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: では、これまで伊藤選手個人に関していろいろとお聞きしてきましたが、ここからは話題を変えてパンクラスという団体に関して。パンクラスという団体自体のこれまでの10年を伊藤選手はどうご覧になりますか?
■ 伊藤崇文:変わりましたね、やっぱり。客観的に見て会場の雰囲気とか。最初の頃は“秒殺”っていうのがすごいクローズアップされたから、それで殺伐とした感じがあったんですけど、途中でその秒殺も少なくなってきて、それで少し和らいで。それからオープンフィンガーグローブの導入とか、他の団体の選手が上がるようになって、それでリングの光景が以前の殺伐とした感じにまたなってきたかなっていうのをすごい感じますね。オレは基本的に初期のハイブリッド・レスリングが好きなんで。動き回るっていうのが。それが頭から離れてないって言うか。最近いろんな団体の選手が上がってるけど、やっぱり負けたくないですよね。リング上の雰囲気とかアマチュア臭くなってるし。
: 今後、パンクラスにはどういうリング、闘いの場になってほしいと伊藤選手は考えてますか?
■ 伊藤崇文:ん〜やっぱりオレの頭の中にあるのは昔のプロレスなんで、別に純粋なプロレスをやるってことではなくて、会場が一つになる一体感って言うか、TVで観ててドキドキした、ああいうリングにしたいんですよ。だから今、何人も良い選手がいて、メインイベントをはれる選手もいますけど、船木さんが引退してから絶対的なエースっていうのがいないじゃないですか? (昔のプロレスは)前座試合があって、中堅選手の試合があって、セミ・メインの試合に繋がるっていう、ああいうのがオレは理想ですね。で、オレがそのメインにいたい。まず坊主の新人選手が出て、中堅の藤原(喜明)さんや木村健吾さんが出て、メインの猪木さんに続くっていう、そういう感じのパンクラスがオレは良いです。階級があるからそこのところをどうするかっていうのを自分の中で考え中なんですけど。でもウェルター級がメインになればいい、そういうふうに持っていけるようなビジョンを考え中です。
: そこにはやっぱりクロネコさん(ブラック・キャット選手)もいなければダメですよね?(笑)
■ 伊藤崇文:そうですよ。若手の壁っていうような感じで。そういう人も絶対必要だと思います。だからそういう方がわかりやすいから。やっぱ何人ものエースはいらないですよ。絶対的なエース、そういう一人になりたい。
: わかりました。では、もう一つ話題を変えて。引退を決意して、6月22日の梅田大会で引退試合を行う稲垣選手に関してですが、引退ということをお聞きになった時の心境っていかがでした?
■ 伊藤崇文:ホント残念でしたね。って言うのも、稲垣さんは本当に体力があるから。でもこれだけケガが多くて1年も休んでるっていうのもあるし。オレはすごく残念に思いましたけど、でも、すごい時期から見てるじゃないですか? 今のパンクラスになるまでに。それはすごい財産だと思うから、うらやましいですね。オレ、藤原組の頃はファンとして見てただけですから。稲垣さんの気持ちが強いっていうのは、自分が言うのもなんですけど、分かってますからね。だから稲垣さんがプロレスラーっていうのをやめても、オレはそれでも稲垣さんは強いって思うし。・・・残念ですね。でも本当に強い稲垣さんを知ってるから、是非頑張って欲しいですね。今回の試合が、稲垣さんにとってはある意味最後じゃないから。
: 稲垣選手との一番の思い出って何でしょう?
■ 伊藤崇文:いや、もう、何が思い出って言うか、入門してからずっと(合宿所の)部屋が一緒だったから・・・。稲垣さんの親父ギャグが思い出です(笑)。たぶんそれには引退はないと思います(笑)。でも基本的にオレはそれが好きなんで(笑)。渡辺大介も結構それが好きだったんで。でも新しく入ってきた新弟子はすごい嫌がってましたけどね(笑)。それに耐えられないと一人前のプロレスラーにはなれないんですよ。リング上だけのことじゃないですからね。まぁ、みんなが稲垣さんのことを我慢強いって言うじゃないですか。それ、ホントにオレは良くわかります。強い人だと思います。辛い闘いをいっぱいしてきた人だから。リング上の格闘だけじゃないじゃないですか。ケガとの闘いっていうのもある訳だから。「大好きです」って書いてといて下さい。
: では、プロレスラーを引退してしまう稲垣選手に何かはなむけのお言葉をいただけますか?
■ 伊藤崇文:え〜稲垣さん。引退試合、師弟的には最後になりますけど、別にオレ的には変わらないし、これからの人生の方がもっといっぱいすごい闘いがあると思うから、引退試合に勝って弾みをつけて、次のステップ、P'sLABを引っ張ってって下さい。あと稲垣さんにそっくりな、2世を大阪で育ててほしいですね。体つきも、精神的な強さも。是非見てみたいから、製造して下さい。すごいかっこ良いと思います。稲垣さんはいろんな経験をしている人だから、とてつもない、稲垣克臣っていうプロレスラーを越える2世を見てみたいです。稲垣さんの名前を譲るっていうのはどうッすか?(笑)。
: 稲垣克臣jrみたいな?
■ 伊藤崇文:本当にjrじゃなくてもいいんで、製造するっていう。もし稲垣克臣2世を育てるなら、オレもお手伝いしますんで。是非。まぁ、とにかく勝って弾みをつけてほしいですね。次に。
: では、いよいよこれで最後です。伊藤選手の復活と、今後のご活躍に期待してらっしゃるファンの皆さんにメッセージをお願いします。
■ 伊藤崇文:一言でいいですか?
: はい。
■ 伊藤崇文:“絶対”になります。
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