大会前interview
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第6試合 ライト級戦 5分2ラウンド
五十里祐一
(パンクラスP'sLAB東京)
五十里祐一 vs エリヤ エリヤ
(TEAM坂口道場)
07年9月の星野戦以降ケガに悩まされていたエリヤが、約1年ぶりの復帰戦に挑む。迎え撃つは安定した試合運びで、昨年から無敗記録を更新し続けている五十里。ランキング戦線に名乗りを挙げるべくぶつかり合う、ライト級戦に注目だ。
※松田恵理也選手のリングネームですが、今大会から『エリヤ』に改名致しました。
怪我からの1年振りの復帰となりますが、今の心境を聞かせて下さい。
エリヤ:「やっと戻ってこれたな」って。頸椎のヘルニアでかなりの大怪我だったんで、正直「もうダメかな」って思ったんですけど、「やってくれ」っていう天の声が聞こえたんですよね(笑)。

いつ頃から頸椎に痛みがあったんですか?
エリヤ:星野(勇二)さんとの試合(07.9.5 後楽園ホール大会)前から首が痛かったんですけど、いつもの「大丈夫だろう」って感覚で適当に流してたんです。でもジワジワきてたみたいで、だんだん頭痛と吐き気がしてきたんですよ。それで去年の11月1日の練習中に、左フックを空振りしただけで「プチッ」って音がしてそのまま倒れちゃったんです。その後は両手が痙攣して動けなくなっちゃったので、そのまま車に乗って病院へ直行しました。

手術はされたんですか?
エリヤ:手術はしてないんですけど、1週間くらい入院をしてステロイドで治療してました。かなり痛かったですね。

リハビリ期間は?
エリヤ:今年の5,6月くらいまでリハビリをしてたんで、結構長かったですね。まともにスパーリングが出来なかったので、椅子に座って首だけ動かしたり、軽くランニングをしてました。今は大丈夫ですけど、ちょっと前までは下を向いたり立ち上がったりするだけで吐き気がしたんですよ。年末は本当にヤバかったです。でも逆に言えば、今回の怪我のおかげでじっくり自分と向き合う事が出来たんで、よかったのかもしれないですね。

今は完治されてるんですか?
エリヤ:どうなんですかね。最近病院行ってないんで(笑)。

えっ!?
エリヤ:でも一応整体には行ってますよ。その先生には「大丈夫だ」って言われてます。痛みがないわけではないですけど、試合は出来るんで大丈夫です。

それほどの大怪我だと、練習中に首ばかり気にしてしまいませんか?
エリヤ:いや、気にならないです。だからダメみたいなんですけどね。やっぱり「気にしてやったほうがいい」って言われてます。

現在のコンディションはいかがですか?
エリヤ:怪我する前より、今のほうがいいと思います。腰もずっと前からヘルニアなんですけど、そっちも順調ですね。

怪我が多いんですね。
エリヤ:膝もずっと悪いし、この前は野口みずきと同じ所を肉離れして歩けなかったし…。怪我だらけなんで、全部言ってたらキリがないです(笑)。

それでも格闘技を続ける理由は?
エリヤ:好きなんでしょうね…。好きっていうか俺にはこれしかないから。

休んでいた1年間でランキング外になってしまったり、最後に対戦した星野選手がケージフォースのトーナメントで活躍されているという現状を見て、どういう心境ですか?
エリヤ:「いいなぁ」って(笑)。

焦り等は感じていないですか?
エリヤ:焦るも何も格闘技が出来る体じゃなかったから。普通の人と喧嘩しても勝てないレベルだったんで、焦ってもしょうがないじゃないですか。だから怪我を治す事しか考えてなかったです。

現在はどういう部分に重点を置いて、練習をしているんですか?
エリヤ:打撃・寝技・レスリング・柔術を広く浅く練習してます(笑)。休んでた期間で色々研究をして、打撃もより一層改善出来たんで、次の試合がすごく楽しみですね。

今回の対戦相手である五十里祐一選手の印象は?
エリヤ:会った事ありますよ。ゲートゲートの時に駐車場管理をしてました。ゴツい人が「ここ座らないで下さい」って言ってて、「なんだコイツ、なんだコイツ」ってみんなで言ってました(笑)。そういう印象です。

選手としての印象は?
エリヤ:選手というか人としては…もくもくと(座っている人を)スタンディングさせてました。

引っぱりますね(笑)。試合での印象はいかがですか?
エリヤ:根性があってしつこいなって。ガムシャラなイメージです。

作戦等考えていますか?
エリヤ:やっぱり打撃でスパパーンって出来ればいいなって思うし、寝技になっても練習しているものを出して関節極められたらいいなって思ってます。でも特に作戦はないですよ。その時次第です。例えばアメリカ人が寝てるとしますよね。それでいきなり窓から知らない人が入ってきたらどうします?作戦ないでしょ?それと一緒です。

…それと一緒ですか?
エリヤ:そう、それと一緒。

五十里選手の戦略にハマってしまえば、エリヤ選手の良さが消えてしまうと思うのですが。
エリヤ:固められたら逃げればいいんですよ。例えば部屋に知らない人が入ってきて、上からおいかぶさってきたら逃げますよね?それと一緒です。

またまた引っぱりますね(笑)。
エリヤ:だってそれと一緒ですもん(笑)。作戦は日頃の練習で身に付いてるんで、それとは別の予期せぬ事が起きたら自分が試されるんじゃないですか。

臨機応変に試合を組み立てて戦うという事ですね。
エリヤ:そうです。何でもそうでしょ。ジャブがきたらこう返すとかはあるけど、一概には言えないじゃないですか。だからあんまり考えすぎてもよくないなって。

エリヤ選手はお客さんの事をすごく大事にされてますが、エリヤ選手にとってお客さんというのはどういう存在なんですか?
エリヤ:声援がパワーになるんですよね。「松田~!」とか「エリヤ~!」とか言われると、「オッシャー!!」ってやる気が出るんです。やっぱりファンがいないと燃えないですね。俺の友達は格闘技を始めてからずっと応援してくれてるんですけど、そういうのが大きな力になるんですよ。試合中の辛い時とかは、友達の顔が浮かんでくるし、お客さんの声援でいつも以上の力が出せるし。声援があるのとないのとでは、全然違いますね。例えば今、オリンピックが北京で開催されてるじゃないですか。だから中国が強いんですよ。声援があるからこそ、よりパワーアップできるんですよね。

それではそのお客さんに向けて、メッセージをお願いします。
エリヤ:1年振りの試合で俺の事を忘れてる人もいると思うんですけど、またここから始まる俺の格闘技人生をしっかり見てほしいです。「エリヤっていたなぁ、また応援してやろう」って思ってもらえるように頑張ります!

話は変わりますが、リングネームを「エリヤ」に改名された理由は何なんでしょうか?
エリヤ:リングネームの“エリヤ"に関しては「いいかなぁ」って(笑)。変えた理由は、去年首を怪我した時に俺は1回死んだんですよ。

死んだというと?
エリヤ:俺のルーツはキリスト教なんですけど、“死んでしまった場合、洗礼をしてイエス・キリストから分け与えられた葡萄酒とパンを食べる"という誓いの儀式があるんです。そうすると、「あなたは1回死にました。これからは新しい別の人間ですよ」みたいな感じで生まれ変われるんですよ。そこまで信仰してないですけど、やっぱり自分のルーツはキリスト教から始まってるから、そういう意味を込めて変えてみました。今回からNEWバージョンなんで、デビュー戦だと思って挑みます。第3章です。

第3章?第2章ではなく?
エリヤ:普通第2章だと思うじゃないですか。でも実は20歳の時に東京に出てきて色々やってたんですけど、腰を痛めてどうにも治らなくて、8年くらい何も出来なかった時期があったんですよ。だからそこで第1章は終わったかなって。その後、チームドラゴン・GOKITA GYMに通ってデモリッションで総合デビューしたんですけど、その時からが第2章の始まりですね。それでここからが第3章なんです。まぁ自分の勝手な決め事なんですけどね(笑)。

腰の怪我で8年間も休養されてたんですね。
エリヤ:腰を怪我した時は、「何でお前は試合出来ないんだよ!」って友達を泣かせてしまったんです。でも言い訳出来ないから「ごめん」って謝るしかなくて。俺の友達はすごく熱い奴ばっかりだし、みんなの希望が“俺"みたいな所があるから、第三章は今まで以上に頑張りますよ。

そういえば以前、金髪のほうが勝率がいいというお話をされてましたよね。
エリヤ:ね。…どうなんですかね?周りからは金髪のほうが似合うとか、俺の考え方に合ってるって言われるんですよ。でも俺は黒髪のほうが好きなんですよね(笑)。第三者的にはどうですか?

パンクラスHPのエリヤ選手のプロフィール写真みたいな感じがいいんじゃないですか?
エリヤ:あれいいですよね!誰が撮ったんですか?

パンクラスのオフィシャルカメラマンです。
エリヤ:すごく上手いですね。でもちょっとかっこよずぎですよ(笑)。あの写真見た後にこのインタビュー読んだら、「エリヤってこんなキャラなのかよ!?」って幻滅されちゃいそうですね……。