PANCRASE

9.1ディファ有明大会 梁正基 vs 豪太レッツ裁定

9月1日(土)パンクラスディファ有明大会第7試合にて行われました梁正基 vs レッツ豪太のパンクラスオフィシャルルールブック第31条の2に則り、保留となっておりました裁定結果が出ましたのでお知らせいたします。

2012年9月15日
裁 定 書
キングオブパンクラス実行委員会
コミッショナー  廣 瀬 隆 司

2012年9月1日ディファ有明大会第6試合(梁正基選手対レッツ豪太選手)において、パンクラスオフィシャルルール第31条の2に基づき、試合結果を保留とした件について、下記のとおり裁定する。

  1. 裁 定

    試合結果を「ノーコンテスト」とする。

  2. 理 由
    1. パンクラスにおけるオフィシャルルールの解釈の方針

      パンクラスの試合において裂傷等により試合続行不可能となった場合の指針は、2010年7月14日付「内山重行選手対滝田J太郎選手:提訴に対する審判団の協議」(以下「協議」)※に示されている。「協議」は、パンクラスルールの趣旨・目的に整合的で体系的な解釈から導き出されたものであり、現行ルール下における事例については、今後も「協議」の指針を適用する。
      「協議」(千葉・松宮2010)

    2. 事実の検証

      「協議」は、「相手の正当な攻撃によらずに裂傷等を負い」、試合続行不可能と判断された場合には、その負傷を「アクシデントと見なすのが相当である」との見解を示す。

      そこで、当該試合においては、梁選手の負傷の原因が豪太選手の「正当な攻撃」によるものかどうかが議論となったが、記録映像を検証した結果、梁選手の右脛の裂傷の原因は、第1ラウンド開始1分25秒、梁選手が放った右のローキック(インロー)であることが確認された。その際、豪太選手の右脚は、梁選手のキックを受け、からだの右方向に流されており、豪太選手の攻撃(あるいは攻撃に類する行為)は見出せない。よって、「協議」の指針どおり、梁選手の負傷をアクシデントと見なし、かつ、試合は第1ラウンドが終了していなかったため、上記のとおり裁定する。

    3. 付記(先例との整合性、パンクラスにおける競技性)

      「協議」で述べられているとおり、現行のパンクラスルールにおいて競技上の目的とするダメージは、「頭部への衝撃」、「筋骨へのストレス」(musculoskeletal stress)、「絞めによる落ち」であり、皮膚や粘膜へのダメージは含まれていない。

      パンクラスにおける類似の事例として、2007年9月5日後楽園ホール大会の小路伸亮選手対フラービオ田中選手の試合がある。この試合は、田中選手が自らのキックで脚を骨折したため、小路選手の勝利と裁定された。この試合における負傷は、皮膚の「裂傷」ではなく、「骨折」という「筋骨へのストレス」によるダメージであるため、当時の裁定のとおり、小路選手の勝利とするのが妥当である。 また、他団体における類似の事例として、2012年3月31日ONE-FCのメルヴィン・マヌーフ選手対中西良行選手の試合において、両者ともに脛に裂傷があり、第1ラウンド・ノーコンテストとなった事例があるが、パンクラスの試合においても同様の裁定となる。

      なお、2003年3月30日、K-1 WORLD GPにおけるピーター・アーツ選手対ステファン・レコ選手の試合で、アーツ選手が自身の放ったキックにより右脛に裂傷を負ったため、レコ選手が第3ラウンド・TKO勝ちとなった事例があるが、パンクラスルールにおいてはTKOとはならず、第3ラウンド・試合停止時までの負傷判定(第29条1項)となる。

      今後、今回と同様の事態が第1ラウンド終了以降に発生した場合には、第29条1項に基づき、負傷判定と裁定されることになるが、今回の場合は、第1ラウンドを終了していなかったためノーコンテストとなる。 当該試合においては、パンクラスにおいて競うべき優劣・強弱は何ら明らかになっていないということである。