このinterviewは2003.09.30に収録したものです



それではまず順番に。8月31日の両国大会についてお話しいただきたいと思います。一番反響も大きかったと思うのは、やはりメインの近藤(有己)VSジョシュ(・バーネット)戦だと思います。あの試合を見て尾崎社長は何を思われましたか?
結果負けたということだと思います。負け惜しみでも何でもなくて。僕は近藤を誇りに思いますね。あれだけの試合をやったっていうことに。僕の中には悪い方に考える自分と、良い方に考える自分がいるわけです。悪い方に考えた自分の中での近藤の勝率っていうのは20%ぐらいだったんですね。ひょっとしたら一方的にやられてもおかしくない体重差だったし、ジョシュ・バーネットの技術、能力、実績を考えるとそうなってもおかしくないと思いました。でも、あれだけの試合をやってくれた近藤っていうのは、自分のところの選手ですけど、凄い選手だなって思いましたね。並大抵の選手じゃないっていうのを感じました。

実際、打撃で惜しい場面もありましたね。
ありましたね。あの至近距離からのパンチっていうのは、近藤独特のものなんだって思いますよ。もちろんそのパンチを受けて倒れなかったジョシュ選手も凄いと思いますけど、やはりあの辺が体重差なのかなって思いましたね。でも体重差があったから負けたって言うのは考えちゃいけないことですけど(笑)。事実近藤も試合後にハッキリ「それは関係ありません」って言ってますし。試合を受けたっていうことは、それを承知してるっていうことですからね。だから、メインの試合はパンクラスの尾崎としても良い試合だったと思います。

それで、ベルトを奪われたのを解説席で見ていた高橋選手が、10月13日の『アルティメット・クラッシュ』でジョシュ・バーネット選手に挑戦するわけですが、相当燃えていると聞きました。いかがでしょう。
これ、今だから言えますけど・・・。当初はスミヤバザル選手だったんですよ(笑)。最初、高橋の相手として上井さんとお話していたのは。パンクラスと新日本プロレスの会社間の話では、『アルティメット・クラッシュ』に高橋を出させていただくことは決まってたんです。相手もスミヤバザル選手だということで決定だったんです。それで両国の試合が終わって僕も会場をウロウロしてたんですが、まだ生中継(の放送)をやってたんですね。そこで、高橋とジョシュ選手が何かやってる(笑)。で、高橋は「社長、俺がやりますから」とか勝手に言ってるし(笑)。僕の頭の中には上井さんとの話もあるし、どうしようかな?って。またやられちゃったよって。鈴木VSモーリス戦を思い出しました(笑)。それで、実際発表は出来ないけど相手は決まっているわけですから、ファンの方になんて言おうかっていうのと、新日本さんとどう話をしようかって思いましたね。実際、VSモーリス戦の時は相当いろいろなところで頭を下げてますからね(笑)。あの時僕が(高橋に)話したのは、「話は分かるけど、出来ることと出来ないことがあるから」って事でぼかしてるんですよ。その2日後だったかな? 上井さんがスミヤバザル選手にVS高橋戦を承諾させにモンゴルに行くので、最近の高橋の試合Vtrを2試合ほど持って行きたいって。で、スミヤバザル選手は承諾して上井さんが週明けに帰ってくるわけです。だから両国大会が終わって数日間は「高橋vsスミヤバザル」で動いてました。

その時上井さんが持って行かれた高橋選手の試合は何だったんですか?
高橋の一番新しい試合ですね。7月の後楽園ホールでの試合(VS小澤 強戦)と、ディファ(有明)で負けたやつ(昨年12月・VS小澤 強戦)かな。ところが、その2日後に大どんでんがえしがあるわけです。これは書けないんですけど、ジョシュ選手の相手は○○○○○だったんだけど、その選手が試合が出来なくなったということなんですね。そこで向こうからお話があって、高橋とのタイトルマッチで、パンクラスルールでどうでしょうか?って事になったわけですよ。それを断る理由は僕にはありませんから。選手もやりたいって言ってるし、ファンの方も見たいだろうし、パンクラスのジャッジとルールであればどこのリングでも構わないわけですから、即日OKでした。常々僕が思っているのは、選手のやりたい事をやらせるためにパンクラスをやっているつもりなので良かったと思いますね。あと、これで怒られないで済むみたいな(笑)。その上井さんとのお話の中で、モンゴルに凄いヤツがもう1人いたとなったわけです。それが今度の渋谷の相手なんです。ただ、いただいた資料を見るととんでもないじゃないですか(笑)。柔道のモンゴル人アジアチャンピオンですよね。それで鈴木と相談したら渋谷がいいんじゃないかとなって、今度のカードになりました。

そこで渋谷選手の話が出たっていうのは、両国大会からの流れということですか。
そうですね。もちろん渋谷のコンディションもあるし、そこは渋谷にも確認を取りましたけど、やっぱり“流れ”ってなるじゃないですか。高橋とジョシュ選手の試合も両国からの新日本さんとの流れだし、もう1つは渋谷ですよね。渋谷VS矢野戦は、パンクラスのリングでやって渋谷が一本取ったと。じゃぁ今度は乗り込んでいくぞと。やっぱり渋谷が適任かと思いましたね。ちょうど10月の大会にはどっちも入ってないし、じゃぁちょうどいいかなと。

そういう意味では、いい流れで10月13日に向かってますよね。
そうですね。8月31日は単に10周年の記念イベントでは終わらなくて、パンクラスの次の流れを作ったという意味でも良い大会でしたね。