開始早々近藤選手は立ち会いがつっぱりのような掌打を放ちまして、これで石井選手は軽くダウンをするような形になり、ダウンコ-ルが有りました。これがダウンで認められると、試合開始5秒いくつという6秒に満たない最短も最短の記録が樹立する状態でした。
しかし1ロストポイントで勝負が決すると言うことで試合前に、ダウンしてもギブアップにしても、明確な所でしっかり見ようと言うことで話し合いをして、ジャッジに違いが出た場合にはきちんとリング上に3人が集まって、3者3様の意見をきちんといって統括した状態でメインレフェリーが裁決をコ-ルするというような話合いがありました。そこで確かにふらついてダウンと取ればダウンと取れるような形ではあったんですが、時間が速すぎるとかそういうことは全く関係なく、石井選手の身体が死に体、例えば身体が伸びきって倒れてしまうということではなく、闘う意志がありながらキャンバスの上に手をつく足をつく形で倒れたということで、スリップダウンとして試合を続行しました。
その結果見ることが出来たのですが、近藤選手のアメリカ修行というのがここに来てかなり実を結んできたと思います。若き天才と言われる近藤選手を持ってしても海外に行き、閃き、ひとつ技術を身に付けるのに半年近く経過しないと実を結ばないものなのかと思いました。パンクラスの技術奥深しといった印象を持っていたのですが、それにしても驚いたのが懐に入ってからの打撃のコンビネ-ションも良いし、動きも速い、身体の重心もしっかりしているし、安全に且つ、やりたい事をやるという典型的な試合になってしまいましたね。
石井選手も試合前に今回はグラウンドは狙いに行かず打撃で勝負だという話をしてのリングインで試合に挑んだのですが、何といっても出鼻で意識が半分飛んだのでしょう、その後はハイキックを一発くらった時点で気が付いたら鼻血が出て打撃の雨霰でそのままグラウンドに転がされて足首を取られていたという所で気が付いたといっていました。
近藤選手としてはかなり手応えのある試合の運び方だったと思います。あそこまで追い込めばT.K.O.も狙えたと思うんですよ。レフェリーストップも狙えたと思うんですが、石井選手の持ち前の根性と、しがみついて打撃を止めようと言うこともあったとは思うんですが、それにこだわらないでグラウンドにもっていって足首をきちんと極めていくというところに近藤選手の末恐ろしさというものも感じます。
あそこからラッシュで攻めいってふらふらになったところで、瞬時に切り替えをするというのはなかなか出来ないことです。そのまま押し切りたくなってしまうところです。その辺のうまさが、ルッテン選手、船木選手、メッツァ-選手等歴代のチャンピオンは持ち合わせています。いままでの近藤選手はそれがなかなか出せなかったところが有りましたが、それでもベルトはとったんですが、そういう事がきちんとできるようになってきてのまたベルトのチャレンジということになれば、また楽しみになってくると思いますから、今年後半は近藤選手から目が離せないんじゃないかなと、そんな内容の2分38秒でした。