12月21日後楽園ホール大会で、前田吉朗選手との対戦が決定した築城選手ですが、こうしてお話をお聞きするのは初めてですので、まず格闘技を始めたきっかけから教えていただけますか。
築城実:24歳で東京に出てきた時に、P'sLAB東京に通い始めたのがきっかけですね。

元々熊本県のご出身ですよね。熊本から東京に出てこられたんですか。
築城実:いえ、その時は静岡にいました。就職する時に独り暮らしをしたかったっていうのがあって、熊本を出ようと思って、水が綺麗かなっていうのがあって、静岡にしたんですけど(笑)

東京に出てこられたのはお仕事の関係ですか。
築城実:東京には、実は漫画家になろうと思って出てきたんですよ。

えっ、そうなんですか!
築城実:そうなんですよ(笑)好きで昔から描いてて、東京に出てきてそういう専門学校に入って。

でも、東京に出てきてすぐにP'sLABにも通われたんですよね?
築城実:格闘技が元々好きで、格闘技の漫画を描きたかったんですよ。それなら格闘技を自分でやらなきゃ駄目だなと思って。それまで格闘技経験は全くなかったんですけど、パンクラスが好きだったんでP'sLABに入りました。

影響を受けた格闘技漫画ってありますか。
築城実:「修羅の門」(川原正敏/著)とか好きでしたね。小さいヤツが大きいヤツを倒すのが好きで。パンクラスも昔の無差別級だった時は、日本人選手が大きな外国人選手を倒したりしてたじゃないですか。そうところに凄く惹かれましたね。

パンクラスは昔からご覧になってたんですか。
築城実:元々は『UFC』を観たんですよ、第1回目の。それで(ウェイン)シャムロックをみて、「凄い身体をしてるな」って思って、「無駄な肉がついていない格好いい身体だな」って。そのシャムロックがパンクラスのリングに上がっているていうんで、パンクラスのビデオを観るようになりましたね。静岡にいた頃はずっと観てました。

漫画家の夢はどうなったんですか。今はもう描かれてないんですか。
築城実:今はもう全くですね(苦笑)。もう漫画家の夢はあきらめました。

元々漫画家になるために東京で出てきて、その一環として始めた格闘家の方にのめりこんじゃったわけですね。漫画より格闘技の方に気持ちが傾いたきっかけみたいなのはあるんですか。
築城実:電車に乗ってる時って、漫画家を目指してた頃は、「こんな漫画描きたいなぁ」とか「こんなストーリーがいいかなぁ」とか漫画のことばっかり考えていたんですけど、ある時気がついたら電車の中で「あの時ああしてたら(寝技で)極められてなかったなぁ」とか「こうすれば倒せてたんじゃないかなぁ」とか「ああこんなコンビネーションがあるんだ」とか考えるようになって、「あれっ!?」って(笑)「漫画のこと考えてないな、俺」って(笑)で、試合とかにも出るようになって、勝った時の嬉しさとか凄くあって。その辺りからですね、格闘技の方の比重が大きくなってきたのは。

そこから、本格的にアマチュア大会やパンクラスゲート、『DEMOLITION』の出場を経て、今年5月の「ネオブラッド・トーナメント」でパンクラスデビューを果たしたわけですね。
築城実:5月の時は、最初はすっごい戸惑いがあって、ゲートで勝ってないじゃないですか。ゲートで勝ってないのに、本戦に上がっていいのかなっていう戸惑いが物凄くありましたね。

昔からご覧になられていたパンクラスのリングに自分が立つっていう感慨みたいなものはありましたか。
築城実:今まで観る側だったのが、そうじゃない側にまわったっていう感覚はありましたね。今まで観客側だった自分が、初めて演じる側というか、試合をみせる側にまわったっていう。

今年「ネオブラッド・トーナメント」で優勝した山本篤選手との対戦でした。
築城実:いや、強かったですね(苦笑)今回の前田(吉朗)選手との試合に関しても、ネオブラで優勝した山本選手でもなくて、ずっと勝ち続けてる志田(幹)さんでもなくて、「結果を残せていない自分でいいの?」っていういう戸惑いはありますね。モヤモヤはあるんですけど、逆に凄いチャンスだと思ってます。ゲートで2回負けてるのに本戦に上げてもらってるし、『DEMOLITION』では廣野剛康選手(『修斗』世界バンタム級ランカー)と対戦させてもらってるし、そういう意味では凄いチャンスに恵まれてるなって感じますね。

では対戦相手となる前田吉朗選手ですが、デビュー11連勝中と現在パンクラスフェザー級の中心選手です。 試合はご覧なったことはありますか。
築城実:志田さんとの試合(2003年7月後楽園ホール大会)は会場で観てますね。他はビデオでも観たことはないです。その時の印象だと、凄いチャンスに強い選手ですね。志田さんとは一緒に練習してるんで、本当に強いし、穴のない選手なんですけど、その穴のない志田さんのわずかな穴をみつけて、たたみかけることができる勝負強さを感じますね。よくわからないですけど、ずっと連勝できてて、本人は凄いプレッシャーだと思うんですけど・・・そういう選手と対戦できることを、本当にチャンスだと思うんで、自分の持ってる力をぶつけたいですね。

今回初めて築城選手の試合をご覧になられる方もいらっしゃると思いますが、ご自身のセールスポイント を教えていただけますか。
築城実:得意なのは打撃ですね。

P'sLABで指導しているアライケンジ選手は“ツイキック”という必殺技があるって言ってましたが(笑)
築城実:あるのはあるんですけど、アライさんだけですよ、言ってるのは(笑)試合で出したこともないですし、P'sLABでも全然広まってませんから(笑)

前回の試合が山本篤選手、今回が前田吉朗選手という強豪選手との対戦が続きますが、他にフェザー級で闘ってみたい選手はいらっしゃいますか。
築城実:武∞限の砂辺光久選手ですね。かなり昔ですけど、アマチュアの頃に一回対戦したんですよ。その時の試合後に「もう一回やろう」って約束してて・・・その試合は負けちゃったんですけど、凄く気持ちのいい試合ができたんで、ずっと「もう一度対戦したいな」っていう気持ちがありましたね。でも、砂辺選手は結構早くプロになっちゃたんで、「じゃあ、俺もプロになんないと、対戦できないじゃねぇか」って(笑)なので、プロを目指したのは砂辺選手の影響がかなりありますね。なので、砂辺選手とはもう一回対戦したいです。

では、築城選手が目標とする選手はいらっしゃいますか。
築城実:高橋(義生)さんですね。相手を打撃で圧倒するファイトスタイルもそうですし、精神的な面においても、見習いたいなと思いますね。自分は試合前、結構精神的にナーバスになっちゃうんですけど(苦笑)高橋さんは、ご自身の試合前でも(P'sLABに)指導に来られますし、全然落ち着いてられるので。ああいう強い心を持った選手になりたいですね。

では、ご自身も大きなチャンスだと語る前田吉朗戦への意気ごみをお願いします。
築城実:皆さんに名前を覚えてもらえるような、インパクトのある試合をしますので、応援宜しくお願いします。

築城実選手database