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野地選手は初のメインイベントで相当なプレッシャーがあったと思います。この秋、夏で、細かい怪我に悩まされた中での試合でした。菅沼選手は前試合の横浜大会で、佐藤光留選手との試合で非凡な部分を見せ、試合も上手く噛み合ったので、技術やハートのポテンシャルの高さを十分に見せての、今回、異例の抜擢です。それに十分応えるだけの、技術、スター性を見せた試合でした。 菅沼選手の勝因はやはり積極的に出ていった事です。相手は元空手の王者、野地選手で、強いローキックと破壊力抜群の蹴りを持っている事等を知っています。ですが、菅沼選手の素晴らしいのは、相手がどうであれ、自分がどう闘うかしか考えていない事です。その中で感じ取りながら、どういう風に闘って行くかを考えています。横浜のデビュー戦の時に、彼にインタビューした時に、自然に行きたいと、そういう事を話していました。それがそのままやれているということが凄く素晴らしい事で、それこそが総合の闘い方です。逆に例えば野地選手ならば、ローキックが強い事、空手王者だった事は、拘り、それをベースに試合をしなければ行けないと思いますが、そこに進化が無ければ意味がありません。野地選手の今の苦悩というのは、スタンドレスリングが出来ない事だと思います。要するに得意の打撃を今迄の形でやり、その後組まれた時にどうするかがベースについている為、打撃の良さが出ず、組まれた時にどう対処するかという事を前提にした打撃が出されてしまっています。ですから、とても王者の打撃だとは思えません。そこが見ている側のフラストレーションで、もっと豪快に相手が吹っ飛ぶ様な強力な物を、彼のネームバリューからいったら、それだけの実績を持っているのですから期待せざるをおえません。その実績が活かし切れて無い事、こだわってはいるけれども活かし切れてない事は、何か惜しい、という印象を受けました。そこの部分が焦っていて、集中してはいても、必死の方向が違うような気がしました。それが凄く残念でした。とは言え、菅沼選手がやはり自分の良さを存分に出しました。打撃の破壊力は相当な物だという情報からしたら、菅沼選手は相当怖かったと思います。それが分かっていながら自分の形の中で、打撃を駆使し、ファーストパンチを当てたのは菅沼選手です。KOしてもおかしくない勢いの良いパンチをしっかり打っていました。 その中で1、2発当たったところで一気に攻め込み、野地選手がガードを上げ、足の動きを止めたところから、テイクダウンを取りに行き、そして行きながら相手をコントロールしていきました。実は私は一瞬、タップする前に止めようかと思いました。何故かと言うとスタンドの打撃でかなりの流血をし、そこからグラウンドで絞められたことで圧力がかかり、水道の蛇口を細く開けた様に血が出て来たからです。レフェリングに不慣れな人ならば止めていたかもしれない位に出て来ました。その流れの中で三角絞めに最後まで持って行ってしまいました。ですからそういう意味では菅沼選手のクオリティーという物が、勝負所も含めて、ファーストカードを、一気にファイナルカード、勝負カードに持ってこられたという事で、次の試合に期待したいと思います。野地選手は自分のスタイルをもう一度見直す必要があるかもしれません。 全般的に思い切りの良い、潔い良い試合だったので、次の野地選手、大石選手に期待したいと思います。 |