●今日は、注目の菊田選手です。
菊田:(苦笑)全然されてないですよぉ。
●いやいや。いろんな意味で注目ですよ。まず、パンクラスに入って一年以上やってきて8戦負けなし。特に「グラバカ」っていう第三勢力を作ったこともありますから。で、お聞きしたいのが「グラバカを作った理由」。
菊田:ああ、なるほどなるほど。グラバカ立ち上げたのは、簡単に言うと…僕がいつも練習してるとこに、「僕と練習したい」とか「あの練習環境がいい」っていう選手とかが、来てくれるわけですよ。その中には、団体に所属してる選手もいますけど、所属してないコもいるんですよね。で、練習だけは毎回毎回来るわけですよ。せっかく僕目当てに練習来てもらってるのに、それ以上のこと何もできなかったんで、だったら名前なくても強いコたちがもっともっと表舞台に出られるようなシステムを作りたいと思って、やっただけなんです。
●パンクラスの東京道場や横浜道場に対する、対抗団体というこだわりはないんですか?
菊田:それ、僕はあんまり気にしたことなかったんですよ。元々、仲間といってもみんなライバルと思ってたから。わざわざ(第三勢力を)作ってまでとは、全然考えてなかったですけど。ただ知り合いとかに会うたび、みんな「やれやれ」って(笑い)。そのほうが面白いからって。ただ、ホントの大きな理由は、僕のとこに来てくれてた人を出す、という。
●受け皿づくりですね。というと、グラバカの入門テストなんてないですよね。
菊田:(笑い)ないですないです。僕個人の考え方ですけど、イチから育てるより、有望なアマチュア選手をリングに上げるほうが手っとり早いじゃないですか。自分が外から来たっていうのがあるから思うんですけど、実力ある人でも場を与えないと埋もれちゃうんですよね。僕はあれこれ出ていったほうだからそうでもなかったんですけど、でも運の悪い人とかはいっぱいいるんで。そういう人、なるべく試合に出させて、後は「自分で勝ち取れ」と。そこからはもうノータッチです。練習しようがしなかろうが。
●すでにチーム・グラバカとして上がった石川英司選手と佐藤光芳選手、彼らはプロになりたいという意志はあるんですか。
菊田:ありますあります。グラバカ使ってどんどん出て出て出て「自分で勝手に名前売ってください」ってことです。その後、お呼びがかかれば、どこかに所属するかもしれない。それはパンクラスかもしれないし、違うところかもしれないし。
●ちょっと失礼な言い方だったかもしれませんけど、今って、いろんな形態があるじゃないですか。あくまでアマチュアとして会社員をしながらもプロの興行に出るとか。
菊田:ああ、はいはい。彼らは全員プロ志望です。それと、リングにゴーサイン出してる時点で、僕にしたらもう「プロ」という認識あるんで。だから彼らがパンクラスのリングで勝っても、アマがプロに勝ったとは思わないし。プロがプロに勝ったと。
●そういえば、ネイサン・マーコート選手もずいぶん一緒に練習したそうですね。彼のミドル級トーナメント優勝の影に「菊田あり」と(笑い)。
菊田:(苦笑)いやあ、そんなことないですけどね。でも、かなり真面目に来てて、確かに強くなりましたね。寝技は。いろんなこと聞いてきたし。ただ、元から持ってるものがいいんですよ、やっぱり。素材が。だから、やりこんで素材が発揮できたっていうだけで。
●須藤元気選手に関しては?
菊田:最初の頃はどうやって闘ったらいいかよく分かってなかったと思うんです。自分で見つけたんですよね。闘い方とか練習方法とかを。それからガーンと伸びてきましたね。彼はレスリングのベースがあるんで、今はそれを生かし切ってるということです。ネオブラッドのときは、全くそれが出てなかったですから。
●そういうことも菊田選手が教えるんですか。
菊田:それは…まあ、言ってはいたんですけど、やっぱり彼自身ですよ。僕とかじゃなくて。そういった意味で、すごくラクなことやっちゃってるんですけど、ベースのある人って、ちょっとしたことで力を発揮してくるんですよ。だから僕のやってることって、単に手助けであって。鈴木さんとかだったらイチからやらなきゃならないじゃないですか。そんなのとても気が重くて、教える気にならないですよ(笑い)。だからすごいと思いますよ、鈴木さんとか船木さんとか。