第5試合 無差別級戦/5分2R
×石井淳(2R 5分00秒、判定/1-2)多田尾秀樹○

フェザー、ウェルター、ミドル級と80kg前後の軽いクラスの選手が登場した後の無差別級、123.6kgの石井選手と、101.7kgの多田尾選手がリングに上がると流石にデカく感じました。試合の方は大きな佇まいの石井選手がゆっくりと強いパンチを打って、右前の自分の形で組みたいという展開に対して、多田尾選手がヒット&アウェイーをしながら、距離をとり、石井選手を中心に回って回ってコンビネーションを打っていく、様子を見ていく形でした。見た目も佇まいも迫力もある石井選手に対して、体は大きいのですが、顔付き等、優しい感じのする、ちょっと大人しい感じのする闘志の表に出ない多田尾選手がしっかり石井選手の動きを見ていました。今回は1Rの開始早々で多田尾選手のちょっとフック気味のストレートが石井選手の顔面を捉えました。真正面からの打ち合いでの良いパンチで、石井選手は前にのめって半分膝を付くような形でダウン気味に前に倒れていきました。そこがこの試合の一番初めの大きな動きでした。それで1Rが多田尾選手がペースを作っていった感じでした。石井選手は意識が戻るのに1〜2分位かかっていましたから、そこで多田尾選手としては攻撃を続けていきたかったところです。自分の中でKOかな、と思ってしまったかも知れません。人が倒れるパンチというのは、自分の勢いが無い時の方が倒れる事が多いんです。綺麗に回って重心が上手く安定していて、自分の拳が綺麗に飛んで行った時に、距離、タイミングによって効くパンチというのは打てます。ですから、自分が打った感覚と石井選手が倒れていくリアクションがちょっと合わなかったのかも知れません。ちょっとそこのところは判りませんが、せっかく前に倒れて来た石井選手を、その後迎撃出来ませんでした。それが一つ大きな綾になったかも知れません。

その後、石井選手も体力がありますし闘志もあるので、さすが超人という形で試合を盛り返して来ます。自分の組み手になると、そうそう動かせるタイプの選手ではないですから、多田尾選手もそこから中々自分の展開に一気に持っていく事が出来なかったのですが、終始冷静に石井選手を見て、地味ですが適確な対応をしていった多田尾選手の順当な勝ちだったような気が私はします。判定では逆も出ていますが、これはレフリー同士で話しをした時に1R目のパンチを、どういう風にとったかというところでの点の流れなので、逆に石井選手はダウン気味なものを取られましたけれども、そこから良く盛り返したというところ、そこはデビュー2戦2勝の意地もあるし、そういう意味の能力もあるわけです。ですから後半盛り返して来ました。多田尾選手は終始何とかしようという形で、嬉しい初勝利だと思います。これがフロックにならないように今後も精進してもらいたと思います。


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