一話完結のヒーロー物。

●でもね、そういうフィニッシュでも全然謙吾選手らしい豪快さはなくなってないと思うんですけどね。それは、ひとつには、無差別、超ヘビー級の試合ってこともあると思うんですけど。謙吾選手、毎回相手がバケモノみたいな人ばっかりですよね。
謙吾:はい。

●たとえば今回のウォーターマン選手なんですけど。試合は見たことありますか。
謙吾:ありますよ。ティム・レイシックの試合とか、あと本間さんの試合とか見ましたね(注:というかUFCジャパンで行われた本間聡戦では、パンクラスとコロラド・スターズの関係から謙吾がウォーターマンのセコンドを務めている)。

●WWFの試合は見てない?
謙吾:見てないですね。

●ホントこの人って筋肉のバケモノみたいな人じゃないですか。怖いということはないですか。
謙吾:基本的には嫌ですね。ビジュアル的には嫌ですね。町歩いてたら会いたくないタイプですね(笑い)。

●でも自分もそう見られてると思うんですけど(笑い)。
謙吾:くっひひひ。ただケンカ売られたら買うしかない。

●去年のパンフ覚えてます?同級生座談会。あのときに近藤選手が言ってたんですけど「謙吾というのは試合に対する恐怖の吹っ切れ方がいちばんできてる」って。
謙吾:ああー、ありましたね。なんとなく覚えてます。だってリングに上がったらもう、やるしかしょうがないじゃないですか。やんなきゃやられちゃうし、だったらやったほうがいい。だっていきなり「○月○日にこの人とケンカします」みたいなもんじゃないですか。「この人とタイマン張らなきゃいけないんで、謙吾さんよろしくお願いします」って会社に言われる(笑い)。基本的にこの職業もおかしいっちゃおかしい職業なんですけど、世の中的には。うん、そういうノリですね。その○月○日の試合までにみんな練習してベストな状態で臨むようにするわけじゃないですか。基本的に練習なんかしたくないですからね。

●嫌いですか。
謙吾:嫌いですね(きっぱり)。基本的に練習しないで試合出て、バーンとぶっとばして勝って「イエーイ!」つって遊びにいくのがベストです。

●わかりやすい!
謙吾:でも練習しないと勝てないからするだけであって。

●ああ、仕方ないから。
謙吾:仕方ないです(笑い)。

●ちょっとひとつだけ残念なのが、パンクラス内に体重合う選手いないじゃないですか。だから試合のひとつひとつが点になってるかなあという感じがするんですね。物語が続かないというか。
謙吾:ああ、はいはい。でも別にいいんじゃないですかね。一話完結のヒーロー物みたいで。

●パンクラス内で比較される相手もいないわけじゃないですか。ライバルがいないというところでは?
謙吾:いや、気にならない。別にいらないですね。

●新日本プロレスの鈴木健想選手っていうのは、ライバルではないですか。
謙吾:いや別にライバルじゃないですね。

●では、何なんでしょうか。
謙吾:何ですかね…同じラグビーやってた人間…くらいじゃないですか。でまあ業界が同じだけで。

●でもそういう共通点から比較はされますよね。以前、鈴木健想戦という話題が出てましたけど、やはり今も実現したいと思ってますか。
謙吾:ああ、やれるならやりたいですね。それは別にすぐでなくてもいいし、いつでもいいって感じですね。僕はいつでもやれる準備はできてるから、あとは健想クン次第じゃないですか。

●ということは、やっぱり意識してるんじゃないですか?
謙吾:ああー。でもそれは二人の、二人ともラグビーやってて二人ともある程度のレベルまでいってて、それでラグビーやめて「こっち」来た人間だから。そういうの(そういう意味での意識)ですからね。

●あと、パンクラス外でやる試合ありますよね。こういう外でやる試合とパンクラスでの試合と、気持ちはちがうものですか。
謙吾:いや、別にいっしょですね。試合は試合だから別にかわんないですね。

●パンクラスの名前を背負うとか、そういうのもないですか。
謙吾:そんなに意識したことないですね。ただ別に普通に闘うだけでも、外でやると「パンクラスの謙吾」というふうにパンクラスの名前がついてくるから。別に本人がそんなに重いとは思ってなくても、まわりから見たら背負ってるというのはあるもんだし。まわりがそう見るのは、それはそれでいいんじゃないですか。パンクラスで練習してパンクラスで強くなってるわけだから、それは僕の中であたりまえのことで。そんな「全部背負ってます」みたいのはないですね。

●「謙吾」という名前を背負ってる。
謙吾:はい。

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