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: パンクラスは今年で10年を迎えるんですが、ところで尾崎社長は今年でお幾つなんですか?
■ 今年で44歳ですね。
: という事は、33歳でパンクラスを起ち上げられたわけですね。相当苦労されたと思うんですが、その辺りをお話いただけないでしょうか?
■ 自分自身プロレスとの関わりは結構長いんですよ。最初『週刊プロレス』にアルバイトで入って、契約でライターやったりとかね。まぁ、それ以外にもあるわけですが、興行に関しては全くの素人でしたね。チケットをどこで売ったらいいんだっけ?みたいな(笑)。ホント手探りでしたね。パンクラスの前、31歳のときにプロダクションを起ち上げていましたけど、その2年後に鈴木みのるから胸倉つかまれて(笑)、「やってくださいよ!尾崎さんは僕らを見捨てるんですか!」って脅されて(笑)。鈴木にこの話をよくするんですけど、「いやぁ、僕はそんなことしませんよ」だって。こっちは、今でもはっきり思い出せるのに(笑)。
: 不安というのはなかったんでしょうか?
■ 不安はなかったですね。というのも僕は基本的に不安だとか、恐れだとか、悩みだとかネガティブなモノは持たないようにして、とにかく前向きにプラス思考で考えるようにしているんです。パンクラスを起ち上げるのはいいんだけど、プロダクションを潰すわけにはいかないわけです。僕が集めた仲間がいますし、その会社で実現させたい夢も持ってるし。だから船木と鈴木に言ったんです。「仲間が一人でも“駄目”って言ったらやらないよ」って。それで誰か一人ぐらい反対するかなぁとか思っていたんだけど「やろう、やろう」「面白いよ、それ」ってみんな言うんです(笑)。で、パンクラスとプロダクションを両方やることに決まったんですよ。それが33歳の時ですね。
: それから10年たって今年の10周年興行なんですが、記念興行としてのスタートは5月の横浜からということでいいんでしょうか?
■ 旗揚げは9月なんだけど、会社の設立は5月なんですよ。もちろん10周年としてのメインの大会は8月ということになると思うんですけど、僕の中では5月から10周年スタートって感じです。それなりのカードを持ってこれたとも思いますしね。僕は菊田vs近藤戦って言うのは、昔の船木vs鈴木戦を経て辿り着いたパンクラスの新しい形だと思うし、この二人の闘いがこの10周年でやれるっていうのは凄く嬉しいですね。ただ、だからといって10周年ということにもの凄く入れ込んでいるというわけではないんです。“10周年”というのは、あくまでもセンチメンタリズムでしかないと思いますし、そもそも社員でそれを体感できるのは僕と坂本だけだし、選手も旗揚げメンバーだけじゃないですか。パンクラスという会社にとって見れば10周年かもしれないけれど、後から入ってきた選手や社員にはとっては10年を迎えたパンクラスが飛躍するためのステップだという風に捉えてもらえたらいいなと思います。
: ただ、個人的にちょっと危惧しているのが今後のカードなんですが、5月の菊田vs近藤戦って言うのは、パンクラスの切り札的なカードだと思いますし、この前の佐々木vsアルメイダ戦って言うのもかなり話題を呼んだカードだと思うんですが、そういうカードを10周年を前に組んでしまってもいいのかと。
■ 大丈夫ですよ。隠し玉はいっぱいあるから(笑)。菊田vs近藤戦っていうのはあくまで日本人対決なんで、僕は大きな大会の対戦カードの柱には、パンクラス所属の選手だけではなくて、パンクラスに上がってくれる他団体の選手も持ってきたいと思っているんですよ。日本vs世界ですね。もっと面白いカードはたくさん考えてますし、選手のリストアップもしてます。ただ、ちょっとまだ話せないんですよね、いろいろ駆け引きもあるから(笑)。
: それでは先日の後楽園大会についてお話させていただきたいのですが、カードも良かったですよね。國奥vs門馬戦とかどっちも負けられないっていうのがひしひし伝わってきましたし。
■ 選手が気のぬけないない試合って言うのは、お客さんに喜んでもらえるカードだと思うんですよね。選手は大変だと思うけど、でもプロとして生き残りをかけて闘っていかないとね。上に上がれば上がるほどそういう厳しい闘いをしていかないといけない宿命がありますよね。
: それでいよいよ5月は菊田vs近藤戦なんですが、これはグラバカvsイズムの最終戦と見ていいんでしょうか?
■ そういう見方も確かにアリはアリなんでしょうけど、僕はやっぱり菊田選手と近藤選手っていう個人同士のぶつかりだと思ってますね。ここでパンクラスの顔を決めるっていう闘いだと思ってます。でも、試合の見方っていうのは一つじゃありませんからね、逆にいろんな見方があればあるほど試合は面白くなってきますから。
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