんで、必死なってくる人間には怖さを感じますから。だから自分も全力で倒しにいきます。全ての力を出して退治します。



前田吉朗選手database