第6試合 ライトヘビー級戦/5分2ラウンド
○渡辺大介(1R 4分18秒、KO/顔面パンチ)入江秀忠×

入江選手というと、柔道、相撲、という重厚感のある試合を展開する選手としてパワーファイターの様な形になるんですが、さすがに組み合ったりした時の力感がありません。これが私はある部分一流の選手だなと思います。ソフトに組み合っているように思えるのだけれども、入るべき所に力が入っているからこそ、力感が伝わらない、そういう事があります。そういう意味ではさすがだな、という試合展開だったと思います。

対して、渡辺選手は拳を骨折しての復帰戦でしたが、その間色々トレーニングをしたのでしょう。構え方、組み方、そういうものも随分変って来たと思います。ismの門番として渡辺選手のやる事、それを跳ね除けてキングダム・エルガイツという名前を1こま前へ進めたいという入江選手としたら、この試合のキーワードは組み負けた方が負け、という見方をしていました。展開は若干近場の睨み合いからパンチの細かい応酬、入江選手の細かいローキックの様な形から、タイミング良く組み合うというスタンドレスリンで終始しました。その部分で入江選手が渡辺選手を捕らえきれず、組み伏す事が出来なかったところに苦しい部分があったと思います。対する渡辺選手はその部分で余裕があるが故、安定したところでの膝蹴り等で、自分の距離感をどんどん作る事が出来ました。

試合を決めたのはKOで左右のパンチなんですが、そこで一つビデオを見る方は見て頂きたいと思うのは、入江選手に膝を着かせてから、尚且つ追撃のパンチを放っています。その時に足から動いて追撃しています。通常手打ちのパンチは相手が跪いたら、なかなか動けるものではないのですが、前身で動いている渡辺選手のパンチはそういう意味では本能的に距離を読んで打てますので、そういう意味では追撃を出来るという所で凄く良い攻撃になったと思います。後は見た目、凄く軽く打っていたように見えると思います。これも力強く思い切り打つパンチと、それから人を倒すパンチというのは自ずと打ち方、質自体が違います。この試合の渡辺選手のパンチに限って言えば、明らかに倒すパンチが放たれていました。それ故に試合が止まって、その後、暫くすると回復して来ます。でもあの後、膝を着いて、あれだけ追撃が入ってしまうと、勝負ありなんで、あの試合は止められてしまったと思います。拳を壊した選手がその拳でまた復帰戦を飾るというのは並大抵の事ではないと思います。そういう意味ではインタバール中の努力が身になって良かったんじゃないかなと思います。入江選手は何故組み負かせなかったのか?組み伏せられなかったのか?というところで、練習をもう一度確認してくれると彼の良さがもう一回出て来ると思いますので、次のチャレンジに期待したいと思います。


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