第7試合 大将戦 (5分3R)
×KEI山宮(3R 5分00秒、判定)郷野聡寛○

石井選手が1本負けをした後の決勝ですから勝っても勝ちなしという重苦しい雰囲気の中でプレッシャーがかかったと思います。その中で回転の速い打撃を持つ山宮選手が勝るのか、この試合に向けてバルクアップをして一回り身体を大きくしたパワ-アップした郷野選手が自分のスタイルを貫くのか、という試合でしたが、2Rまでほぼ互角という試合だったと思います。お互いにバランスの良い選手ですから一発は当たるんですけども、その後の組み立てというのが中々出来ないまま2Rが過ぎて行ったという形だと思います。その中で3R目に先に勝負をかけにいった郷野選手の僕は優勢勝ちだという風に判断しています。気持ちが乗った時の山宮選手は強いのですが、乗り切れない時の山宮選手は脆いという事を言われてるのですが、気持ちが入る前に郷野選手がボンと3R目に勝負に出てきましたから、やはりその差だと思います。

大将であるわけですから負けない試合ではなくて1敗ビハインドを追っての大将戦、逆に言えば大将戦で良い勝ち方をすれば2勝2敗1分の引き分け、五分になったとしても大将戦で勢いのある勝ち方をすれば団体戦の印象としては五分ではなくなったりする、そこが団体戦の面白いところなので、やはり勝ちに行く試合をもう少し前面に出してもらいたかったです。それが郷野選手は一番嫌だったと思います。自分の試合の形、闘いの形という欲のあるものといいますか、それが結局相手に対してプレッシャーをかけて余計な動きを誘って、余計なプレッシャ-をかけて色々な事を考えさせるという事は、そこから発生するわけですから、今後こういう形で副将、大将という形の位置付けで山宮選手は闘う事が多くなるでしょうから、そういう意味ではこの機会に腹の据わった闘いをしてもらいたいです。

郷野選手については身体を大きくしてくるというこの試合にかける意気込みというのが、私は流石だなと思います。世の中がグラバカという流れという形で今浸透しつつある中で、やはり私は良い意味で郷野選手が佐々木選手である、佐藤選手である、菊田選手であるという、そういうグラバカの面々をライバル視してるからこそ、時の流れに安閑とせず、身体を大きくして、こういう試合に臨んでくるんだと思います。私の知る限りグラバカもパンクラス側も、いずれもこの対抗戦に並々ならぬ練習をして来ました。その並々ならぬ練習が伊藤選手の不幸な事故を生んで欠場をしましたが、その位今回の団体戦というのは今迄の団体戦よりもまた一つヒ-トアップ、レベルアップした部分だったと思います。逆にそれが故に選手面々は進歩し成長を続けると言う事なので今後もパンクラスのスタイルから、こういう団体戦という形はカンフル剤になって大変良い事なのでパンクラスのツア-には絶対にはずせないものになってくるなとますます強く確信した今回の団体戦でした。

パンクラスの選手を勢い付かせて鬼軍曹として指揮をとったのは誰あろう、鈴木みのる選手ですから横浜道場に週1回は集合して、合同練習も繰り返して行きました。そしてその姿勢をもう少し続けなければだめだと思います。団体戦が終ったから、じゃーまた個人で、というのであれば全然意味がありません。ここで生まれた反省を、またこのメンバ-でもう一度練習する事で意義があるんだと思うので、喉元を過ぎて忘れる様な姿勢があるのであれば私はいけないと思います。私が今回この団体戦に出なかった選手何人かに話しを聞くと、やはり自分も出たかった、悔しかった、という言葉が返ってきました。逆にグラバカの選手も勢いがあるだけに、薄氷を踏む思いで臨んだことだと思うので、そういう意味で何と言いますか、心技体という言葉が21世紀に未だ存在するとすれば、いよいよこの若い人達が己の力の中でそういう世界を作り出してるなというところに2002年に繋がって行くものがいよいよ動き出したなと、そんな感じを受けました。

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