わかりました。では、昨年、2003年です。昨年は5試合してますけど、一番印象に残った試合ってどの試合ですか?
三崎和雄:ん〜、やっぱりVS(ヒカルド・)アルメイダ戦ですかね(2003年8月・両国国技館)。すごい大きかったですね。試合をしたことが。アルメイダ選手と試合をしたって言うことが、僕にとってすごい大きいものでした。勝ち負けじゃなく。もちろん勝ちにいきましたけど。

アルメイダ選手は三崎選手と対戦するまでにパンクラスで3試合してて、GRABAKAの選手で言えば佐々木(有生)選手に勝利してますけど、その3試合を観て感じたことと、実際対戦して感じたことに違いはありました? アルメイダ選手は想像通りでした? それとも想像を越えてました?
三崎和雄:ん〜、やっぱり上手いですよね。まぁ、単純に強いということだと思いますけど、でもただその強いという言葉だけでは片付けられないような上手さが備わってて。

想像以上に上手かった?
三崎和雄:はい。あとでビデオで自分との試合を何十回と見直しましたけど、あれは上手いですね。やっぱり。それまでに闘ってきた選手の中でもちろん一番上手かったと思いますし、あと僕が知ってる回りの選手と比べてみても、なかなかこんなに上手い選手はいないんじゃないかなっていう。そんな気がしますね。VS渋谷戦、美濃輪戦、佐々木戦をビデオで見てますけど、その時は上手いなぁとか、感覚がすごいなぁとか、その程度にしか思ってなかったんですけど、実際自分が対戦してみてその試合をビデオで見ると、(アルメイダ選手は)ものすごく冷静に闘ってるなと思いましたし、細かいところが本当に上手いですね。細かなところまで神経が張り巡らされると言うか。


逆に勝つならここだ!っていう部分は見えました? ここでいけてれば!っていう。
三崎和雄:ん〜、最終ラウンドですかね。結局まぁ、自分でいかなきゃと思って勝負をかけにいったのを跳ね返されたと言うか。それがまぁ、向こうの上手さだったんですけど。2ラウンド目に(アルメイダ選手を)簡単に投げることができたので、柔術と柔道だったら投げに関しては柔道の方が上だなっていうのがあって、また投げたら上になれるなっていうのが頭にあったんですよ。それで向こうがタックルにきたので、それをしっかり切って、またそのまま四つに組んで投げようと思ったんです。でもそこでもう体が勝手に動いちゃったんですけど、相手のタックルを切ったところで膝を一発出してしまったんですね。その膝って、ホント一瞬のことなのでなかなかキャッチできないと思うんですけど、アルメイダ選手はタックルを切られて僕が膝を出した瞬間にその膝をキャッチして上になってきたと言うか。それはもちろん上手さなんですけど、そこでもう勝負か決まってしまったなって。やっぱり上にさせてしまったら立つのは容易じゃないし、相手はもちろんグラウンドが上手いし。だからそこが勝負の分かれ目だったかなと思います。仮に僕が上になれてたらまた殴ったり蹴ったりして、セコい勝ち方でも勝ててたかも知れないっていうのがあったんですけどね。だから、僕はそこで実は勝負をかけにいったんですけど、その上手さにやられてしまったなって。あとでビデオで見ても、細かいところで「ここも上手いな、ここも上手いな」って思うところがいろいろあって、やっぱり世界のトップにいる人間のレベルがわかりましたね。ただ強いだけじゃなくて、勝つパターンっていうのが自分の中にあって、そういうのを試合の中で上手く使えてますよね。

では、そういうアルメイダ選手との試合をはじめとして、得たことも多かったのではないかと思われる2003年ですが、昨年は三崎選手にとってどのような一年でした?
三崎和雄:ん〜、何でしょう? なかなか外に飛び出せなかった年ですね(苦笑)。まぁ、思う通りにいかなかったですね。結局結果が全ての世界なんで、負けることはどうしても許されないことだと思うんですよ。他の舞台で試合するにしても、上にいくにしても、やっぱり負けが付くと先には進めないのかなって。負けた試合もあったし、引き分けも2試合ぐらいしてるし。だからなかなか思うように先に進めなかった年でしたね。ただまぁ、その中でも学んだことはたくさんありましたけど。