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: では、またちょっと話は変わりますが、総合の試合の中では、下になっている相手に対して打つパンチ、パウンドと呼ばれるパンチがありますけど、パンクラスや『PRIDE』さんでいろいろな選手をご覧になってらっしゃる田代さんが、「この選手はグラウンドでのパンチが上手い」と感じる選手はいますか?
■ 田代勝久:上から突き刺すような打ち方じゃなくて、横からツカツカツカって砂グモみたくパンチを出す選手がいるんですけど、そういうのは國奥君なんかが上手いなって思いますね。それで上から振り下ろすような、突き刺すような打ち方で言えば、『PRIDE』の(エメリヤーエンコ・)ヒョードルのような打ち方がカッコ良いなって思います。
: 田代さんからご覧になって、ヒョードル選手のパウンドとその他の選手のパウンドは、技術的にどの辺が違うのでしょう?
■ 田代勝久:一瞬のタメと言うか、スナップと言うか、身体の持って行き方だと思うんですよね。パンチを当てるコツみたいな。上になった時にただ顔を狙って打つのではなくて、自分が相手を見てなくても、相手の顔の位置を身体全体で把握してて、それで打つタイミング、拳を握るタイミングを見計らって突き刺すように打ってるんじゃないかって。そういうところが凄いなって思いますね。
: 逆に立ち技でのパンチが上手いなって思う総合の選手は誰でしょう?
■ 田代勝久:やっぱり最初に初めて見た時は、ビクトー・ベウフォートが上手いなって思いましたね。その次が今度コンちゃんと試合するかも知れないヴァンダレイ・シウバ。あと、ダン・ヘンダーソンとかランペイジ・ジャクソンとか、その辺ですね。
: ビクトー選手のパンチは本当にボクシングのパンチっていう感じがしますけど、シウバ選手のパンチはどうなんでしょう?田代さんにはシウバ選手のパンチはどのように映りますか?
■ 田代勝久:ん〜、これは俺の考え方なんですけど、キックボクサーがパンチの回転を速くしたような打ち方をしているような気がしますね。ボクサーのパンチって言うよりも。これは俺が見た感じですけど。ボクサーのパンチの回転が上がったような打ち方ではなくて、キックボクサーがパンチの回転を上げればあんな感じじゃないかなって思います。
: ダン・ヘンダーソン選手はやはりボクシングの打ち方になります?
■ 田代勝久:あぁ、上手いですね。意外に右狙いだけですけど。
: ランペイジ・ジャクソン選手はどうですか?
■ 田代勝久:やっぱり上手いですね。上手い。それしか言えないですね。
: わかりました。では、パンチが上手い選手ということで、『PRIDE』さん、そして『U.F.C.』で活躍している外国人選手の名前が挙がりましたけど、4月25日(日)の『PRIDE GP 2004』(さいたまスーパーアリーナ)に高橋選手の出場が決定しました。3強と呼ばれるミルコ・クロコップ選手、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ選手、そしてエメリヤーエンコ・ヒョードル選手以外にも、そうそうたるメンバーが顔を揃えた今回のトーナメントですが、もちろん高橋選手を体格面で大きく上回っている選手もたくさんいます。そういう決して有利とは言えない状況の中で、今回、高橋選手はパンチを最大の武器に闘うことになると思いますが、その高橋選手に田代さんが期待するものって何でしょうか?
■ 田代勝久:やっぱり今のヘビー級には、打撃でノックアウトできる日本人選手っていうのがいないですからね。だから高橋君には、最初の日本人ストライカーとして、打撃で勝負できる選手になってもらいたいです。日本の真のトップ・ストライカーとして頑張ってもらいたいですね。
: では、遂に決定した高橋選手の対戦相手、“テキサスの暴れ馬"ことヒース・ヒーリング選手についてお聞きします。まずは田代さんからご覧になってのヒーリング選手の印象を教えていただけますか?
■ 田代勝久:トータル的に上手くて強い選手だと思いますね。
: ヒーリング選手の打撃に関してはいかがですか?
■ 田代勝久:打撃もやっぱり上手いし、強いですよね。右ストレートなんか良い打ち方しますよね。
: パンチの打ち方としては、ボクシング的な打ち方なんでしょうか?
■ 田代勝久:そうだと思いますね。
: 田代さんが強い選手とおっしゃるヒーリング選手との対戦ですが、どう予想します?
■ 田代勝久:ん〜、簡単に言えば、殴り合いになれば五分と言うか・・・。高橋君びいきで言えば、高橋君もカウンターがあるから、もしかしたらって言う感じですかね。やっぱり寝技になっちゃうと相手は身体もデカいし力もあるし、そうなると寝技に関してはまだ彼の方が有利かなって思いますね。
: 高橋選手が94、95kgで、ヒーリング選手が115kgということなので、約20kgの体重差がある中で、高橋選手は打撃で挑むのではないかと予想されますが、この20kgの差は大きいですよね。
■ 田代勝久:まぁ、そうですね。でも、まともにパンチをもらわなきゃ良いわけだし、逆に殴る方からしてみれば、急所急所を狙って打てば相手だって人間だから倒れるだろうし。だからそういった闘いですよね。今回は。
: 打撃勝負という点でも、トレーナーの田代さん的にはこの20kg差はそんなに気にならない?
■ 田代勝久:全然気にならないですね。高橋君は94、95kgぐらいかも知れないけど、パンチ力で言えば謙ちゃんとかと互角のものを持ってますからね。
: それは、高橋選手のパンチ力は、高橋選手の体重以上のものがあるということですね。
■ 田代勝久:はい。もちろんあります、あります。
: では、この一戦を楽しみにしていらっしゃるファンの皆さんへ、田代さんから見所をあげていただくとすると、どんなところになりますか?
■ 田代勝久:殴り合いですね。やっぱり。向こうが殴り合いに来てくれれば、こっちはもちろん殴り合いで勝負するわけだから、見所は殴り合いで。殴り合いで勝つってことですかね。勝ってもらいたいですね。
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