わかりました。では、北岡選手がプロデビューを果たして2年目。2001年のお話にいきます。2年前のことですね。
北岡悟:そうですね。え〜『DEEP2001』の誕生からはじまってますよね。『DEEP』(1月・愛知県体育館)で諸先輩方がブラジルの選手と対戦して、いろんな試合があって。やっぱりパウロ・フィリョが強くて、この後、パンクラスのリングで美濃輪さんが負けて(3月・なみはやドーム)、8月の『DEEP』(横浜文化体育館)のリングでも近藤さんが負けたりして。でもまぁ、山宮さんと対戦した時が1番インパクトがありましたよね。その強さっていうのがハッキリわかって。しかも山宮さんは当時(ライトヘビー級の)チャンピオンだったわけで。チャンピオンが完膚なきまでに負けたってことで。僕は『ヴァーリ・トゥード・ジャパン』っていう大会を結構生で観てるんですけど、ブラジル人はそれぐらい強いっていうのを知ってたので。それでもまぁ、もっと勝負できるって思ってましたけど。確かに山宮さんは相手のツボにハマって大敗してしまいましたけど、美濃輪さんも近藤さんも負けはしたけどそれほどの大負けでもなく、粘りは見せたと思います。ただ、VS世界っていうことで考えると、厳しい勝負だったとは思いますよね。あと、前年の年末には近藤VSティト・オーティズ戦(12月『UFC-J』・ディファ有明)っていうのもありましたよね。だから世界っていうのは強いっていうのがありますよね。そういう中、菊田さんが『アブダビ・コンバット』(4月『第4回世界サブミッションレスリング世界選手権』)で優勝したっていうのは、やっぱりすごいことですよね。決勝でサウロ・ヒベイロに勝って。サウロっていうのは、本当にリアルチャンピオンなんで。当時は。その選手に組み技のみのルールで勝った菊田さんっていうのはよりすごいですよね。やっぱりこの年はもう、グラバカの年ですね。佐々木(有生)さんが(パンクラスに)上がり、郷野さんが上がり、三崎(和雄)さんが『ネオブラッド』(7月・後楽園ホール)で優勝し、対抗戦(10月・後楽園ホール、12月・横浜文化体育館)ではグラバカが2連勝と。それと菊田さんが(ライトヘビー級の)ベルトを獲ると(9月・横浜文化体育館)。まさにGRABAKAの年ですよね(笑)。GRABAKAイヤー(笑)。

当時、東京道場所属の選手という立場で、リング上でグラバカ勢の活躍をご覧になってていかがでした?
北岡悟:まぁ、練習にも行ってましたから、強いのを知ってましたからね。当然と言えば当然というか。そう思ってましたね。でも、僕は僕自身のことで精一杯でしたね。この年、外のリングで1回勝っただけで(10月『ザ・コンテンダーズ』・横浜ランドマークホール)、あとは星野(勇二)選手に負けて(6月・後楽園ホール)、その他は4引き分けの年なんですよ。もう僕は僕のことで精一杯で、自分の試合ごとに一生懸命練習して、試合に挑んで、何とか生き残っていこうってことで精一杯でしたね。相手をやっつけるっていうよりも、自分が生き残るのに精一杯みたいな。そういう時期ですよね。だから、グラバカにも自分と同じ階級の選手がいればアレですけど、そういう選手もいませんでしたし・・・。グラバカだから敵とも思ってませんでしたね。自分の敵はまた違うところにいると思ってたので。そのために力を付けてた時だと思いますね。私事なんですが(笑)、この年は勝てなかったんですけど、やっぱりそういう時にちゃんと一生懸命練習してたのが今に生きてると思うので。


では、この年で、パンクラス全体の流れの中で結構ポイントになった試合っていうのは何でしょう?
北岡悟:まぁ、『アブダビ』も含め、グラバカの台頭ってことなんですけど・・・。やっぱり菊田さんがベルトを獲ったっていうのが大きな出来事ですよね。年末には國奥(麒樹真)さんと高橋(義生)さんがベルトを獲って(12月・横浜文化体育館)、そして近藤さんが郷野さんに勝って、本流の巻き返しみたいな感じで終わったわけですけど。菊田さんっていうのはずっと無冠の人だったので、そういう人がポンポンって花開いたっていうのは、パンクラスのリングで花開いたっていうのは、菊田さんと知り合いだった僕としては素直に嬉しかったですね。菊田さんがベルトを獲った時にすごい喜んでいる姿を見て、ベルトを獲るということは、かくあるべきだって思いましたね。その前の年に山宮さんが獲った時は、山宮さんも結構自分に厳しい方なので、喜びをあまり出されてなかったんですけど、「ベルトを獲ったらもっと喜ぼうよ」っていうのが僕の素直な気持ちとして結構ありますね(苦笑)。ベルト、パンクラスのベルトっていうのは、パンクラスの最高峰なので・・・。そういう意味では、やっぱり欲しがった人が獲ったっていうことで、間違ってないんだなって思いますよね。それで、そういう人がパンクラスの流れを掴んで成功したっていうのは良いことだと思いますね。正しいことだと思いますよね。

この年の佐々木選手、郷野選手の快進撃はどうご覧になってました?
北岡悟:それもまぁ、(両選手の)修斗の試合を観てましたからね。佐々木さんに関しては、寝技で一本とれるっていうスタイルで、打撃ももちろんできるし。すごい好きなスタイルでしたね。3ラウンド使ってじっくりとるようなスタイルだし、いきなりバーッって攻め込んでも一本とれるし。この年は勝ってしかる相手と対戦して、しっかりちゃんと1本で勝ってるっていう印象がありますよね。郷野さんに関しては、打撃もレスリングも寝技も全部きれいにできて繋げることができる選手で。すごい好きな選手ですね。ん〜・・・山宮さんと郷野さんの試合(10月・後楽園ホール)っていうのはすごい印象的ですよね。山宮さんは力のある選手なので、その山宮さんに競り勝った郷野さんはやっぱり強いなって思いましたね。当時僕は山宮さんが勝つって思ってましたから。

その郷野選手ですが、12月(横浜文化体育館)には近藤選手と対戦しています。
北岡悟:僕、負けると思ってたんですよ。近藤さんが。この時点で近藤さんっていうのは、『U.F.C.』(6月)で(ウラジミール・)マティシェンコに勝てなくて、『DEEP』でパウロ・フィリョに負けちゃってっていう状況で、その次の試合だったんですよね。絶対勝てないって思ってたんですけど、でも勝って。いや〜近藤さんは強いな〜って(笑)。もう絶対負けると思ってましたね。どうやって勝つんだろう?近藤さんって思ってましたから(笑)。