では、1994年の年末にチャンピオンが決定して、そのベルトを巡っての闘いが繰り広げられていった1995年についてお話ししていただきたいのですが、この年のパンクラスの流れ、出来事に関して印象に残っていることはどんなことでしょうか?
北岡悟:そうですね〜・・・この年の流れとしてあったのは、柔術ですよね。1993年にU.F.C.が始まって、94年も続いて、ホイス(・グレイシー)がずっと勝ち続けて、(ウェイン・)シャムロックもホイスにやられちゃって。(パンクラスと)リンクしてるんですよね、スゴイ。で、この年の初めに冨宅さんと山田さんが確かハワイにいったんですよね。ハワイに行ってビクトー・ベウフォートとスパーリングしたり。で、そういう流れも絡み合ったりして。船木さんもマチャドのところに行って覚えてきたこととかを使い始めている頃ですよね。ビデオで観たら「アッ!こんな技やってる」って。船木さんって、結構技を丁寧に出すから、モロそれだっていうのがわかるんですよね。で、5月にアラン・ゴエスがやってきたんですよ。


フランク・シャムロックと5月の東京ベイNKホールで対戦しています。今考えるとすごいカードですよね。
北岡悟:そうですね。スゴイですよね。それで強く印象に残ってます。僕、何かの時に、パンクラスのベストバウトっていうことで、アラン・ゴエスVSフランク・シャムロックって書いたことがあるんですけど、スゴイ見応えありましたよね。あとはまた鈴木さんが(ウェイン・)シャムロックをやっつけた(5月・NKホール)ところがカッコ良かったですよね(笑)。

この年から『ネオブラッド・トーナメント』(7月・後楽園ホール)もはじまりました。
北岡悟:この時の(試合)時間がスゴイですよね。1回戦が10分で、準決勝が20分で、決勝が30分だったから、優勝した伊藤(崇文)さんは1時間ぐらい闘ってるんですよ。スゴイっスよ。尋常じゃないですよね。伊藤さん、ホント凄いっスよ。動き続けて。尋常じゃない体力だったんだなって思いますよね。いや、スゴイ。あと、鈴木さんがベルトを獲って(5月・東京ベイNKホール)、初防衛戦で(バス・)ルッテンにベルトを獲られちゃったっていう(9月・日本武道館)。


この年、王者が初代(ウェイン・シャムロック)、第2代(鈴木みのる)、第3代(バス・ルッテン)と1年間で3人に移り変わっていったんですけど、このことに関してはいかがですか?
北岡悟:ん〜相性もあるとは思いますけど、そうですね〜今思えば防衛戦をメチャメチャやってますからね。3ヵ月に1回とか、4ヶ月に1回とかじゃないですか。そりゃ厳しいよって思いますよね。防衛戦以外にもチャンピオンは月一で試合をしているわけだから、そりゃまぁ、王者もそれだけ変わるでしょうと。そう思いますよね。さぞかし厳しかったんだろうなって思います。

この年、ポイントになっていた選手って誰だと思います?
北岡悟:ん〜(ウェイン・)シャムロックに関しては、フェードアウトしていくのが何となく予見できますよね。ん〜誰だろう? やっぱりルッテンと鈴木さんになるんじゃないですかね。鈴木さんはやっぱりベルトを獲る前と後とでは全然違いますよね。そう考えるとやっぱりルッテンってことになるんですかね。どんどん強くなってきましたね。山田さんをすぐ絞め落としたのとか(1月・愛知県武道館)凄かったですよね。

11月(横浜文化体育館)には、船木さんがフランク・シャムロックに負けるという試合もありました。
北岡悟:負けちゃいましたよね。ん〜、ぶっちゃけて言うと、この年に限らず船木さんも鈴木さんも要所要所で勝ててないんですよね。大事なところで。そういう印象がありますよね。


船木VSフランク戦の試合内容自体に関してはいかがですか?3月(横浜文化体育館)の初対戦では船木選手が勝ってますけど。
北岡悟:何だろう?当時はまだ船木さんの方が強いっていうのがあったと思うんですよね。ん〜いや、実際もう外国人選手、フランク・シャムロックとか、どんどん強くなってたんだろうなって思いますね。フランクの身体能力の高さっていうのは、見ててもスゴイわかりますよね。そりゃまぁ、成功するよなって感じがありますよね。鈴木さんから聞いた話なんですけど、(フランク・シャムロックは)すごい身体が柔らかいらしいんですよね。筋肉も。廣戸(聡一)先生がもう、最高の筋肉、みんなこういう身体になりなさいっていうぐらいの身体をしてるらしいんですけど(笑)。スパーリングとかやってみたかったですよね。