●今年はここまで三連勝と結果が出てますが、その理由をどう考えてますか。
謙吾:どうすかね。あんまわかんないですね。一生懸命やってるだけすね。
●ドスJr戦を乗りこえた自信というのは?
謙吾:ああー、そういうのもあるでしょうね。なんとなく、相手にいろいろやられても、対応できるというか。展開を変えられるような気がしますね。
●引き出しが増えてる?
謙吾:あ!そういうことじゃないですかね。ついに引き出しを出すようになりましたね。今まで知らなかった。いや、なかった(笑い)。
●フィニッシュが、スリーパーとかアームバーとか。
謙吾:むっふっふふふ。
●たしかドスJr戦の後、「スリーパーで決められるとは思わなかった」って言ってませんでしたっけ?
謙吾:思わないです。コブラの時のアームバーも決まると思ってなかったですからね(笑い)。
●自然に出るっていいことですよね。
謙吾:ノリでやってるだけですからね。イメージで。それが…くっふっふ(笑い)。
●練習してるってことでしょ?
謙吾:練習、まあそういう練習してますからね。なんとなく(笑い)「こう来たらこう、こう来たらああ」とか。でも他の選手に比べたら、僕なんか全然引き出しないほうですけどね。
●いまは、どんな練習してるんですか。
謙吾:基本的にスパーリング…グラウンドの練習中心に。で、試合が近くなったら総合の練習やって。打撃のスパーリング入れたりして。だから、ま、いままでやってることと基本的には変わんないんですけどね。
●いま、謙吾選手の指導というか中心にみてるのは、鈴木選手になるんですか?
謙吾:いや、別にそういうのは。鈴木さんは基本的にismの選手全体をみてると思うんで。別に僕だけ中心にみてるというのはないと思うんですけど。
●あ、それはそうなんでしょうけど。あの、謙吾選手の師匠っていうと、誰になるんですか?
謙吾:師匠?…師匠…船木さん?
●船木さん?
謙吾:わかんない。高橋さん?
●で、いまの道場長は鈴木選手。三人思い浮かんだんですけど、師匠、誰になるのかなと思ったんですね。いまのスタイルにいちばん近いのは高橋選手?
謙吾:高橋さんはずっと僕の中では変わらないスタンスでいるから。アドバイス的なものも大きいし。ismでいっしょになって鈴木さんからいろいろ言われることも多くなったから、それもまた自分にとってはプラスになってるんじゃないですかね。
●三人いたとして、それぞれからどんなことを学んだんですか。
謙吾:あんま覚えて…
●覚えてない?船木さんのことはもう忘れた!
謙吾:ははははは。いや、忘れてないですけどね。
●そういえば船木さんの引退記念パーティで、「船木さんはもうパンクラスに必要ない」って言ってましたね(注:心配せずに任せてくれという決意表明だった)。
謙吾:ホントですか!そんなこと言ってましたか!
●覚えてないんですか。
謙吾:あんま言ったこと覚えてないもんで(笑い)。テキトーなことばっか言ってんですよ。
●いや、いいと思うんですけど(笑い)。それぞれどんな先生なんですか?というのは、元々謙吾選手、ラグビーじゃないですか。格闘技歴ってなかったですよね?それが入門してから四年?
謙吾:ああ、もう四年ですね。
●その四年間、ここ(パンクラス)でイチから学んだ選手を、誰がどういう指導をして今の姿になったのか知りたくて。
謙吾:どうすかねえ。いろいろまあ…そう言われてもなあ。ま、結局、言われたことを自分がどうとらえるかだと思うし。言われたことをそのまま流しちゃうこともあるわけだし(笑い)。「めんどくさいからいいや」とか(笑い)。いや、ふだん流してるわけじゃないですけどぉ。その、言われたことをすぐ忘れちゃう?ってこと俺多いから(笑い)。こうしたほうがいいって言われても、それ忘れて「どうやるんだっけ」とか「こないだ言われたこともう忘れちった」とか、そういうのが結構、俺多いんですよ。
●だめじゃん(笑い)。
謙吾:特にグラウンドのことに関しては。昔なんかもう打撃ばっかやってたから。打撃は好きで、ホントもう。殴るのが大好きで打撃の練習ばっかしてて。
●それはいつ頃まで?
謙吾:やっぱ三年目くらいまでそうじゃないですかね。そのヘンでやっぱ「倒されたらダメだ」「倒しても何もできない」っていうのがあったから。その頃はグラウンドの練習は基本的にキライでしたからね。もうボクシングのジム行ったりとか、そんなのばっかでしたからね。
●じゃ、特に「グラウンドやれ」とも言われてなかったですか。
謙吾:いや、言われてましたけど(笑い)。でもホント、ismになってから。まあその前からもありますけど、やっぱ腕折られたのがいちばんでかかったんじゃないですかね。
●ああ、これじゃいかんと。でもその後も豪快に投げられ続けてはいますね。
謙吾:(苦笑)はい。ま、投げられるのはいいんですけどね。
●怪我したり不利な体勢にならなければ、ということですね。
謙吾:はい。
●投げられることは怖くはないですか。
謙吾:いや、ヘンな体勢で投げられなければ。きれいに投げられるときは、お客さんも喜ぶし(笑い)いいんじゃないですか。でも別に投げられようと思って投げられてるわけじゃないですからね。基本的には投げられたくはないですから。でも気がついたらみんな俺を投げちゃう(笑い)。
●関節技の練習については?
謙吾:関節技は特にしないですね。しないっていうか、スパーリングの中でそういう体勢になったら仕掛けにいったりとか、そんなんばっかですね。
●こないだのアームバーっていうのは、ふだんから?
謙吾:あれはバックとられたときにイメージでやってただけで(笑い)。
●イメージで(笑い)。じゃ、練習で決まったことはないんですか。
謙吾:練習で決まったこともありますけどね、でもめったにないですね(笑い)。
●技って習うもんじゃないんですか。
謙吾:習おうとしないんじゃあ(笑い)。センスがない。そんな気がする(笑い)。おとついくらいに鈴木さんに「こういう技があるからやったほうがいい」って話されていろいろ練習したんですけど、鈴木さんが途中で「お前にセンスがないことに気づいた」って(笑い)。「ダメだ」って言われましたけどね(笑い)。関節技のセンスはないんじゃないですかね。
●じゃあ、やっぱり自分の武器は打撃だというふうに考えてますか。
謙吾:基本的にはそうですよね。でもそれなりに試合展開によっては。たとえばドスのときにしてもコブラのときにしても、そういう展開になったときにそういう技が出たってことは、そういうのも体に染みついてきてんじゃないですかね。まあ練習ではいろいろ仕掛けたりとか試したりとかしてるんで。
●すばらしい。
謙吾:いやあ、そんなことないです(笑い)。
●いや、でもイメージをカタチに出せるってことは、ねえ?
謙吾:そうすかね。
●ただ、このドスJr戦のときのTV放送で、解説が山田さんだったんですけど「謙吾はまだまだ誉められたもんじゃないですね」って。見ました?
謙吾:はい。聞きましたよ。
●それ、どういうところだと思います?
謙吾:やっぱ雑ですからね(笑い)。基本的にやることなすこと。
●ち密にいこうという気はありますか。
謙吾:いやあ…それじゃ「謙吾」じゃなくなっちゃうでしょう。
●じゃあ、そのままでいい?
謙吾:うーん、と思ってますけどね。でもまあ、ち密にできたほうがいいというのは間違いないですよ。強さを追求すれば。ただ試合になると雑になっちゃうから(笑い)。
●では、最近の試合、スリーパーとかアームバーとかでとってますが、やっぱり殴りたおしたかったですか。
謙吾:基本的にはそれを狙って試合には臨んでますよ。うん、でもそういう展開にならないですね。自分が思っているイメージ通りの相手を倒すことの展開に、ここ最近はまったくなってないから。