PANCRASE 1998 ADVANCE TOUR 1998.10.26 後楽園ホール

第3試合 10分1本勝負
  • 山田学
  • vs
  • 渡辺大介
○山田学(7分33秒、チョークスリーパー)渡辺大介×

渡辺選手のデビュ-戦ですが、約3年という期日を費やしたのは内容がチ-プであったりプアであったりということではなくて、ケガに泣かされてきたという部分での、たいへん長い間の練習生時代だったと思います。5月もケガで見送られ(デビュ-が)大変悔しがっていました。その分すごく緊張してしまうのかなという気持ちで見ていました。

山田選手は今回じっくり見ていこうという形だったので渡辺選手としては噛み合いやすい、自分のやりやすい形で試合に臨めたようでした。ですからデビュ-戦とは思えない位落ちついて、長い間デビュ-を待ちに待った部分だけ、あれもやりたい、これもやりたいと、自分のやりたい事をデビュ-戦のなかで、いろんな事をとりあえずやってみるという、楽しそうに、嬉しそうにやっている渡辺選手の表情がとても何かデビュ-戦のかたさを感じさせない、そんなデビュ-戦だったと思います。

ですからまるで高橋選手がアルティメットに出て、これとこれだけは自分がやるんだと。それ以外は不完全だからやらないと。自分でやる事はこれとこれだけなんだということをきっちり決めて、その範疇で一生懸命闘ったということを、まるで反復しているかのように高い壁である山田選手の胸にそのまま素直につっこんでって、自分でやれる範囲で闘っていく、そんな感じでしたね。山田選手は復帰して2戦目なんですが、そうゆう形では横綱相撲をやったような感もありました。

その中で何だかんだいいながら7分33秒でチョ-クスリ-パ-でギブアップを取るんですから、山田選手のセンスは並大抵ではないということがうかがえます。まさに非凡だと思います。体調不良から上がっていくという、一つのハンディキャップと、それから山田選手自身が欠場している間の中でパンクラスの闘い方のイメ-ジが変わって来ましたから、それに乗り遅れない為の自分のファィティングスタイルを変えていこうという部分で徹底して変革させているわけです。

そういう部分では、二重、三重という形で自分にハンディキャップをおわせてのしかもそれで胸をかしてあげて闘うという中できっちりと勝利をものに出来るというのは、やはり山田学は非凡だぞと言う部分だと思います。試合自体はたいへん地味だったかもしれませんが、僕の目には山田学選手はたいへん光った、そんな試合でした。

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