第2試合 ウェルター級/5分2ラウンド
○アライケンジ(2R 5分00秒、判定/2-0-1)加藤丈博×

終始アライ選手が打撃で前へ出ていく、それをまた打撃の加藤選手が返り討つというような白熱戦でした。ただびっくりしたのは加藤選手は空手からフリーファイトに転向した選手なのですが顔面を打つ技術はたいへん上手かったことです。流石だなと思いました。蹴りに対しての対処の仕方にしても、しっかりしてましたので、やはりそんじょそこらのポッとでの選手ではないなというところを見ました。それに対してアライ選手、社会人大会で上位に食込んだりしているアマレスがベースなんですが、自分のスタイルを懸命に作ろうとしているというところでのスタイル、最後まで打撃で押し切りました。試合は拮抗していましたが、2R中盤位でお互い少し動きが鈍って来た時の左ハイからの右上段後ろ回し蹴りが加藤選手の見切って前へ出てくるところの顔面を上手くとらえて、それが最終的にポイント差になったんではないかなと言うような大きな技でした。リングサイドまで加藤選手の顔面をとらえた音が響き渡っていました。それで倒れなかった加藤選手も流石だし、苦しい時にその大技を出していったアライ選手も流石でした。ただ一つ言えるのは、大技を出してリスキーな闘いをしていく事、自分から仕掛けて動いていく事によって自分が疲れていく事。そういうリスクを負いながらも一生懸命自分の形をお客様に見せるんだという姿勢が試合後のアライコールに繋がっているし、大きな拍手にも繋がっていたと思います。

ですから、そういう意味の負けない、勝つという意味の前提と、自分の闘いを見せてお金をもらっているんだというプロ意識の部分、そういう意味でアライ選手は自分の中に何かが出来始めつつあります。ただ無造作に打たせる事自体が、自分の身体は消耗品ですから、身体のダメージも考えながら闘うという事が、ワンランク上の闘いをしていかなくてはいけないと思います。今は体重制というクラス分けがあるので以外に選手ものんびりしています。パンクラスももうすぐ10年という時を経ますが、國奥選手のクラスでさえシュルト選手と闘うというのが大前提であったわけです。実際、今で言うウェルターであるとか、ミドルであるというクラスの故・長谷川選手がシュルト選手から一本とっている現実というのを見ると、そういう相手だからこそ、小さい軽い男の方は虚をつくような形で大技なり、奇想天外な仕掛けをしていかなければいけないという、勇気を振り絞ってリスキーな闘いをしなければならないという経験を経てきている選手達は、またはそういう覚悟で来ている選手達はその後、成長しています。美濃輪選手にしても、側方回転しながら足首を取りにいったりとかしていました。そういう決死の必死さがクラス分けになった段階で選手達の間になくなって来ている気がします。そういう意味も含めてアライ選手の思い切りの良かったファイト、そしてそれを正面から受け答えて、最後まで全力ファイトをしていた加藤選手。第3試合という位置付けの中で試合終了間際、後の拍手というのは感動的な試合だったと思います。


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