第8試合 ライトヘビー級/5分3ラウンド
○佐々木有生(3R 5分00秒、判定/3-0)アレックス・スティーブリング×

スティーブリング選手はたいへん名前もあるし実力者であるという事と、やはり圧倒的な圧力というかオーラというものも十分持合わせている実力者です。その実力者に佐々木選手がどうチャレンジするのか?というような図式の中でのマッチメークでした。

試合の前々日に佐々木選手に会った時に、自分のコンディションとしては、あまり良くないという事でした。彼においては身体の切れ、身体が動いてなんぼの選手で、手足だけが動いていたんでは選手はばらつくんだよと、身体全体のしなやかさが選手の一番良いところなんだという話をしていました。その部分がはっきり出た良い試合でした。試合当初こそスティーブリング選手の圧力にちょっと厳しい表情をしていた佐々木選手なんですが、突破口を開いたのは殆ど予備動作無しの左ミドルでした。これが面白いようにスティーブリング選手の脇腹にめり込んで来まして、相当圧力をかけていたと思います。それに対して踏み込んで左のワンツーを打ち込みたいスティーブリング選手なんですが、この左ミドルがこの出鼻をことごとく良いタイミングで切っているので最後まで入れませんでした。そういう中で冷静に冷静に良いところ、要するに闘いながら彼は学習しています。

僕が彼の一番好きなところは、そこです。闘いながら、今日はこれが良いと思ったら、それをちゃんと選んで攻撃を仕掛けて行くところ。試合前に考えていた事でも、やはり闘って行く中で手応えがおかしければ直ぐ修正出来る、そういうクレバーなところが佐々木選手の素晴らしいところです。それがこの闘いの中で勝利を征した事だと思います。ただ、スティーブリング選手もさすがで、佐々木選手が寝た状態のところを上からボディーに何気にキックを放ったりして、これも細かく効いたりして、佐々木選手もそこで気持ちが萎えかかったりしました。結構効いていました。それでも立ち上がって勝利を得た佐々木選手です。この試合はスティーブリング選手がどうのこうの、ではありません。佐々木選手が素晴らしかった。心が強かった。これにつきます。


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