第5試合 ライト級戦/5分3ラウンド
×佐藤堅一(2R 0分55秒、三角絞め)矢野卓見○

私はある意味、今大会の全カードの中で一番楽しみというか、非常に興味深かったという試合はこのカードじゃないかなという感じもします。1Rは久々に矢野ワールドに翻弄されたという感じです。彼のスパッツのおしりには似非何とかという言葉が書いてありますが、まさに似非という怪しげな魔術にかかったような、そんな淡々とした空気が流れて、ただでさえ総合慣れしてない佐藤選手の初陣であって、嫌な相手と闘ったなあという印象だと思います。それにもかかわらず前へ前へ出てスピリッツを感じさせてくれる戦い振りでした。普通はどぎまぎしたり、目線も浮つくものだと思うのですが、さすが士道館で心身ともに、びしっと鍛えられている選手です。最後のタップも手が塞がれてしまったので、足でタップするような形になってましたが、その中で正々堂々と闘ったというところでは凄く好感の持てる試合でした。それに対して矢野選手は変則ではあるんですが、でも彼の変則はセオリーがあります。闘い振りは変則ですが、いざ技に入る時は彼ほど基本に忠実に、正確に入ろうとする男も珍しいと思います。ちょっとアバウトになってしまうところを彼はちゃんとトレースしながら技を決めて行こうとします。一見変則に見えて実は正確な技の持ち主だというところに私はそこが矢野ワールドと思ってます。ちょっと他の方とは捉え方が違うのかなとは思いますが、その部分はビデオで見るなり、番組で見る機会があれば彼の三角絞めに入るスピードこれに尽きると思います。そういう意味で彼なりの、ある意味自分流の正統派としてもっともっと前へ進んでもらいたいと思います。

>>> N E X T