PANCRASE 1999 BREAKTHROUGH TOUR 1999.01.19 後楽園ホール

第4試合 10分1本勝負
  • 山田学
  • vs
  • デビッド・モア
○山田学(0分20秒、チョークスリーパー)デビッド・モア×

山田選手がチョ-クで最短記録20秒・レフリ-ストップという形での勝利でした。モア選手は久々のパンクラスのリングという事で、そうとう心に期するものもあった様で試合前なんかも色々な技術を出してみたいとすごく燃えていたんですが、それが最短記録という形で殆ど何も出来ない、タックル1本出しただけで終わってしまったという事で是非ともその技術を次の出場の機会に見せてもらいたいですね。

モア選手の為に言いますが、決して最短記録というのは弱いから最短記録というわけではありません。果敢に攻めて行くという、まずアグレッシブなタフな精神が無ければ早めの決着というのはありません。様子を見てぐるぐる回っていれば、時間は過ぎて行きますから中途半端な事をやっていればだらだらと時間はどんどん過ぎていきます。野球で言えば直球で勝負するからホ-ムランも打たれるわけで自分からド-ンと出て行って相手を倒して自分の試合にするんだというものがお互いにあるから、刀の刃こぼれの様に一瞬にして壊れてしまうという事もありえるわけです。

勝った山田選手の話をすれば、珍しく山田選手はここのところちょっと自分の復帰という段階から徐々に試合への欲という事。またいろいろな形で実戦の中で勉強して、経験を積んで行こうというところで色々と特訓をしたり、色々と研究をしたりというところで余念がなかったと思います。しかし試合前に珍しく緊張をしていました。まあ、そういうところでいつもの山田選手らしくないかなと思いましたが、リングインした姿を見るともう相変わらずの集中力。山田選手の凄いところは集中力にあります。そういうところでしっかり自分の中に備わっていた、力を充分に貯めていたというところはこの勝利に繋がっていたかもしれないですね。

ところで基本的に山田選手は上半身のちょっと固い状態がイメ-ジとして多くありました。ビルドアップという事もあるんですが、かなり背中を反らせて強い上体を作ろうという部分がありました。その上体が柔術の軟らかい動作をしようというところにやはり少し動きの不条理があった様に見受けられたのですが、今回は剛から柔に見事にチェンジして試合に臨めたのではないかなと思います。それがモア選手のタックルを受けた時の空中の姿勢であるとかタックルを処理してフロントネックの様な形で腕を首に差し入れた後に山田選手の身体がしっかりとモア選手の胴に密着していた、その密着力というところで山田選手がもの凄く力が抜けて良い感覚でリングに立っていたんだなという事がうかがい知れていたと思います。

ですからこういう剛から柔にというところに手応えを感じて来ると山田親分のいよいよ真骨頂が出て来るんではないかという形で、決して20秒の勝負で勝って、最短記録を出したから山田いいぞという事では無いと思います。山田選手が迷っていたものから活路を見いだす為の出口を何となく感覚でみつけて来たのではないかと、そこに山田選手の恐ろしさを何となく感じるそんな試合だったと思います。期待出来ると思います。

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