では、パンクラス2年目の年、1994年です。この年は大会場での試合が非常に多かった年です。
北岡悟:そうですね。この年は単純に1番、チャンピオンを決めるっていう流れができてますよね。ツアータイトルに「ROAD TO THE CHAMPIONSHIP」ってあるように。12月(両国国技館2連戦)のチャンピオンを決めるトーナメントの前に、船木さんと鈴木さんが試合をして(10月・両国国技館)、どっちが強いかをハッキリさせて。

この年に起こったパンクラスの出来事で何か特に印象に残っていることはありますか?
北岡悟:山田(学)さんでしょう。

山田選手のどういうところが?
北岡悟:プロ修斗で活躍して、それからパンクラスのリングにやって来てどんどん勝って、それで12月のトーナメントで決勝までいったと。船木さんや鈴木さんが準決勝で敗れていく中で。でまぁ、惜しくもベルトには届かなかったんですけど。確か冨宅(祐輔※当時)さんには負けてるんですよね(9月・大阪府立体育館)。だけど他は全部勝ってますよね。やっぱり山田さんの台頭っていうのがありますね。ずっとガチンコをやってた人は強かったって。

修斗からやってきた山田選手ということに関してはどういうふうにご覧になってました?
北岡悟:いや、ホント先駆けですよね。今の総合格闘技界では、いろんな人が団体や所属ジムなんかを移ったり、入れ替わりがあったりしますけど、それの最初ですよね。まさに。いや、スゴイな〜っていうのがありますよね。ちゃんと(移籍にあたって)筋も通してるし。きっと山田さんは誰かと関係を悪くしてではなく、誰とでも今でも良い関係だと思うんですよ。現に引退の時(2001年5月・後楽園ホール)もみんな来てくれて。そういうのも含めてスゴイな〜って。偉大な人だな〜って思いますね。

この年で特に記憶に残っている試合って何ですか?
北岡悟:ん〜結構いろいろありますね。単純にカッコ良いなぁ〜って思ったのは、鈴木さんが(ウェイン・)シャムロックをやっつけた(1月・横浜文化体育館)のはカッコ良かったですよね。あれは結構、カッコ良かったですよね、ハイ(笑)。ビデオを見た時。あと、山田さんのデビュー戦(5月・日本武道館)で、すぐ膝十字をとったのもカッコ良かったですし。冨宅さんと山田さんの試合も面白かったし。もちろん、船木さんと鈴木さんの試合も面白いし。あと、(ウェイン・)シャムロックはやっぱり強いですよね。あの身体ですからね。ちょっと化け物じみてる感じはしますよね(笑)。ゲームでいうところのボスキャラって感じじゃないですか(笑)。そういうシャムロックに鈴木さんが勝ったのはやっぱりカッコ良かったですよね。

この年はケガをする選手もスゴイ多かったんですけど。
北岡悟:そうですね。単純にルールを守らないヤツはダメですよね。ちゃんとルールがあるわけだから。ん〜ルールが危険だとか過酷だとかってわけではないんですよね。それより毎月毎月真剣勝負をやってるっていうのがスゴイですよね。ルールだけで言えば今の方が過酷ですからね。でも、当時みんな肉体をスリ減らしてやってたんだな〜って思いますよね。