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■第1試合 フェザー級戦/5分2ラウンド ×砂辺光久(2R 5分00秒、判定/0-3)前田吉朗○ 来年度のフェザー級の充実度を占う、という事で、凄く楽しみな闘いでした。砂辺選手はパンクラスデビューをしてから未だ負けなしで、前田選手もデビュー戦を白星で飾りました。共にストロングスタイルと言いますか、どんなに窮地でも自分の姿勢を変えない、というところでは共通しています。が、砂辺選手はどちらかというと自由なスタイル。それに対して、前田選手は大阪道場・稲垣組という事で、指導者・稲垣の、きちんとしたプロから教わっているという事で、きちんとした闘い方の出来る選手です。これは闘い方がセオリー通りだという事ではなくて、闘い方に関して言えば、気が付いた時にやれる事をしています。今は打つ時、打たない時、と分けていません。気が付いたら打っている、気が付いたら蹴っている、気が付いたら回っている、バックを取っているという様な形です。なぜ臨機応変に出来るのかと言ったら、闘い方の根本に備えがあるからです。そういう意味で肩に力が入っていない、されとて緩み過ぎていません。相手を真っ直ぐに見て、真っ直ぐに出ていきます。 6月22日の大会で引退をしますが、稲垣という組長の、決して派手ではない、彼のプロ生活の中のベストバウトとして多分語られる試合は、パンクラスのデビュー戦でセンセーショナルな失神シーンを見せたVS鈴木戦、お互い30分フルに闘い、ボロボロになったVSヴァーノン“タイガー”ホワイト戦、膝十字固めを延々とかけられた山田学のデビュー戦、肋骨を折られながら何度も立ち上がっていったVSシュルト戦。どちらかと言ったらぶざまな試合、勝敗で言ったら負け試合が彼のベストバウトだったりするわけです。彼の人となりというのか、それは本当にファイトスタイルの裏返しなんです。そういうエキスを吸って大阪から巣立って来ている前田選手。これは二重丸だと思います。 それに対して兄との二人三脚で創意工夫をして、本土から遠い南の沖縄の地で、独自でやってきた雑草の魂を持つ砂辺兄弟。フェザー級の若年期に凄く良い試合を見せてもらった様な気がします。片や雑草の様に自分達で一生懸命、創意工夫をしてプロのリングに上がって来た砂辺選手。片や何年も苦汁を舐めた苦しい思いをしてきた先輩のエキスを充分に引き継ぐ形で純粋培養された前田選手。この2人は存在こそ対極するけれども、間違いなく次世代のフェザー級を争う選手になるでしょう。試合は開始早々、前田のパンチからの膝蹴り、これで決まります。これで砂辺選手の左の顔面がちょっと骨折したぐらいです。普通の選手なら、それで終るかも知れません。でも、それは兄との、2人の雑草の魂があったから、2Rフルタイムを闘えたのだと思います。そういう意味では大いに拍手をして、もう一度もっと大きな舞台で、もっと試合順が後ろの方の試合として、このあと見てみたいです。挫ける事なく、大きな怪我をする事無く、何年後かに、このカードが出来る事を期待しています。そんな試合でした。 >>> N E X T |