この日の第1試合、第2試合の美濃輪選手、対戦した石井選手、第2試合に出てくる窪田選手というパンクラス第3世代の選手が揃って登場していますが、この見所というのは、この3選手がどれくらい毎試合の中で変わっていくのかという部分が一つの見所だったんではないかと思います。
パンクラスというのはハイブリッドレスリングということを提唱して、既成概念を持たないで良いと思ったらどんどん自分で取り入れて、前に突き進んでいく、要するにどんどんどんどん進化していかなくてはいけないんだという部分、勘違いされやすいのは、いろいろなものを取り入れている団体なんだという風潮に陥りやすいと思います。ですが、それはほんの一面であって、いろいろなものを取り入れて常に進化している団体、進化していくんだと言う部分がパンクラスの場合では最も大切なところだと思います。
ですから、この3人をみて今回はどれ程変化が出てきているのかということで、横浜、東京各道場の練習内容が見て取れるということでは後の4試合よりはこの後楽園大会では、私はある部分今年から、'99年の展望が見て取れるような、そんな部分で期待をしていた試合でした。第1試合としては美濃輪選手が横浜道場に移ったということがすごく見て取れる試合だったと思います。
美濃輪選手というと下からの返し技とか、粘り強さが真骨頂という感じで見られていますが、横浜道場に移って鈴木選手の影響というのも多大だと思うんですが、横浜道場の全体の思想として安易に倒れるな、必ず相手の上に乗るんだというポジショニングの基本をじっくり身につけているというのが見てとれる試合でした。落ちついてテ-クダウンをとれるところはしっかりテ-クダウンを取っていくテ-クダウンをとれなければ自分から倒れていくのではなく、テ-クダウンを取れる体勢に移して自分が優位に運ぶようにしてそれでテ-クダウンを取っていくという部分で打撃とスタンディングレスリングをきちんとしながら、最終的にどの形に相手をしとめるのかという事を前提においた、何となく組立の出来る、試合を組み立てていける形が見て取れる、そんな闘いぶりでした。
その部分でやはりスタンディングで何とか相手を倒していこうダウンを奪っていこう、スタンディングの打撃によって活路を見いだそうとする若さ溢れる部分では良いんですが、どうしても単調になりがちな石井選手に対して、美濃輪選手はちょっと一皮剥けたぞと、その様な印象の見られる第1試合だったと思います。石井選手も打撃のコンビネ-ションであるとかスタンディングレスリングの強さ、腰の強さという注目すべき所はしっかりもっていましたので、第3世代はなかなかやるなというオ-プニングゲ-ムだったと思います。
PANCRASE 1998 ADVANCE TOUR 1998.10.26 後楽園ホール結果